【CoCセッションログ】辿る四十の九


意識が浮上する。そのまま瞼をひらき、自室の天井を認識する。妙に気分が重い。覚えてこそいないが、先ほどまで何か恐ろしい目に遭っていたような感覚がする。

「んん……」

悪夢でも見ていたのだろうか。ぼんやりと思索を巡らせながら、あなたはそのまま寝起きの身体を持ち上げる。刹那、ひどい痛みが頭に走る。気を抜けば倒れ込んでしまいそうな程の強烈な頭痛だ。思わず顔を歪める。

「…ッ……!」

しかし、それよりも気にかかることがあった。部屋にある物こそいつも通りだが、視界に入るすべてが赤く染まっている。その原因だと思われる赤い光はどうやら窓から射しこんでいるようだ。貴方は朦朧とする意識の中、僅かに残った気力を頼りに窓の外を覗く。

「……?なんだ、アレ……」

そこに広がる光景は目を疑うようなものであった。夕焼けにしては赤すぎる空、転がる人々の死体。何より異質なのは、それを今もなお食い荒らし続ける黒い影。あまりにも現実離れした光景だ。あなたは思わず恐怖するだろう。SANc1/1d6

竹 SANc53で振ります。→91失敗

竹 減少値1d6で振ります。→3

あなたはそれを見て思わず後ずさるかもしれない。状況を理解することが出来ず、その場に立ち竦んだかもしれない。だが、落ち着くための十分な時間を与えられることはなかった。その瞬間、あなたの頭上の天井ががらがらと轟音を立てて崩れたのだ。

塵 回避振ってください。

竹 回避62で振ります。→36成功

「あぶなッ!」

あなたは瞬時に判断し、間一髪でそれを避けることができた。だが、危機を完全に回避することはできなかったらしい。天井が崩れた際の衝撃のせいだろうか、逃げた先にあった棚があなたに向かって倒れてきたのだ。

「…あ……!」

ぐしゃり。厭な音がした。その音がどこから発されたものなのかを自然と理解してしまう。どうやら腹から下を潰されたらしい。酷い痛みが走り思考が混濁する。どくどくと流れる血液が、視界の赤に妙に馴染んだ。

そしてぶつりと意識は途切れた。

塵 1d4振ってください。

竹 1d4振ります。→1

 

は、と目を覚ます。そこは暗い部屋だった。粗末な家具と扉のみが存在している無機質さが牢獄を連想させる。

「…っ、なんなんだよ……」

先ほどまで見ていた光景は何だったのだろう。潰れたはずの腹から下が無事なのだから、ただの悪い夢だったのかもしれない。だとしても、気分の悪い出来事であったのは確かだ。ひどい頭痛は今も続いている。

SANc(0/1d4)

竹 SANc50で振ります。→33成功

塵 アイデア振ってください。

竹 アイデア60で振ります。→55成功

この頭痛は外傷による痛みなのではないかと感覚的に察知する。痛む箇所に触れてみれば血液が付着した。

「……止血する道具とか、ないのかな……(辺りを見回す)」

目が暗さに慣れてきたころ、あなたは改めて周囲の様子を確認する。大した広さもない独房のような部屋だ。引き出し付きの机、本棚、ゴミ箱が置いてある。トイレなどの生活に必要なものも設置されている。この部屋の中の人物が自ら外に出ることは想定されていないのかもしれない。

だが、あなたの意識はそれらとは別のものに吸い寄せられることになる。……床に、人間がひとり倒れ伏している。血まみれの死望要だ。

「……ッ…!? 要……!!(駆け寄る)」

血液は主に頭部から垂れ流れたもののようで、周辺の床と上半身を赤く汚していた。

「…要……(無理に起こすと痛がるかもしれないので、息があるか、周囲に手当の道具が無いか先に確認しようとする)」

あなたが近づくと、死望はゆっくりと瞼を持ち上げる。目を覚ました死望はひどく虚ろな目であなたを捉える。そして怯えたような表情で後退り、口を開く。

「ひぃ……!やっ、やめてくだ、さい。ころさ、ないで……。ぃ、や……いやだ……。しに、たくない、しにたくない……、もうしぬのやだ……」

「…か、要……?しっかりしろ、俺だよ……!殺したりなんかしないって……な?(近づき、肩を揺さぶりながら精神分析)」

「ひぃい……」

「…怖くない、怖くないぞ……」

塵 アイデアか精神分析振ってください。

竹 芸術(精神分析)85で振ります。→31成功

「……ぁ、かず、さん……?お、おれ…………。……!すすみませ……っ、変なもの、見せちゃって……」

ひどく錯乱している様子だ。まともに対話をするにはすこし落ち着かせる必要がある。

「……良かった、気づいてくれたんだな。…怪我もしてるみたいだし、何かあったんだろ…?大丈夫、俺がいるから、な?」

「……ほ、ほんと、すみません。ちょっと錯乱しすぎてた、みたいで」

「ん、怖いことがあったならしょうがないって。そんなに謝らなくていいよ」

「すみませんっすっみません……」

「…怪我、痛まないか?ずいぶん出血してるみたいだけど……」

「あっあ、だ、いじょうぶっす……痛っ……」

塵 目星の1/2か医学振ってください。

竹 目星1/2=35で振ります。→46失敗

「大丈夫って、痛がってるじゃないか…。…とりあえず、今置かれてる状況を整理しないと……。外に出ないことには、手当のしようもなさそうだしな…(心配そうに要の頭部の傷を眺める)」

