【リレー型ログ】出会い


とある春の日。
自宅での作業が煮詰まってきたあなたは、気分転換に図書館にでも行こうと思い立つ。
時計の針は2時を指している。
林の近くのY字路であなたは立ち止まる。
いつもならここを右に曲がり、大通りに出て図書館に向かうのだが、今日はなんだか胸騒ぎがする。
左に行ってみよう。この先に何があるのかは知らない。ただ、新しい風景に触れてみたいような、そんな気持ちだった。
秋栗舞星
…………(道草というのは馬にとっては休憩がてら食事を摂っているにすぎないのに人間が一方的に余計なことをして進まないと断じているに過ぎない。従ってこの道から新たな何かを得たとしても得なかったとしてもそれは他者から見ればどこまでも道草を食っているにすぎず、ぼくにとってこの寄り道に意味を持たせることこそが重要なのだたとえそれが一般に取るに足らない発見であったとしても)
しばらく道なりに進んでいくと、辺りはどことなく鬱蒼としてくるだろう。
大通りから離れ、人気も少ない。路肩には木々が青々と生い茂っている。

木々のさざめきに耳を傾けながら歩みを進めていると、あなたの目の前に突如、異質な空間が現れた。
コンクリートで固められた地面の上には、錆びた鉄骨や古びた家電が乱雑に積まれている。
廃材置き場だろうか。
その空間は存外広く、見渡せる範囲の道沿いはすべてそれに占拠されていた。
引き返そうか。しかし、まだ。この先には何かがあるような気がする。
あなたは更に歩みを進めてみることにした。
廃材置き場の中に一か所だけ、少し開けた空間があることに気がつく。中程度の大きさの倉庫が、ぽっかりと開いた入り口をこちらに向けていた。乱雑な空間の中で、その倉庫内だけはずいぶん小綺麗だ。
秋栗舞星
CCB<=70 目星 (1D100<=70) > 14 > スペシャル
秋栗舞星
CCB<=50 聞き耳 (1D100<=50) > 38 > 成功
遠目で見ただけでも、倉庫内にはテーブルや椅子などの家具が並べてあることが分かるだろう。
倉庫から甘い匂いが漂ってきている。
秋栗舞星
…………不潔だ(少し眉を顰めながら香りの元を探ろうと近寄る)
倉庫に近づくと、ぼんやりとしていた内部の様子がはっきりと分かる。
どこから運び込まれたのか、大きく四角いテーブルの周囲には、小型のソファやパイプ椅子など様々な種類の椅子が並べられている。そして、何体かのぬいぐるみが座らされていた。
テーブルにはクロスがかけられ、テーブル中央には紙製の大きな白い箱が置いてある。
床や家具類はこまめに掃除されているようで、埃っぽさもない。
この異質な空間は、明らかに人工的に飾り付けられている。
秋栗舞星
……孤児の遊び場か?(……にしては小綺麗にされているが)(隈なく観察しながら入り口で考え込む)
???
…あっ……、…あのォ…………、
あなたが倉庫内を眺めていると、後ろから不意に聞きなれない声がする。
振り返れば、そこにはあなたとちょうど同じくらいの体格の人物が、おどおどとした様子で立っていた。
あなたが口を開く前に、立て続けにその人は言葉を発する。
???
…お、お茶会ィ……、…一緒に、いかがァ……?
秋栗舞星
…………っ!(声をかけられるとわずかに目を見開き警戒した様子で振り返る)
秋栗舞星
……茶会…………きみが主催者か?(見定めるように視線を投げながら尋ねる)
???
…ウ、ウン…………、……お茶会、楽しいよォ……、
秋栗舞星
…………分かった、もてなしてみて(手元を見つめて思案した後、一歩近づく)
秋栗舞星
(客としての視点に立つことも作品作りにおいて有効だろう。まあ、この雑草でも腹は膨れる)
???
え…………!
……さ、参加してくれるのォ……?
秋栗舞星
早くしたら?ぼく忙しいから
???
あっ、あゥ…、ごめんねェ……、
???
…えっとォ、……こっち…、ここ、座ってェ……、(わたわたと手を彷徨わせたあと、秋栗の服をぐい、と掴んで誘導し、革張りのソファに座らせる)
秋栗舞星
っ…いい、自分で座れる(触れられると眉間の皺を濃くして振り払い、ティッシュを敷いてから座る)
???
