【CoCセッション】幻月環


その2

11月24日、まだ日付変更線を越えたばかりの頃。御手洗の元に連絡が入った。随分と非常識な時間の連絡だが、急ぎの用件なのかコールは鳴り続ける。

「(誰だろう?こんな時間に…)」

「…はい、もしもし…」

『ああ!もしもし!!御手洗ひなたさんのお電話でお間違いないでしょうか?』

「あ、はい…そうですけど…」

『落ち着いて聞いてください。門倉怜司さんが環状線の主要駅の火災事故に巻き込まれました。救急車で運ばれ、現在、集中治療室で治療を受けています。〇×病院まで来られますか?』

「え…………」

「(…門倉君が……火災事故に…………)」

門倉が生死の境をさまよっている。その事実に、御手洗は目の前が暗くなるだろう。SANc 1/1D3

竹 SAN値71で振ります。→98失敗

竹 解釈一致

竹 1D3→2減少

「……わかりました、すぐ向かいます……」

平常を装おうとするが、声が震えてしまう。

『はい、分かりました。お気をつけて…。』

ガチャリと電話は切れた。

竹 急いで行った。

 

御手洗は慌てて病院にかけつけた。心電図がピッ、ピッと一定の間隔を空けて電子音を刻む。静かに眠る門倉は、痛々しく手足や首に包帯が巻かれ、顔の半分も白い布に覆われていた。

竹 SANチェックします。→14成功

竹 1減らします。

緊急対応した医者により、火災は放火が原因であり何の前触れもなく広がった炎に多くの人が逃げ遅れたこと。門倉も逃げ遅れ、広範囲に火傷を負ってしまっていること。命が助かったとしても、傷跡や手足に後遺症が残る可能性が高いことが説明される。

「……門倉君…………」

「(……私が、あの時門倉君を引き留めていたら…こんなことには……)」

御手洗は門倉が目を覚ますと信じて付き添い、傍らで待ち続ける。声をかけても反応はなく、ただ見守るしかできない無力感に苛まれる。

「…門倉君、お願い……門倉君がいなくなったら私もう……」

 

そして、決して望んでいなかったその時が訪れてしまう。一定の間隔で刻まれていた電子音が間隔を空けずに鳴り響く。それは、無情な宣告。門倉怜司の命が、終わりを告げた事を意味していた。

理解したくない現実を目の当たりにして、御手洗は言葉を失い、その場に立ち尽くしてしまうだろう。
SANc 0/1D6

竹 SANチェック→72失敗

竹 1D6→5減少

塵 アイデアロールしてください。

竹 アイデア65で振ります。→52成功

竹 一時的狂気の内容1D10で決めます。→10(昏迷、あるいは緊張症)

御手洗は、横たわってる門倉にしがみついて動かなくなる。

竹 更にレイプ目になった。

御手洗の視界は、受け入れ難い事実にぐらりと反転し真っ黒に塗りつぶされる。心電図の音を記憶の最後に、そのまま、御手洗の意識は途切れてしまった。

塵 聞き耳の1/2で振ってください。

竹 聞き耳90×1/2=45で振ります。→52失敗

竹 もう門倉の声しか聞こえない

竹 もう終わり




ピピピピッ

御手洗は、アラームの音で目を覚ます。今日は11月23日。 門倉と朝から秋祭りに行く約束をしている日である。

「…え……」

「(…なん、で…?さっきまでのは…夢……?)」

竹 とりあえず門倉にLINEしたい

 

「門倉君、大丈夫!?」

『おはよう御手洗。心配せずともちゃんと起きている。』

『集合時間に遅れないようにな。』

「…よかった……。あのね、門倉君…今日、怖い夢を見て……」

『そうか…。』

『今日この後出かけて大丈夫か?』

「ねえ、お祭りの後の用事、本当に行かなきゃダメ?」

『なぜ用事があると知っている?話したか?』

「あ……その、夢で見たの……。用事に向かった門倉君が、火事で死んじゃう夢……私、怖くて……」

『そうだったのか。』

『だが、ただの夢だろう。予知夢についての論文も読んだことはあるが、眉唾物だ。考えすぎだろう。』

『それに大事な用事だから、外すのは難しいな。』

「…そう、だけど…時間だけでもずらせないかな?少し早めの時間に行くとか…。楽しみにしてたけど、お祭りは別の時にも行けるし…信じてもらえないかもしれないけど、本当に、ただの夢だと思えないくらい生々しかったの……」