「っう……、ぁ……?か、カズさんもっ……血、出てる……!どっどどし、どうしよぅ……っ!(頭部の傷に気づき目を見開くが、触れるわけにもいかず、あたふたと両手を彷徨わせる)」

「…あー、バレちゃったか?…いや、俺のは要ほど出血酷くないから…そんなに心配しなくても大丈夫だぞ」

「そ…そ、なこと……言われ、ても……っ(落ち着かない様子で傷と顔を交互に見やる)」

「心配してくれてありがとう、要は昔から優しいもんな…。じゃあ、要の傷を手当する時、一緒に俺のも治そう」

「い、いや……カズさんの方が、優しいっす……(照れるように視線を下げてごにょごにょと呟く)」

「要も、ここに来るまでのことは覚えてないのか?…もし思い出したくないなら、無理する必要はないけど…」

「ぇ?あ……え、と……俺気づいたら、ここに居て、それからずっと、恐い夢……見てました……」

「…そっか。じゃあ、二人とも頭を殴られて、気絶させられて運ばれたのかな?見た感じ、この部屋牢屋みたいだし」

「カズさんも、その……俺と同じような感じ、なんすね……」

「ああ、俺はその、恐い夢っていうのは…多分、1回しか見てないけど。…要は何度も見たんだな…。そりゃ、怖かったよな…。(傷の部分に触れないようにしつつ、安心させる様に頭を軽く撫でる)」

「……っ!……ぁ、う…………(一瞬身体をこわばらせるが、撫でられていると気付くと恥ずかしそうにされるがままになっている)」

 

「あ、あの……実は俺もまだここに何があるのか、いまいち知らないんすよね…………。あの……カズさんがよければ、見て回りません?探したら、脱出の手がかりとか、見つかるかもですし……」

「あ、ああ。要が動けそうなら、そうしよう。…でも、あんまり無理はするなよ?とりあえず、扉の状態を確認してみよう。もしかしたらあっさり開いちゃうかもしれないしな。(悪戯っぽく笑う)」

「っす……カズさんも、無理しないでください……。……そ、うっすね……(どぎまぎと返答する)」

扉に近づいてみるのであれば、電子ロックで閉ざされている。かなり厳重なものであり、壊すのは難しそうだ。

「うわ、電子ロックか…。流石にそう上手くはいかないか…。机はどんな感じかな……」

「……(後ろからこそこそ着いて来る)」

粗末な机だ。机の上にはペンと数十枚の紙が散らばっている。引き出しはいくつかあり、殆どに鍵がかかっている。だが、その中に一つだけ鍵がかかっていないものがある。開けてみれば、小さなナイフが一本と睡眠薬が入っていた。

「…うーん、使えそうにないなあ……。ナイフは、護身用に持っとくのはいいかもしれないけど…。…要、嫌じゃなければナイフ、持っておくか?(ナイフを渡す)」

「ぁ……、ナイフ…………。い、一応、持っとくっす……(瞳に影を落とし受け取る)」

「この紙は何が書いてあるんだろう…?(机の上を見る)」

散らばった紙のうち数枚に何かが書き綴られている。どうやら誰かが残した日記らしい。数日おきに綴られている。

「何すかね……これ」

 

【誰かの日記】

〇月×日

ここはどこだ?わからない、気づいたらここに居た。

頭がひどく痛んでいる、殴られたのだろうか。現実味がなく、妙に冷静な気持ちだ。

ひとまず部屋を見て回った。出る手段はなさそうだ。監視カメラもついている。本、そしてペンと紙があっただけ幸いかもしれない、状況の整理のためにもここに現状を書き連ねることにする。

 

〇月×日

眠る度に悪夢を見る。化け物が徘徊する異界、そして最後には必ず自分が死んで終わる。

いくら夢だとはいえ流石に気が滅入ってきた。だが、眠る以外に暇を潰す手段はない。

一日に一度黒い装束を纏った男が粗末な食事を運んでくる。監禁して殺すつもりなら食事を与える必要はないはずだ。何か違う目的があるのか?

ふと引き出しを開けてみたらナイフが出てきた。自害を勧められているようで癪だったのでたまたまポケットにあった睡眠薬と共にもう一度しまっておいた。

 

〇月×日

悪夢しか見ない。気分が悪い。物を書く気力すら薄れてきた。

扉の鍵を何とか壊してやれないかと試したが、電子ロックのようでびくともしない。

私はここで死ぬのだろうか。

 

〇月×日

あたまがわからな、てがふるえ、もううまくじ 、をかくこともでき。ない

きょ、ううはおんな、がきて、なに、かをはこにすてていった。かみ?

「か、けて」といってい、た。なに、をだ?