……、…あ、お茶……、今もってくるからァ…、…ちょっと待っててェ…、(小走りで倉庫の隅にかけていくと、冷蔵庫からペットボトル入りの紅茶を取り出す)
秋栗舞星
…………それは?(すうっと細目を作り、顎でペットボトルを指す)
???
…えっ…とォ……、…お茶ァ…………。
秋栗舞星
そんなことは見れば分かる。どうしてそれが今きみの手元にあるのかと聞いている
???
CCB<=80 アイデア (1D100<=80) > 36 > 成功
???
???
あっ…………、…ごめんなさァい……、
…お茶っぱ、買えなくてェ…………
秋栗舞星
金?
???
…ウ、ウン…………、…ケーキの材料、買ったら…なくなっちゃったァ……
秋栗舞星
………………そう。…………続けて?(小さく息を吐いて続きを促す)
???
……そ、注ぐねェ……、
…………はい、どうぞォ…………(カップに紅茶を注ぐと、笑顔を作り秋栗の前に差し出す)
秋栗舞星
……………………どうも。…………(カップを持ち上げ、ソーサーと共に観察する)
???
…い、今……、ケーキも分けるからァ……、(テーブルの上置いてあった白い箱を開き、中からホールケーキを取り出す)
取り出されたケーキの外観に、あなたは少なからず驚嘆する。
デザインケーキ、ではあるのだろう。可愛らしいぬいぐるみをモチーフにしているが、ところどころにグロテスクな要素がちりばめられており、どこか悲哀を帯びた雰囲気だ。
色遣いとモチーフの配置が調和しているためか、全体の色合いは毒々しいにも関わらず食欲は失われない。細部の繊細さには欠けるものの、「凝った」作りである、と感じる。
秋栗舞星
…………これはきみが?写真を撮影しても?(目の前の人物に話しかけながらもそちらには一瞥もくれず、ケーキを観察しながらスマートフォンを取り出す)
???
…ウ、ウン……!
……か……カワイく、出来たかなァ…………?
秋栗舞星
…………ずさんだ。やりたいことは理解しなくもないが、それ故に後付けした装飾は見てすぐに分かる。手先は器用なのに時間をかけすぎだ。作りながら考えるんじゃない、全て考えてから手を動かせ。ホールケーキは公園の砂場じゃないんだぞ。…………………だが……まあ………悪くはない…………(スマホで様々な方向から写真を撮りながら淡々と感想を述べる)
???


???
え………………
???
…………教えて、くれるのォ……!?(ぱあ、と顔を輝かせ、秋栗の手を両手でぎゅっと握る)
秋栗舞星
っ……触らないで。誰も教えるなんて言ってない……改善点を指摘しただけ。…………クリームが崩れるから切り分けて(スマホを取り落としそうになりながら、手を振りほどくとソファに座り直す)
???
???
…ウン、わかったァ……。…よい、しょ…………(ケーキナイフを取り出すと、崩さないよう慎重に切り分ける。断面からラズベリーソースがどろりと溢れる。)
???
…………、……はい、どうぞォ…。(一際大きく、様々なモチーフの乗ったピースをうやうやしく差し出す)
秋栗舞星
どうも。…………ピースの写真も撮影していい?
???
ウン…!…写真、撮ってくれて、嬉しいィ…!
秋栗舞星
秋栗舞星
きみ、何に使われるか分からないのに、自分の作品の撮影を許可するなんてプライド無いの?(呆れた様子で睨みつける)
???

???
……ぷらいどォ……?
???
…………わかんなァい……、…でも……誰かがオレのケーキ、見てくれるならァ……オレ、すっごく嬉しいよォ…。
秋栗舞星
ぼくがきみのデザインを盗む可能性だってあるわけでしょ…………そんな低俗なことはしないけど
???
ウーン…………、……もし盗まれてもォ、そのおかげで…誰かに届くならァ、…オレはそれでいいよォ…。
???
…それに……、…オレだけじゃァ、誰にも見てもらえないしィ……。
秋栗舞星
秋栗舞星
ふぅん……。……そう…………(少し考える素振りを見せた後、黙々とケーキを写真に収める)
???
…………。(撮影する客人の様子をニコニコと眺めながら、対面に座り自分のケーキも取り分ける)
秋栗舞星
……じゃあ、いただくよ…………(相手が二人分取り分けるのを確認してから手を合わせる)
???