『時間が決まっているんだ。早めに行ってやることが無いわけではないが…。』

「えっと、じゃあ、せめてタクシーとかで行けない?電車は辞めてほしいの…お願い……」

『そうだな…。』

 

突然御手洗の視界が真っ黒に塗りつぶされる。そのまま、御手洗の意識は途切れてしまった。

 

目の前が真っ暗になった御手洗は、自分が夜のような暗闇の中に立ち尽くす夢を見る。暗い中でも自分の姿を確認できるのは、空に月が浮かんだ月の明かりのおかげだろう。

月以外は何も見えない空間で、男性と誰かが話し合っている声だけが聞こえる。その声の聞こえてくる方向を確認しても見えるものは何もない。声は、知らない男性と自分、門倉怜司のものだということが分かる。

 

門「死んでしまったものは、そうは言っても、仕方ないだろう。」
御「でも、どうにかなるのなら、どうにかしたいよ…!」
門「自然の摂理を捻じ曲げるのは、良くないんじゃないか。」
御「それでも、助かる可能性があるなら、諦めずにそれに賭けたいの。」
男性 「ならば、汝の強い想いを叶えよう。」

 

塵 アイデア振ってください。

竹 アイデア65で振ります。→55成功

この不可思議な現状を作り出したのは、自分自身なのだと理解する。

自分の身勝手な願いで、非日常の現実を作り出したこと。現状が作られた偽りとも呼べる現実であった事実に、御手洗は動揺を覚えた。SANc 1D2/1D3+1

竹 SANチェック→77失敗

竹 1D3+1→2減少




御手洗は、自分の部屋でいつも通り目を覚ます。今日は11月23日。門倉と朝から秋祭りに行く約束をしている日である。

ピピピピッ

「(…また……)」

「(…でも、どうすればいいの……門倉君のことを諦めるなんて…やっぱり出来ない……)」

門倉に電話をかけると、呼び出し音が数回なった後に、門倉の声が聞こえる。

『もしもし。』

『どうした御手洗?』

「あ……門倉君?あのさ…今日の予定の後、どこか行く場所があったりするかな?」

『あ、ああ…。待ち合わせ場所で言おうと思ってたんだが、用事があるから〇時くらいに解散するつもりだ。せっかく計画してくれたのに、悪いな。』

「…あの、その用事って何なのかって聞いてもいい?私、ついていっちゃだめかな…?」

『?なぜそこまで言う必要がある?学会だが…。』

『着いてくる…?何故だ。』

「あの…変なこと言うようなんだけど…」

竹 こういう夢を見たから心配だ。用事をなんとか調整できないかと伝える。

塵「でもそれ夢じゃ~ん(意訳)」と返されてしまう。

「……うん、そうだよね……そう、だよね…………。」

泣きだしそうになりながら、必死に思考を巡らせる。

『顔を見て話そう。現地まで来られるか?迎えに行っても良いが。』

「…ごめんなさい……ううん、一人で行くよ…。ごめんね…。」

『御手洗。』

少し強い口調で呼ぶ。

『折角二人で準備したんだ。行かないと勿体無いだろう。』

「…うん、私も楽しみにしてた……でも……」

「…いや、うん……わかった…。準備して、行くね……。」

『ああ、そうしてくれると助かる。一人で来られるか?』

「…うん、大丈夫……遅れたらごめんね。」

『そうか。大丈夫だ、前に借りた本を持って行って読んでるから。』

「…そう、よかった……急いで行くから……また、後でね…。」

『ああ、転ばないようにな。』

「…うん、ありがとう……。」

頑張って準備をしようとするも、泣き腫らした目や震える手のせいでメイクもあまり上手くいかず、落ち込んでしまう。

「(もし、どうしても本当に門倉君を助けられないなら……今日が、門倉君にとって最後の一日になるんだ……)」