ゆめ、はくるしい。くるしい、くるしい、くるしい。

わから、ない。こんなにくるし、なら、さ、さ、とほんとうに。しぬ、べきだ

 

内容は以上。

最初は丁寧だった筆跡や文体が次第に乱れていく様子が非常に不気味だ。SANc0/1

塵 SANc74で振ります。→15成功

竹 SANc50で振ります。→60失敗

「…はは……、なんだこれ、まさか…俺たちの前にここに連れてこられた奴、とかか…?(少し冷や汗をかき苦笑いで言う)」

「そう、かも……しれないっすね…………。早く、出た方が、いいかもしれないっすね…………(眉間に皺を寄せ紙を戻すと、不安そうに視線を合わせる)」

「いや、必ず出れるさ……ほら、食事を運んでくる奴がいるなら…その隙に、とかな」

「そう……すね…………(顔を青ざめて俯いたまま、ぼそぼそと返す)」

「…ああ、そういえば、牢屋みたいなのに本棚があるってのも不思議だよな。目的がわからないっていうか…(本棚を見に行く)」

様々な本が詰められている。オカルトチックなものが多いが、誰でも一度はタイトルを聞いたことがあるような有名小説から医学書までとにかく雑多に置かれているようだ。

塵 図書館振ってください。

竹 図書館50で振ります。→89失敗

塵 図書館68で振ります。→63成功

「……ぁ、なんか……夢占いの本がありましたよ。役に、立たないかもしれないっすけど……」

「夢占いか……結構ああいうのって、悪い夢の方が良い兆候だったりするんだよなあ…。とにかく、変な夢を見るっていうのは俺たちにも、前にいた奴にも共通してるみたいだし、詠んでみるのも手かもしれないな」

 

夢占いは、夢に出てきたものや状況を元に、現在の心理状態や近い未来に起こる出来事などを判断する作業のこと。夢の内容には、見えない世界や無意識領域からの意味のあるメッセージが隠されているのです。例えばあなたがどうしようもない現状に悩んでいる際に夢の中で公衆電話を見つけたのなら、それはとても素晴らしいことです。公衆電話を見つける夢は、あなたが人のアドバイスや助けなどを近いうちに得ることができる暗示です。この暗示を受け、さらに一歩行動してみることが大切です。そうすれば、明るい未来はあなたの元に訪れるでしょう。

「公衆電話…?ピンポイントで……?」

「公衆電話なんて……今時なかなか置いて無いっすよね……」

「あーたしかに、最近見ないよなあ。少なくとも、令和の子供向けの本じゃないっぽいな。(冗談めかして笑う)」

「へ、へっ……そうっすね……はは…………(頬を引き攣らせて作り笑いを浮かべる)」

「あとは……ゴミ箱くらいしかないか…」

紙ごみを中心に様々なものが捨てられている。一見変わったところはない。

塵 目星振ってください。

竹 目星70で振ります。→92失敗

塵 目星65で振ります。→38成功

「ん……?なんか、メモが……」

繊細な女性らしい字だ。「29913」と書かれている。

「おお、よく見つけたな要…!えらいぞ!(傷を避けて頭をぽんぽんする)」

「っあ……、ぁざっす…………(緊張していた表情を少しだけ和らげる)」

「これが何の数字かは……今はちょっとわかんないけど。…あと、出来ることと言ったら……。…寝る、くらいか……(睡眠薬の入った引き出しに目線をやってから、ちらりと死望の様子を伺う)」

「っ…………、そう……っすね…………(絞り出すように言うと、口をぎゅっと結んで黙りこくってしまう)」

「……要、もし、夢の中で何が起きても……これは夢だから、って考えることにしよう。起きたら…必ず俺が側にいるから。…ちょっとだけ、頑張ろう?(死望の手をぎゅっと握る)」

「……は、い…………(弱々しく手を握り返す)」

あなたたちは睡眠薬を飲み下す。次第に意識は朦朧とし、そのままぶつりと途切れる。

 

意識が再び浮上する。眼を開けて真っ先に認識したのは、異様なほど赤く燃え上がる太陽だ。どうやら地面に横たわっていたらしい。周囲を確認してみれば、そこは公園のようだった。あなたはこの場所に覚えがある。あなたが住んでいる街で最も大きな公園だ。ここでも明らかに異様な光景が広がっていた。人々の憩いの場であったはずの場所が死体と血液で塗れている。それを貪る”何か”がいる。先ほど遠目で確認した黒い影の正体をあなたは改めて把握するだろう。

「(…これは……あの夢の、続き…?)」

それは奇形で目がなく、小さな亜人間のような姿をしていた。ぼろぼろの布を纏っており、手さぐりで動きながら両手の口と顔の口で一心不乱に屍肉を噛みちぎっている。一体だけではない。群れを形成し、取り囲むようにして冒涜的な食事を行っている。ぐちゃ、ばき、がり。厭な音が響いている。この化け物に見つかったら最後、骨の髄まで啜られるのが末路だろう。