……ウ、ウン…!…めしあがれェ……。(緊張した面持ちで促し、フォークを手に取ったまま客人の表情を伺う)
秋栗舞星
………………ふう……(一口嚥下するとため息をついてフォークを一度置く)
???
………………ど、……どうだったァ…………?(少し身を乗り出して尋ねる)
秋栗舞星
デザインの奇抜さとは雲泥の差だな。不味くはないが非常に平凡でつまらない。スポンジから練習不足、焼きムラがあるものは失敗だ作り直せ。クリームも時間をかけすぎなこともあるがホイップが足りない。恐らく作業温度管理もなっていないのだろう?どういう環境で作っているんだ。……まあ、簡潔に言えば期待外れだった(先程よりも苛ついた様子で述べると、再びフォークを手に取って食べ始める)
???
……っ………………!
???
…また、教えてくれたァ……!
秋栗舞星
教えてないけど……(怪訝そうな顔をしながらケーキを食べる)
???
…………あのねェ、……オレのケーキ、食べてくれたのォ……、…キミが初めてなんだァ……。(自身もケーキを食べ進めながら、話し始める)
秋栗舞星
まあ一般に食欲をそそる色ではないから、プロモーションが要になってくる。自分でもそれは理解しているだろう?
???

???
……ぷろもーしょん…?って、なァに…?
…オレは、みんなにオレのケーキ……、カワイイって思ってほしいけどォ…、…いつも、お茶会にも来てもらえなくてェ……。
秋栗舞星
広告。ある程度の集客が見込めないうちは、プロモーションがほぼ全てだ。顧客がコストを払いたいと思わなければ、何も始まらないのだから。具体的かつ強烈なメリットを提示しなければ、初対面の人間と茶会なんてするわけないだろう
???
……めりっと……。……カワイくて、おいしいだけじゃダメなのォ…?
秋栗舞星
どこが、どのように可愛いと感じてほしい?素材やテクニック、何にこだわりその美味しさを生み出した?いやそもそも可愛いも美味しいも抽象的すぎる。メルヘンだとか、ダークだとか……これはホラー要素になるのか?とにかく、もっと絞り込めるだろう。美味しさというものは更に複雑だ、食感、香り、味……。どのようなケーキだと思ってほしいのか、それがどのようなケーキを作りたいかに繋がってくるはずだ。きみには具体的なイメージも目標も技術も知識も全く足りていない!腹立たしい!
???
……でも、…でもォ……、…キミは来てくれたし、食べてくれたァ…。
???
…具体的なイメージ、…難しいけどォ……。…オレぇ、みんなに嫌われてるものでもォ…、…カワイくて、おいしければァ、…好きになってもらえるんじゃないかってェ……、…それで、「好き」でいっぱいになればァ…、…みんな幸せになれるって、そう思うよォ……。
……オレは、そういうケーキを作りたいィ…。
???
……キミのおかげで、…今は、足りないんだって…分かったからァ…、…オレ、もっと…もっと頑張りたいって…思ったァ……。…だから…、…ありがとォ……。
秋栗舞星
秋栗舞星
可愛くて美味しいケーキが目標なんじゃなくて、万人に好かれるケーキの為にきみが具体的にケーキの要素として反映した結果が「可愛い」と「美味しい」ってこと?
???
…………、……(無言でふるふると首を横に振る)
……人気者にしたいわけじゃないよォ……、…ただ、気づいてほしィ……。…ケーキにのってる子たちの、…それぞれの素敵なところォ…。
…だから、……イメージに、…名前をつけたくないィ…。……カワイさの形は、…それぞれで違うでしょォ……?
秋栗舞星
………………ふむ(口元に手を当てて考え込んでしまう)
???
…………キミは、…ケーキ、とっても好きなんだねェ…。
……物知りで、すごいなァ……。
秋栗舞星
別にこれから知ればいい…………ぼくらには知る機能が備わっていても、与えられた知識はゼロだったのだから(呟くように返答しながら立ち上がると、空間の中を歩き回り始める)
???
ウン……!…オレ、いっぱいべんきょうするねェ…!
壁際には小さな本棚が置いてある。中にはデザインや色彩のことに関する書籍が並んでいる。
また、大量のスケッチブックが床に平積みにされている。
秋栗舞星
(ぐるぐると歩き回った後、外に出て入り口付近をまた歩き回り始める)
???