「(…それなのに、全然上手くいかないな……)」

御手洗がなんとか待ち合わせ場所へたどり着くと、そこには既に門倉が待っていた。

「…ごめん、遅くなっちゃって…」

「おはよう御手洗。ずいぶん時間がかかったな。この本はなかなか面白かったぞ。」

「ごめんね、準備に手こずっちゃって…。」

「大丈夫か?元気がなさそうだが…。」

「あはは……あんまり大丈夫じゃないかも…ごめん……。」

「いや、問題ない。…少し休んでから行くか?」

「……休んで、何か変わるのかな……」

ボソッと呟く。

「…何か言ったか?」

「…ううん、なんでもない。…大丈夫だよ、もう行こう…屋台、売り切れちゃうかも…」

「そうか。じゃあ行こう。」

 

御手洗達は、朝から待ち合わせをして近所の大きな神社で行われる秋祭り『新嘗祭』に訪れた。神社をひやかすように覗いてお参りを済ませ、大通りへと足を運ぶ。

車両通行止めになった大通りにはヨーヨー釣り、くじ引き、輪投げ、射的、りんご飴、たこ焼き、クレープ、綿菓子等の屋台が並び、祭り独特の賑やかな空気に包まれている。

塵 アイデア振ってください。

竹 アイデア65で振ります。→6成功

並ぶ屋台の店員やすれ違う人。先日見た景色と、寸分違わぬ日常であることに気付く。

御手洗は門倉の後を付いて行くものの、どうすればいいのか、何をすれば変えられるのかで頭がいっぱいになってしまい、門倉の呼びかけにも曖昧に応答し、どこか上の空である。

「折角来たんだ、何かやりたいものがあればやっておくといい。」

「…うん…………」

しばらく無言を貫く御手洗を門倉は見つめた後、ふと思い立ったように、

「りんご飴、買ってくる」

と言い、門倉は『りんご飴』の屋台へと足を向けた。

「あ……待って、門倉君……」

付いて行こうとすると、門倉は屋台の前で、何もせず立ち尽くしている。

「……?門倉君……?」

御手洗が確認すれば、りんご飴を購入しようとしたが商品が一つも並んで居らず店員も不在らしい。門倉は、困惑した顔を御手洗に向ける。

「(あれ……前と違う……?)」

「なんで…、」

門倉は小さく呟く。

塵 目星振れます。

竹 目星50で振ります。→9成功

屋台の裏に細い路地があり、その奥に神社があることに気付く。

「神社……」

「こんなところに神社があったのか…。少し気になるし、行ってみてもいいか?」

「(…ああ、もうすぐ終わってしまう……)」

「…………うん、りんご飴、売り切れてるみたいだしね……」

大通りの喧騒から離れると、まるで別世界にでも来たかのような静けさに包まれる。

塵 アイデア振ってください。

竹 アイデア65で振ります。→88失敗

塵 目星でもいいよ。

竹 目星50で振ります。→55失敗

 

路地奥の神社は、酷く寂れており最低限の設備しかない。先程、訪れたばかりの秋祭りを行っている神社が随分と賑やかで多くの人が参拝している姿を見た後だからだろう。余計にこの質素で、人気がない境内に寂しさを覚えた。

敷地内には、拝殿の他に申し訳程度の立て看板が設置されているのみである。また、拝殿の手前に面を付けた和服の女性が立っている。女性は炊き出しを配っているようだ。

「(あれ、人がいる…)」

「(…完全に同じなわけじゃないのかな……)」

「殺風景だけど悪くないな。」

竹 一応先に立て看板見とく。

祀っている神様の説明が書かれた立て看板である。看板には三日月と勾玉が描かれている。御手洗は、この立て看板に見覚えがある。ただし、記憶の中より状態は良い。

 