イゴーロナクの従者を目撃したことによるSANc0/1d4

竹 SANc49で振ります。→79失敗

竹 減少値1d4で振ります。→2

塵 SANc74で振ります。→37成功

「なっ……んだよ、アレ……。あっ、要…!」

「や、ばそうっすね…………(思わず服の裾を掴む)」

「ああ…。でもよかった…今度は二人で一緒なんだな……(安心したように微笑む)」

塵 アイデア振ってください。

竹 アイデア60で振ります。→63失敗

塵 アイデア80で振ります。→9成功

塵 目星振ってください。

竹 目星70で振ります。→48成功

掲示板に地図が貼ってある。よく確認するためには近づかなければならないだろう。

「視覚は機能してないみたいっすから……頼りにしているのは聴覚だと思うんで、音を立てずに移動すれば問題ないんじゃないすかね……」

「あ、そっか…あいつら、目、無いみたいだもんな…。よく気付いたな、要…!あそこの掲示板に地図があるから、こっそり見に行ってみよう」

塵 イゴーロナクの従者に見つからずに移動するためには、どちらかが<忍び歩きorDEX×3>に成功する必要がある。

竹 DEX×3=42で振ります。→94失敗

塵 忍び歩き60で振ります。→72失敗

音を立ててはいけない。慎重に、かつ確実に足を進める。しかし、不意に注意が途切れたのだろうか。はたまた、足がもつれ躓きそうになってしまったのだろうか。ざり、と砂で出来た地を踏みしめる音が響いた。嫌な汗が伝う。瞬間、その音よりも大きく、かつ数の多い足音が聞こえてきた。あの怪物たちが、自分たちに近づいてきている。様々な場所に散っていた彼らは群れを成し、新たな贄が現れたことに歓喜し、逃げられぬよう辺りを囲む。

抵抗しても無駄だ。本能的に悟ってしまう。逃げても彼らは追ってくるだろう、撃破しようにも多勢に無勢である。そのままあなたたちは取り囲まれ、そして地面に押し倒される。

「っ……やべえ、な……(押し倒される直前に要の手を握る)」

「ぁ……、カズ、さん……ごめんなさ…………っ(手を握られ、はっとしたように斎場の顔を見て泣き出しそうな声で謝罪する)」

「ッ……要っ!大丈夫、…ッ、大丈夫だからな…っ……!!」

ぶち、ぐちゃ、がり。水気のある厭な音と共に、身体のあらゆるところに強烈な痛みが走り、意識せずとも手足がびくりと跳ねる。どうやら端から喰われているようだ。死は残酷なほど緩やかに近づいてくる。

「ひ”ッ、…………ぁ、あ、あ”……!!」

永遠とも思えるような苦痛を味わい、あなたの意識はようやく落ちる。目が覚める。そこは赤に包まれた悪夢の中ではなく、確かに現実であった。無機質で冷たい牢獄のような部屋に安堵を覚えることは、こんな状況でもなければ有り得ないだろう。

「あ……はっ、戻ってきた、か……(フーッ、と大きく息を吐き胸を撫で下ろす)」

「はぁ”っ……!ゲホッ、げほ………(止まっていた呼吸を取り戻したように勢いよく息を吸い込んで噎せる)」

「…要、大丈夫…か?」

「かず、さん……(涙を溜めた目で斎場の方を向き、手を強く握る)」

身体を確かめてみれば、頭部に元々負っていた傷以外は何も残っていない。しかし、先ほどまでの苦痛は記憶の中に残っている。夢で感じた自らが死にゆく際の痛みで、確かにあなたの精神は摩耗していたSANc0/1d4

竹 SANc47で振ります。→65失敗

竹 減少値1d4で振ります。→1

塵 SANc74で振ります。→51成功

「ッ……要は、あんな辛い思いを何度もしてたんだな……(冷や汗をかきながら目を伏せる)…っもう、一人で苦しまなくてもいいからな……(死望をそっと抱き締める)」

「ハ……っ、ぃ、たかった…………こわかった……!(目の前の身体に縋りつき、ぽろぽろと涙を流す)」

「…ああ……、痛かったな……ッ…(抱きしめたまま死望の背中をさすりながら、自身も夢の中の出来事を思い出し顔を歪ませる)」

「っふ……ぐ、ぅ…………も、やだ…………」

「……うん、しばらくそのままでいい、無理しなくていい……(死望が落ち着くまでずっと背中をさすったりぽんぽんしたりし続ける)」

「ぅ、う”~っ……(胸に頭を押し付けて顔を見られないようにし、泣き声を抑えようとする)」

「(死望の背中をさすりながら、もう一度夢を見て情報を集めないといけないな、最悪俺だけ寝るか…と考えている)」

「ひッぅ”…え”ぅっ…………か、ずさん……、すみ”、ませっ……(涙と鼻水で汚れた顔を乱暴に服で拭って向き直る)」

「ん、大丈夫だぞ。…要、落ち着いたか…?(死望の片手を握り伺う)」

「は…は、ぃ…………(気まずそうに目を逸らして小さく告げる)」

「…あんなの、何度も経験したら…そりゃ誰でもそうなるよ…。だから、要は何も悪くないぞ」

「ぁ、りがとう…ございます……」

「…ここから出るためにはもう少し…睡眠薬を飲んで、情報を集めないといけない、と思うんだが…。もし、要がつらいなら、俺だけ飲んで夢を見てもいいと思ってる。…要は、どうしたい…?」