…………あっ、…………あのねェ…………、(きょとんと首を傾げ、歩き回る客人の様子をしばらく眺めていたが、思い切ったようにおそるおそる口を開く)
秋栗舞星
……うん…………(どこか上の空の様子で生返事をする)
???
…………あの……、…………また、来てェ……。
秋栗舞星
うん、そう…………(何度も小さく頷きながら去っていく)
???
……っ…………、(客人の姿が見えなくなるまで、大きく手を振り続ける)
???
(……行っちゃったァ…。)
???
(…………やさしいこ、だったなァ……。)
~次の日、午前4時~
秋栗舞星
???
(地べたに座り、毛布にくるまって倉庫の壁にもたれかかるようにして寝息を立てている)
秋栗舞星
ねえきみ昨日のデザインだけどやはり側面のクリームは片目口金を使ってシンプルにして縦のボリュームを強調すべきでは?口金ある?無いなら買って。あとナッペが一番雑だったから練習して。クリームの絞り方はその後。練習台ある?無いなら買って。あと呼びにくいからいい加減名乗って。ところであの装飾の作成工程見せてもらえる?材料ある?無いならぼくが持ってくるよ(枕元に書き込みがされた昨日のケーキの写真を置いていきなり喋り出す)
???
…………んん…………、……ぇ…………?(人の気配に身じろぐと、目をこすりぱちぱちと瞬きをする)
???
…………! …来てくれたのォ……!?(毛布を跳ね除け、飛び起きる)
秋栗舞星
は?きみ、ぼくが約束も守れないような無責任な人間だと思ってたの?(眉間に皺を寄せて声を低める)
???
ウウン、…こんなに早く、来てくれるなんてェ…、思ってなかったァ…!
秋栗舞星
ふーん、まあいいけど。さっさと起きて準備して
???
はァい…!……おかお、洗ってくるねェ……!(倉庫の裏手に駆けていく)
秋栗舞星
手も入念に洗って。なんならシャワーも浴びてほしいくらいだよ(写真を拾い集めて背後から着いていく)
???
(バシャバシャ)
???
……えっとォ……、…自己紹介…だっけェ……?
???
……オレ、…胡桃沢、努ゥ…………。
…………キミの名前も…聞いてもいいのォ……?
秋栗舞星
胡桃…………クルミ科の落葉高木の総称。またはその実の名だね。食感や香りを楽しむために菓子にもよく使われるナッツ類と言える。そうか、きみは胡桃なんだね。ぼくは秋栗舞星、季節の秋に植物の栗、舞い踊る星と書く
胡桃沢努
まほろ…………、…まほろォ……!
…素敵な名前だねェ……!
秋栗舞星
そう?…………それで胡桃沢くん、練習に必要なものを準備してくれる?あのケーキのリメイクに際して、妥協は許さない
胡桃沢努
リメイク…………、……もっとカワイく出来る、ってことォ……?
胡桃沢努
…わかったァ…!……なるべく、用意してみるけどォ……、…ちょっと時間かかるかもォ……。
秋栗舞星
秋栗舞星
そうだね。技術が磨かれれば、より胡桃沢くんの理想に近いものを作り上げられるはずだし。……そういえばきみお金あるの?ここにあるもので代用できるなら買う必要ないけど
胡桃沢努
…ウーン……お金は、あんまり無いィ……。…お手伝いしたら、お小遣いもらえるけどォ…足りるかなァ……。
……代用、できるか見てみてェ……。
胡桃沢努
(倉庫内の流しに案内し、調理器具を見せる。基本的な調理器具しかない。)
秋栗舞星
ナッペの練習台は、段ボールや発泡スチロールで作ればいい。口金は、まあ必要であればぼくのを貸してもいい。あとは、練習用のホイップはある?ショートニングで作るやつ
胡桃沢努
練習用の…………、…そういうのがあるんだァ……!
秋栗舞星
いちいち本物使ってたら糖尿病になるよ。捨てるなんて以ての外だし
胡桃沢努
たしかに、そうだねェ……!
胡桃沢努
……そしたらァ…、……練習用のホイップは、買いに行くゥ……。
…………口金、…借りてもいィ…………?