月読命(ツクヨミ)
夜を統べる神であり、黄泉の世界を統治している。月と暦の神とも言われる。また、若返りの水の管掌者として現れ、「月と不死」の信仰の対象となることもある。
夜は人の眠る時間であり、夜を統べる神は夢や夢の国にも関わりがある。また、暦の神であることから時を司る神とも関わりがある。

 

塵 歴史振れます。

竹 歴史20で振ります。→11成功

日本神話には三貴神と呼ばれる神がいる。天照大御神、月讀命、須佐之男命である。皇統の証であり、日本の究極の宝物である「三種の神器」はこの三貴神を体現している。
鏡はアマテラス、勾玉はツクヨミ、剣はスサノオである。

竹 ここ進研ゼミで見たやつだ!

「(情報がずいぶん分かるようになってる…ただ時間を巻き戻してるわけじゃないのかな……)」

竹 拝殿見る。

拝殿に向かおうとする御手洗と門倉に、面を付けた女性が声をかけてくる。

『こんにちわぁ』

『美味しい葡萄のじゅうすと、筍の煮物はいかがぁ?』

『お兄さん、どお?』

門倉の方へずいっと椀を近づける。

「あ……」

五穀の収穫を祝う神事が行われる。米や酒、海の幸、山の幸、その季節に採れる旬の食物等を供える。
この時に供えた物は神饌(しんせん)と呼ばれ、儀式終了後に捧げたものを撤下神饌(てっかしんせん)として共に食すことにより、神との一体感を持ち、加護と恩恵を得ようとする直会(なおらい)とよばれる儀式が行われる。

竹 ↑これを思い出す

「いや、生憎二人とも満腹だ。お断りしておく。」

「(…もし、この食べ物がを撤下神饌なら…試してみる価値はあるのかな……)」

「…あの、いただきたいです、私……」

門倉はぎょっとした様子で御手洗を見る。

「…門倉君も…一口くらい味見してみない……?」

 

「ダメだ!」

間髪を入れず、門倉が叫ぶ。

「え……」

「御手洗、その椀に口をつけるんじゃない。」

強く咎めるような口調で門倉は言う。

「…門倉君……?」

竹 口はつけないよ。

『あらあら、随分警戒なさるんやねぇ。ほんなら、お兄さんが毒見すればええんとちゃいます?』

女性は葡萄ジュースの入った椀を門倉の方へ突き出している。

「…。」

門倉は睨みつけるように女性を見据え、椀には目もくれない様子だ。

「…門倉君、」

「なんだ…。」

門倉は少しこわばった顔で振り返る。

「…何か…知ってるの……?」

「…何のことだ。」

ふいっと顔を逸らして、ぶっきらぼうに答える。

「(…言いたくない…いや、言えない、のかな……?)」

「とにかく、その食べ物を彼女に近づけるな。」

女性に向かって語気を荒げてそう告げる。

『こわいこわい…。ほんならうちはこの辺で…。ふふ…。』

女性は拝殿から少し離れてこちらを見ている。

御手洗は女性から離れると軽く門倉に身を寄せる。

門倉はその様子を見て、こわばっていた顔が少し緩んだように見える。

竹 それを見てぎゅって抱きしめていいですか?

竹 抱きしめる。

「…っ!急に、驚くだろう。」

「…門倉君、私何もわからなくて……。…門倉君にも、何か言えないことがある、のかもしれないけど…でも……やっぱり私、絶対門倉君には死んでほしくない……。それに…あんな終わり方、あんまりだよ………」