「い、いやっ、俺も、行きますっ……」

「わかった、ありがとう。要がいてくれると、俺だけじゃ気づけないことも気づけたりするから、すごく助かるよ」

「…………、(こくりと頷き、少し頬を緩ませた)」

「えっと…睡眠薬はあとどのくらい残ってるかな…?」

「一回につき一錠以上服用しないこと」と書かれており、残っているのは4錠。

「(…よし、次はさっきよりももうちょっと、先に進めるよう頑張らないとな…。)」

「…要、もう飲んでも平気か?もうちょっと待ってもいいけど……」

「大丈夫、す……。行きましょう……カズさん(まだ目は腫れているが、先ほどよりも強い眼差しで斎場を見据える)」

「…うん。頑張ろうな、要」

「はい……っ」

 

 

意識が再び浮上する。眼を開けて真っ先に認識したのは、異様なほど赤く燃え上がる太陽だ。どうやら地面に横たわっていたらしい。

周囲を確認してみれば、そこは先ほどの公園のようだったが、今度は地図の目の前にいた。この公園にあるものを表した簡易的な地図だ。かわいらしいタッチで描かれた様々な遊具が実際の場所通りに記されている。公衆電話も存在している。現在地のほぼ正反対の位置にあるようだ。近づくためにはどれか一つ、大きく場所をとっている遊具の近くを通り抜ける必要がある。天井が崩れ落ちてきたことがある以上、大きなものは十分に警戒しなければいけないだろう。

塵 シークレットダイス【1d3】を振ります。→3(滑り台が正解)

「公衆電話、か……。さっき読んだ夢占いの本を思い出すな。…とりあえず、目指してみようか」

「ブランコと、ジャングルジムと滑り台があるみたいですね……」

「うーん…一番崩れてきた時の被害が少なそうなのは……ブランコ、かな?」

「は、い……危なそうなんで、早く通っちゃいましょう……」

あなたはブランコの近くを通ることを選択する。注意深く、息を殺して移動する。このままであれば何事もなく到着できるだろう。そう安堵した途端、ブランコを支えていた鉄柱が外れ、鎖を鳴らしながら呆気なく崩壊した。

無情にも外れた鉄柱はそのままあなたたちの方に倒れてくる。

塵 回避振ってください。

竹 回避62で振ります。→68失敗

塵 回避52で振ります。→45成功

あなたたちはそれを何とか避けることができた。急いで目的地へと駆け出す。

「カズさん危ないっ……!」

「うわっ……!」

「口に砂入った……」

「ふう……大丈夫か?要……。…いや、しかし…要のおかげで助かったよ。ありがとうな。(死望の肩をぽんぽん叩く)」

「あ、すすっみません……カズさん、怪我してないっすか……?(申し訳なさそうにちらちらと視線を寄越す)」

「俺は平気だよ。要は?どこか痛めたりしてないか?」

「だ、大丈夫っす……」

あなたたちはついに公衆電話に辿り着いた。この周りに死体は落ちておらず、それ故かあの化け物たちも近くにはいない。多少の音であれば立てても平気だろうと思う。

「ひとまず安心…、って感じだな。扉は開くかな…?」

「あぁ……、良かった……」

「…さっき、要がゴミ箱から見つけてくれたメモ、あっただろ?…あれに書いてあった数字、電話番号だったりしないかな…?」

「ぁ……、そう、なんすかね……?ええっと……(電話をちらりと見て、さっと目を逸らす)」

「番号覚えてるし、俺、かけてみるよ。役に立つかわかんないけど…やってみるしかないよな。要は…一応、危ないから一緒に電話ボックス入って、待っててくれるか?」

「ぇ、あっはい……、すみません……(とぼとぼと電話ボックスまで着いて来る)」

あなたは番号を打ち込み、受話器をとる。最初は僅かなノイズが聞こえるのみであったが、次第にそれは明瞭になっていく。澄んだ美しい女性の声だった。

「…もしもし?」

「……よかった!辿り着いてくれたのね、聞こえるかしら」

「はい、聞こえてます。…ええっと、あなたは…?」

「よかったわ。私は%#@$※よ」

塵 クトゥルフ神話技能振ってください。

「(外国の人なのかな…)」

「ごめんね、本当はこんな回りくどい手段を取りたくは無かったんだけれど…監視カメラがある以上、派手な行動はできなくて……もう大丈夫よ」

「えっと……あなたは味方…、なんですね。事情はよく分からないんですけど、とりあえず、ありがとうございます。…あの、俺たち、これからどうすればいいんですか?…帰る方法を知ってるなら、教えていただきたいです」

「そうね、そろそろ本題に移りましょうか。私はあなたたちをここから救うためにここまで導いたのです。……あの部屋から抜け出す方策をお教えしましょう」

「は、はい…!お願いします……!(少し身を乗り出し、目を見開いて聞く)」

そう言って、彼女は何か得体の知れない言葉を紡ぎ出す。冒涜的な響きをしているそれをあなたは何故か理解することができる。

「(わかる!)」

 