秋栗舞星
うん。じゃあまず練習台作って、店が開いたら買いに行く。とりあえずは、昨日のケーキと同じ大きさにしよう
胡桃沢努
CCB<=65 幸運(発泡スチロール) (1D100<=65) > 46 > 成功
胡桃沢努
……あったァ……、……これ、ちゃんと洗ったら、使えるゥ…………?(廃材の山から手ごろな発泡スチロールを見つけ出す)
秋栗舞星
いいんじゃない、どうせ形整えるために表面は削るだろうし
胡桃沢努
そうだねェ…、……あのケーキは5号サイズだからァ……、…これくらい切ればいいかなァ……?
胡桃沢努
CCB<=80 DEX×5 (1D100<=80) > 78 > 成功
胡桃沢努
…よい、しょ…………。できたァ…………。
秋栗舞星
じゃあぼく口金取ってくるから、ちゃんと書き込み読んどいてね。あとできみの意見も一応聞かせてもらうから。あ、回転台はあるんだよね?(作業を見届けると立ち上がる)
胡桃沢努
はァい……!……ウン、…持ってるよォ……。…ちょっとボロボロだけどォ…………。
秋栗舞星
ならいい(去っていく)
~1時間後~
秋栗舞星
ねえこのモチーフ良いと思わない?雑貨屋にあった髪留めなんだけど、ここのぬいぐるみにこういう感じの装飾付けてみるのはどう?(声を弾ませながら入ってくる)
胡桃沢努
おかえりなさァい…、……!
…わァ……!カワイイねェ……!
胡桃沢努
…これェ、…3つ作って、こことここにもつけたらァ…、……もっとカワイイと思うよォ……!
秋栗舞星
そうだな……。メレンゲ、マジパン、シュガークラフト、何で作るのがいいだろうか…………
胡桃沢努
…ぬいぐるみサンを、ふわふわにしたからァ……、…メレンゲにして、サクサクにしたらァ、楽しいと思うゥ……!
秋栗舞星
そうだね、一度試作してみた方が良いだろう(頷きながらメモを取る)
胡桃沢努
……書き込み、…読んだよォ……、…オレが気づかなかったことォ、いっぱい書いてあってェ…すごいと思ったァ……。
胡桃沢努
……意見、言えたらいいんだけどォ…、……違う、って思うところも、無かったと思うよォ……。
秋栗舞星
そう。じゃあとりあえず、試作1回目はこの感じでいこうか
胡桃沢努
ウン……!…楽しみだなァ……!
…そろそろお店、開いたかなァ…?
秋栗舞星
うん。開店と同時に入れる(腕時計を見て答える)
胡桃沢努
えっとォ……ここから近いところにあるのォ…?
秋栗舞星
ぼくの行きつけはバスで20分。急ぎの時は徒歩10分程度の店に行くけど
胡桃沢努
…バス、乗ったことないィ……。
秋栗舞星
練習用だし、近くの店で良いんじゃない?
胡桃沢努
わかったァ…、歩いて行くゥ……!
秋栗舞星
こっち(さっさと歩きだす)
胡桃沢努
ウン…!(足がもつれそうになりながら、小走りで追いかける)
~お店到着~
胡桃沢努
CCB<=65 幸運 (1D100<=65) > 87 > 失敗
秋栗舞星
CCB<=55 幸運 (1D100<=55) > 39 > 成功
秋栗舞星
あ、くるみ(ナッツ類が置かれた棚から生クルミの袋を手に取る)
胡桃沢努
胡桃沢努
……くるみ、使うのォ…?
秋栗舞星
ストックで買うだけ。蜂蜜漬けが無くなりそうだから
胡桃沢努
よく食べるんだねェ…。
秋栗舞星
……美味しいから
胡桃沢努
…オレ、あんまり食べたことないやァ……。
秋栗舞星
……少しなら分けても良いけど
胡桃沢努
ほんとォ…!?
…ありがとォ……。味、わかったらァ……材料にも使えるかもォ…!
秋栗舞星
砕いて混ぜ込めば風味や食感に特徴が出るけど同時にデメリットにもなり得る。慎重に使うべきだ
胡桃沢努
デメリット…………、……使うの、ちょっと難しいんだねェ…。
秋栗舞星
ペースト状にするのか、どのくらい細かく砕くのか……勿論好みは分かれるけれど、目的を定めないと中途半端な作品しか生まれない
胡桃沢努
…目的ィ……。…何のために…その材料を使うのか、が大事ってことォ……?