御手洗は、そのまま門倉の肩口に顔をうずめて泣きだしてしまう。

「…俺は、何も知らない…。知らないが…、」

「泣かないでくれ、御手洗。」

門倉はそろそろと御手洗の頭に手を添えて抱きしめ、あやすように頭をさすっている。

御手洗は更に涙が止まらなくなってしまい、門倉にしがみつくように抱きしめる力が強まる。

なんとか御手洗を落ち着かせようと、門倉は背中を少し強い力で叩く。

竹 やっと落ち着いてきた。

御手洗が落ち着いてきてもずっと背中をとんとんしたり、頭をさすったりしている。

「…門倉君、ありがとう……こんな私で本当にごめん……。…大丈夫、大丈夫だよ、きっと……」

半ば自分に言い聞かせるようにぼそぼそと言う。

「俺は、よく、分からない、が…」

頭を撫で、続けて言う。

「俺は、今の御手洗で良いと思う。」

門倉の撫でる手とかけられた言葉のあたたかさに安心感を覚える。

「……どうしよう……やっぱり好きだなあ、どうしようもないや……」

御手洗は諦めたように苦笑いして首を振る。

「な、なんだ、急に…。」

撫でるのをやめると、口を結んで黙ってしまう。

「…えへへ……。…お参り、してく?やめた方がいいかな…?」

拝殿の方をちらっと見る。

「折角来たんだ、参拝していこう。」

「…うん…。」

 

本殿らしきものはなく、拝殿のみがある質素な造りである。中の様子は、障子が締め切られている為、見ることは出来ない。中は、物音はしないが明かりがついているのか淡く光が揺れているように見える。

「…ここでは、この神社は寂れてないんだ……」

ボソッとつぶやく。

「ここに、賽銭箱があるな。」

賽銭箱が設置されている。中には、申し訳程度に賽銭が入っているようだ。

「本当だ…誰か、お賽銭をした人もいるんだね……。」

塵 いくらくらい入ってるんだろ~!気になる~!

竹 確認します。

5円玉が二枚入っているのが見える。

「(…これ、もしかして…私たちが投げた5円玉…?)」

「ん、ちょうど五円玉があった。」

御手洗がのぞき込んでいる間に門倉が呟く。

「あ……ちょうど、いいね……。」

ちょっと顔を曇らせる。

「御手洗はあったか?」

「あ、うん、えっと……」

竹 財布を確認する。

竹 幸運65で振ります。→18成功

竹 5円玉あった。

「あ、私もあった…」

「よし、一緒に投げよう。」

塵 チャリーン

竹 チャリーン

二人は小銭を投げ入れて参拝した。

竹 めちゃくちゃ心の中でお祈りする。

「(どうか門倉君を救ってください)」

「随分たくさん願いがあったんだな。」

大通りに戻りながら門倉がそう言って少し笑う。

「…うん、絶対に叶えてほしいお願いがあったんだ……。」

「…そうか…、叶うと、いいな…。」

「…うん……。」

門倉の顔を見てると泣いてしまいそうなので目をそらす。

塵 アイデア振ってください。

竹 アイデア65で振ります。→27成功

神社から戻る途中に古書店があることに気付く。

「あれ…こんなところに本屋さん……。さっきもあったっけ…?」

「ん?ああ…、気付かなかったな。少し奥まったところにある。」

「…入ってみる?面白い本、あるかも……。」

「そうだな…行ってみようか。」

 

竹 ほんやさん。

古い本が棚に並んでいたり、台の上に平積みされたりしている。店員は留守なのか見当たらず、声をかけても誰も出てこない。レジカウンターの上に、無造作に一冊の本が置いてあるのが入り口から見える。

「…誰もいないみたい……。でも、本見るだけなら大丈夫、かな…?」

竹 本棚見る。

塵 図書館もしくは目星を振ってください。

竹 図書館60で振ります。→84失敗

塵 門倉も振ります。図書館45→89失敗

竹 目星50で振ります。→42成功

『日本の神話』というタイトルの本が目に留まる。

 