【門の創造】

使う者を別の場所、別の次元、別の世界へ行かせてくれる呪文。使用するには模様を壁に描く必要がある。本来はPOWを消費する必要があるが、このシナリオに限り消費はなしとする。

創造した門を通り抜ける際には1マジック・ポイントと1正気度を消費する。

 

「安全に抜け出すにはこれが一番でしょう。逃げ出したことを悟れば追手はつくでしょうが、それは我々でどうにかします」

「(呪文だ…!!)あっ……ありがとうございます…!要、ここから出られる方法がわかったぞ!この人が教えてくれたんだ!(目を輝かせ要の方を振り返る)」

「ほ、ほんとっすか…!(少し目を見開いて顔色がよくなる)」

 

「さて、こんな夢からは醒めてしまいましょう。後は上手くやれることを祈っております」

彼女の声を最後に、あなたたちの意識はゆっくりと、そして穏やかに落ちていく。

「(あ、あれ……?こんな時に……)」

 

再び目を覚ます。そこは先ほどまであなたたちが居た個室だ。どうやら夢から醒めることができたらしい。

「カズさん…?大丈夫、すか……」

「……よかった、死なずに戻ってくることが出来たんだな」

「…っはい……(少し安心した様な顔で息を吐く)」

「要も……見たところ怪我、無さそうだな。安心したよ。(にっこり微笑む)…そうだ、あの電話の人が教えてくれた方法だけど…。ちょっと、非現実的だって思うかもしれないけど、ここから出るための呪文、があるらしいんだ」

「呪、文……ですか……?」

「ああ。唱えた者を別の世界に移動させる呪文…らしい。呪文の内容は、俺が1回聞いたから唱えられると思う。行き先がどうやって決まるのかは、ちょっとわかんないけど…多分、どこに出てもここよりマシなんじゃないかな。(肩をすくめ苦笑いする)」

「なる、ほど……、なんかファンタジーっすね……。カズさんなら大丈夫っすよ、きっと……(手をぎゅっと握って斎場を見つめる)」

塵 アイデア振ってください。

竹 アイデア60で振ります。→83失敗

塵 アイデア80で振ります。→29成功

「ありがとう、要。必ず、二人で生きて帰ろうな。(手を握り返す)」

「でも……模様を描くなら、インクとかはなかったっぽいですし……。それなら……うーん、流れてる血も乾いてる……ので、もし、模様を描くのであれば、俺たちのどっちかの血を、インク代わりにする必要があるんじゃない、すかね……」

「…ああ、そうだな…。要は、最初の出血量が多かったし…これ以上血を流すと危ないかもしれない。俺がやるよ。ナイフ、貸してくれるか?」

「えっ……!ぃ、いや……ぉ俺がっ、やり、ます……(ナイフを握りしめて隠すように背を向ける)」

「駄目だ。…それに要は、俺よりたくさん痛い思いしてきただろ。模様を描くだけなら、大したダメージにはならないと思うし……渡してほしい。(真剣な眼差しで死望を見つめる)」

「どっどうせっ、俺の身体なんて、元々傷だらけだし、い、今更…ナイフ当てるくらい、なんてことないっすって……へ、へへ……っ(斎場の言葉が聞こえていない様子でナイフを食い入るように見つめ、頬を引き攣らせて卑屈な笑みを浮かべている)」

「要……、要…!(咄嗟に後ろから死望の腕を掴む)少なくとも俺は、要の身体をぞんざいに扱いたくない…!…大切な、弟…っ…が、傷ついてるところは見たくないんだよ…!(そのまま死望の正面に回り込み、肩を掴み死望の顔を自分に向けさせる)」

「おお、お…俺、が…やらないと……っ、カズさんに、汚い跡がつくのは……嫌だッ…!!(斎場の制止を聞かず、無理やり自身にナイフを突き立てようとする)」

塵 STR対抗45で振ります。→2クリティカル

塵 POW×3=48で振ります。→41成功

「…ッ……!要っ…!!」

死望はそのナイフを引く。ぐっと力を籠めれば容易にその肌には切れ目ができ、そこから静かに血液が溢れることだろう。これだけあれば模様を描くには十分だ。

塵 ダメージ1d6で振ります。→3

竹 SANc46で振ります。→93失敗

竹 減少値1d3で振ります。→1

「要…要ッ……!(咄嗟に起き上がり、死望に駆け寄り傷口を見る)」

「ぐ、ぅ……ハッ……、もっと…もっと血、足りない……ッ(十分な血液が流れ出たにもかかわらず、別の場所にもナイフを押し当てようとしている)」

塵 SANc59で振ります。→25成功

塵 SANc59で振ります。→43成功

塵 SANc59で振ります。→94失敗

塵 減少値1d6で振ります。→4

「っ馬鹿、止まれって……!!…ッ、また……守れないのか、俺のせいで、っ、おれのせいで、傷つけるのか…?(必死で死望を抑えつけながらも、顔面が蒼白していきブツブツと呟く)っ、なあ、頼む、要……ッ、もう、もう嫌なんだよ……ッ!!(死望がナイフを持っているにも関わらず、強く抱きしめる)」