イザナミは火の神カグツチを生んだ際に、火傷で亡くなった。イザナギは愛する妻のイザナミを迎えに行く。
しかし、イザナミは死者の世界の食べ物を既に食してしまっていたので「帰れない」と断った。死者の世界の食べ物を食べたものは、生者の国には帰れないのである。これをヨモツヘグイという。
イザナギは、黄泉の国の門を隔ててイザナミと会話をする事が出来た。「帰ってきて欲しい」というイザナギに対して、イザナミは「黄泉の国の神と相談します」と答えた。そして、その間は「中を絶対に覗かないでください」と言った。しかし、待ちきれなかったイザナギが中を覗いてしまい、変わり果てた醜い姿のイザナミを見る事になる。約束を破ったイザナギに、醜い姿を見せたくなかったイザナミは怒り、驚いて逃げたイザナギをヨモツシコメに追わせた。
黄泉比良坂まで逃げたイザナギは、追っ手の軍勢に桃の実を投げて追い払った。桃は別名で《仙果》と書き、仙人の果実と言われ邪気を払う食べ物とされているのである。黄泉の国から帰ってきたイザナギが悲しみ、涙を流した際に「ツクヨミ」が生まれた。ツクヨミはその後、夜を統べる神となった。

 

竹 そういうこともね。

竹 レジの本見る。

『神話と果実』というタイトルの書かれた本である。ぱらぱらと中を見てみれば、枯れ葉が挟まっているページがある。

竹 開く。

 

【桃‐モモ‐】
古代の日本や中国では、桃には邪気を払う力があるとされていた。鬼を退治する桃太郎が桃から生まれたのも、この考えが元になっている。
【柘榴 - ザクロ - 】
古代の中近東では、柘榴は虫がつかない果物として唯一、神殿に持ち込むことを許された。愛の象徴、血液の象徴、豊穣・多産の象徴とされ、不老長寿の薬、再生と不死のシンボルとされた。
【林檎 - リンゴ -】
旧約聖書ではイブが悪魔の化身である蛇に唆され、楽園から追放されるきっかけとなったのが林檎だとされてる。神と同等の知識を得る実であると同時に、人の罪を象徴する果実でもある。

 

竹 そういう、こともね。

「やっぱり古書店だからかな、神話とか、そういう古い本が多いね…。」

「さて、そろそろ学会に間に合わなくなってしまう。御手洗、悪いがここで解散しようか。」

「あ……」

「…うん、やっぱり行くんだね……。」

「…折角、時間をとっておいたのに、すまないな。」

「…………」

思わず閉口してしまうが、必死に言葉を絞り出す。

「…ううん、大丈夫、だよ……。…今日は楽しかった…。くれぐれも…気をつけて、ね………」

竹 目が虚ろ

御手洗を無言で抱き寄せる。

「…。」

「…!……っ、学会、遅れちゃうよ?」

泣いてしまいそうなのを隠すために顔をそむける。

「…ああ、そうだな。」

「でも、もう少し…。」

 

そこで突然、御手洗の視界が真っ黒に塗りつぶされる。そのまま、御手洗の意識は途切れてしまった。

 

目の前が真っ暗になった御手洗は、自分が夜のような暗闇の中に立ち尽くす夢を見る。暗い中でも自分の姿を確認できるのは、空に浮かんだ月の明かりのおかげだろう。

月以外は何も見えない空間で、男性と誰かが話し合っている声だけが聞こえる。その声の聞こえる方向を確認しても見えるものは何もない。男性の話し相手の声は、男とも女ともつかないものである。

 

?「ダメじゃないツクヨミ。ドリームランドから勝手に出て覚醒の世界に干渉しちゃ」
男性「父母のようで、哀れに思ったのだ」
?「人間の思う《希望》と、我々の思う《希望》は一致しないよ」
男性「…………終焉なき終わりは幸に非ず、か」
?「一応、下級の神々の保護団体の一員だからね。監視のミスもあったし手を貸すよ」
男性「許し給え」
?「いいよ、結果的に面白いことになってるしね」

 

塵 アイデア振ってください。

竹 アイデア65で振ります。→27成功

 

男の声は、前回の夢で自分たちと話していた相手と同じ声であり同一人物だろうと推測することができる。