竹 幸運45で振ります。→2クリティカル

竹 芸術(精神分析)85で振ります。→82成功

竹 回復値1d3で振ります。→3

「う、ぅ”ッ………!! ……っく、ぅ……ッ、……かず、さん…………ご、めんな、さい……っ(強張っていた顔がふっと緩み、光を取り戻した瞳から堰を切ったように涙が溢れ出る)」

「違うッ、謝るのは……っ…俺の方だ、あんだけ恰好つけておいて、要を…っ、守れなかった……、ごめん、ごめんな、要…ッ……!!(死望を抱きしめたまま、肩を震わせ涙を流す)」

「ごめんなさい……、ごめん、なさい…………ぐすっ……俺、俺っ……!また迷惑かけて…っふ、(泣きじゃくり、縋りつくように斎場の服を握って嗚咽を漏らす)」

「ッ、そうだ、止血を……!(ばっと顔を上げ、要の手首を見る)」

「ぅ”っ…ぐすっ…………、ぁ…!だ、だめっ……、汚い、から……っ、自分でやります……!(はっとしたように身体を離し、再び背を向けてごそごそと処理をし始める)」

「……っ、…要……。…なあ、頼む……お願いだから……俺を、頼ってくれよ……(呆然と立ち尽くし、虚ろな目で呟くように死望の背中に呼びかける)…あ、ああ、いや、汚くなんかないし、一人じゃやりにくいだろ?俺も手伝うからさ、隠さないで、見せてくれるか?(引き攣った笑みを浮かべながら、そっと死望に近づき、しゃがんで目線を同じ高さにする)」

「カ、ズさん…………?なんか、顔色悪いすけど……、や、やっぱり血なんて見るもんじゃないっすって……。休んでた方がいいんじゃ……(普段よりも動揺した斎場の様子に違和感を抱き、かがんで隠そうとする)」

「いや、違うんだ……これは……。っ……。……要にも、初めて話す……と思うけど…、俺……1回だけ、切ったことあるんだ、手首…。(言い淀んでいたが、諦めたように口を開きぽつぽつと話し始める)…いや、だからって…要の苦しみを、全部わかった気になんてならないけど、でも……思い出してさ。その……、要が思ってるほど、俺の身体は…綺麗じゃないよ。…気、遣ってくれたんだよな、俺に。…ありがとな。(死望を安心させようと、優し気な笑顔を死望に向ける)」

「…………ぇ、あ……えっ、と…………(動揺が隠せず瞳を揺らしながら、何か言おうと口を開け閉めしている)」

「…………。(要の反応を見て、自分の存在意義を1つ失ったような気持ちになり、目を伏せる)」

「……要が嫌なら、無理に手出しはしないから……。俺、その間に模様、描いてくるよ。終わったら、教えてくれよな。(立ち上がり、くるりと背を向ける)」

「ぁ…………ま、って……、カズさ……待って!(勢いよく立ち上がって斎場の腕にしがみつく)お、俺…カズさんのこと、何も知らなくて……っ、カズさんは…言いたく、なかったかも、しれないけど……俺、俺はっ…………、(腕を掴んだまま、赤くなった目に斎場を映し途切れ途切れに言葉を紡ぐ)…………カズさんが、俺の近くに来てくれたような、気がして…嬉しかった…………(後ろめたそうに視線を下げ、段々と声が弱々しくなっていく)」

「…………(死望の言葉が意外だったのか、しばらく目を見開き動けないでいる)……ありがとう、要は…本当に優しくて、いい子、だな……(言葉を噛み締めるように紡ぎ、目を瞑る)」

「……嫌じゃ、ないんですか…………。リスカ…してたのを……嬉しかった…とか、言われて……、軽蔑…しないんですか…………(自身の放った言葉を思い出し、嫌悪感に顔を歪ませながら問いかける)」

「俺は……俺、は……、要に軽蔑される方が、怖かった…。でも、要は…こんな、頼りない俺でも…受け入れてくれるんだな……。(自らの弱みをさらけ出す恐ろしさと葛藤しながら、本音を吐き出す)」

「そ、んな……俺はっ、カズさんが居たから…………カズさんと、居られたから……それで良くて、俺、は……カズさんが、変わっちゃっても……俺の知らないカズさんになっても…………カズさんの、傍にいる…からっ……だからっ、もう…置いていかないで……!(斎場の本心に目を丸くするが、やがて再び涙を浮かべ絞り出すように感情を吐露する)」

「……ああ、要……、ありがとう…っ……、不安にさせてごめんな、もう…絶対に、置いていったりしない…っ……。…ずっと、ずっと一緒にいような、要……ッ…(スッキリしたような晴れやかな笑みを浮かべながら、死望を抱きしめる)」

「ひ、ぅ……ッ、カズさん……っあり、がと…ございます……、よかっ、たぁ”…………(斎場に応えるように抱きしめ返し、穏やかな笑顔を浮かべながら涙を流した)」

「…要が、こんなに俺を大事に思ってくれてるなんて…、本当に…すごく嬉しいよ……。(抱きしめたまま死望の頭を撫でる)」

「俺と……こんなに深く関わってくれるの…カズさんだけ、ですし…。カズさんは、そうじゃないかもしれないけど……っ、俺には、カズさんしか、いないから……(撫でられる感覚に心地よさを感じ、擦り寄るようにして続ける)」

「いや、要は俺にとっても……唯一の大事な弟、だからな。…さっきの話も…打ち明けられたのは、要が初めてなんだ…」

「本、当…ですか……?ぇ、っと…………む、ふぅ……(斎場の言葉を聞き顔を明るくするが、急いでにやける口元を手で覆い隠す)」

 

「……ああ、そうだ…そろそろ血、止まったか?…かさぶたになっちゃってるか……?(心配そうに死望の手首を見ようとする)」

「ぁっ……忘れてた……(おずおずと腕を差し出して、傷口を見せる)」

塵 応急手当15で振ります。→87失敗

竹 応急手当30で振ります。→26成功

竹 回復値1d3で振ります。→1

「…うん、見せてくれてありがとうな(傷口を水で洗い流し、ポケットに入れていたハンカチを手首に巻き止血する)」

「カズさん、だから……。ぅ……、い”、た……いっ(感謝されて戸惑うように視線を彷徨わせた後、傷に走る痛みに顔をしかめる)」

「…っ、大丈夫か…?ごめんな、一瞬痛むけど…とりあえず、血は止まったから…。家に帰ったら、改めてちゃんと消毒とかしような」

「だい、じょうぶ……っ、です……。ありがとう…ございます……」

「…よし、そしたら……乾かないうちに模様、描いちゃうか。要が…せっかく体張ってくれたしな。…よっと……(しゃがみ込み、躊躇なく死望の血だまりに指を突っ込む)ああ…、一緒に描くか?要。(悪戯っぽく笑い、尋ねる)」

「ぁ…………っ、……じゃ、あ……描、こう、かな…………(血を拭う手を思わず止めようとするがぐっと堪え、久しぶりに見たような笑顔にどぎまぎしながら微笑み返す)」

あなたは先ほど彼女の手によって流れ込んできた知識を辿り、門とするための模様を描く。不慣れな作業であるため多少手間取るが、問題なく完成させることはできた。

「…ふう、出来たな……。じゃあ要、呪文も…一緒に唱えよう。(血の付いていない方の手で、死望の手を握る)」

「ん…………(こくりと頷いて、しっかりと手を握り返す)」

あなたたちはその門を通り、脱出を図る。あなたたちは門を通り、そのまま外へと投げ出されることになる。

 

辺りを見渡せばそこは夢で訪れたあの大きな公園だ。だが夢で見た異様な光景とは異なり、空は正常な青色をしている。どうやら今は昼間だったらしい。突如血まみれの状態で現れたあなたたちを見かけた通行人は驚き、通報する。そのまま救急車を呼ばれることだろう。

到着を待つ間、──突如、遠くから轟音が聞こえた。

そちらに目をやれば、何か古い建物が無残にも崩れている。崩れたところに目をやれば、何か巨大な黒い影が揺らめいていることに気が付く。気味の悪い木のようにも見えるが、その正体を掴むには距離が遠すぎる。そんな光景をぼんやりと見つめながら、あなたたちはそのまま搬送されていく。

その後運ばれた先の病院で検査を受けるが、外傷以外の異常は特に見つからなかった。だが頭部に傷を負っていることもあり、大事を取って数日入院してもらうという旨を医師から伝えられる。重篤なものではないため、大部屋で過ごすこととなる。同時に運ばれたからだろうか、それともたまたま空いていたのか。隣のベッドには死望要が居た。

「ぁ、カズさん……病院でも、ご近所さんっすね…………ははっ……(見知った顔に安心した様子で、柔らかな笑みを浮かべる)」

「要…!…よかった、入院生活でも暇、しなさそうだな。…あの後、体調はどうだ?要は出血が多かったから…しばらくは貧血とか気をつけないとな」

「俺は、問題ないっす……、カズさんは?」

「ああ、大丈夫だぞ。嫌じゃなければ、今度二人でレバーとか食べにいこう。美味しい飲み屋、知ってるからさ。(ニカニカと笑う)」

「ふ、はっ……いいっすね、カズさんと飲みに行くの、楽しみです(つられて歯を見せて笑う)」

数日の入院を経て、あなたたちは日常に戻っていく。

その後、暫くとあるニュースが世間を騒がせた。カルト教団の建物が倒壊し、そこから何件もの猟奇殺人の証拠が見つかったらしい。倒壊した理由は不明、謎の黒い影の目撃証言こそ上がったが、あまりに非現実的なそれはただの見間違いであったと判断された。

それらをあなたが気に留めるかどうかはわからない。だが、あなたが経験したあの苦痛の記憶は確かに脳に刻み付けられていた。しかし、導きを辿り始終の苦から抜け出したあなたにとっては過去の出来事に過ぎない。あなたはこれからも自らの生を歩んでゆく。

 

塵 SAN値回復 生還した:1d10

竹 1d10で振ります。→2

塵 1d10で振ります。→8