秋栗舞星
その材料が作品の中で生きるも死ぬも自分次第、だから彼らを理解し続けないといけないんだ
胡桃沢努
理解……、…そうだねェ……。…ウン、オレ…食材のことォ、もっとたくさん知りたいなァ……!
秋栗舞星
じゃあたくさん食べないとね
胡桃沢努
ウン……!…へへ、楽しみィ……。
~帰ってきた~
秋栗舞星
まずショートニングをホイップして
胡桃沢努
はァい…。えっとォ……これと、これと…………(ボウルを2つ取り出し、1つに氷水を入れる)
胡桃沢努
(もう1つにショートニングを移し、ハンドミキサーのスイッチを入れる)
秋栗舞星
固さが均一になるまで混ぜて。できたら貸して
胡桃沢努
きんいつ……、…きんいつゥ…………。(手先に神経を集中させる)
胡桃沢努
…………これくらいィ…?(秋栗にボウルの中身を見せる)
秋栗舞星
……まあこのくらいかな(ボウルを奪って数回かき混ぜると頷く)
胡桃沢努
…あ!……なめらかになったァ……?
秋栗舞星
これでナッペの練習、始めて(ボウルを返す)
胡桃沢努
ありがとォ…!…やってみるゥ……。
胡桃沢努
……、…………。(回転台に練習台をセットすると、パレットナイフで慎重にショートニングを広げ始める)
秋栗舞星
丁寧なのは結構。でも本物のクリームはみるみる温度が上がっていく。きみを待ってはくれない
胡桃沢努
あっ、そっかァ……、でも……ぁ、ぅ…………ッ……(焦りを感じ狼狽え、手元が震える)
秋栗舞星
…………最初はゆっくりで良い。でもゴールを忘れないで
胡桃沢努
ぅ、ウン……ゆっくり…………、……(秋栗の言葉を聞くと深く息を吸い、吐き出す。再びショートニングを塗り広げていく)
秋栗舞星
…………(黙って観察する)
胡桃沢努
……あ、あれェ…………。(ふとした拍子に、塗り広げた部分を抉ってしまう)
秋栗舞星
スパテラは垂直のまま、8時の位置で固定して。回転台だけ動かすようにして
胡桃沢努
8時の位置ィ……、…回転台だけ…………。…………ぁ、…やりやすいィ……!
秋栗舞星
回転台のクリームも取って。回転台と平行になるように、今度は4時の方向に固定
胡桃沢努
平行…………、……こんな感じィ……?
秋栗舞星
……まあ、そんなところ
胡桃沢努
…………わァ……!……カワイくなってるゥ……!!
秋栗舞星
角だしが甘い。下からじゃなくて最初から平行に構えないと丸くなる
胡桃沢努
ぁ……たしかに、普通のケーキとちょっと違うかもォ……。
秋栗舞星
最初の形は一定にした方がデザインしやすい
胡桃沢努
そうだねェ…、……バランス、取りやすいかもォ……。
秋栗舞星
まあ側面はマシになったんじゃない?あとはスピードかな
胡桃沢努
クリーム、溶けちゃうもんねェ……。…オレ、もう一回練習したいィ……。
秋栗舞星
そのためのショートニング、でしょ。もう一回、今度は時間も測るから
胡桃沢努
わかったァ…!……ありがとォ…、……えっとォ……最初から平行にするんだよねェ……。
秋栗舞星
そう、力むと崩れるし動かしにくくなるから肩の力抜いて
胡桃沢努
肩の力……、……ウン、頑張るゥ…………。
秋栗舞星
…………(タイマーをちらちら見ながら観察する)
~数日後~
秋栗舞星
8分切ったね、上出来。明日からは絞りの練習に移るよ
胡桃沢努
すごォい……!…これ、こんなに早く出来るんだァ……!
胡桃沢努
絞りも…練習するの、楽しみィ…。
秋栗舞星
もっとスピードアップできると思うけど、やることが多いから
胡桃沢努
直すところ、たくさん教えてくれたもんねェ…。
…全部、見てくれるのォ……?
秋栗舞星
全部直さないとお話にならないの
胡桃沢努
全部……!…嬉しいなァ……!
秋栗舞星
ああそう。絞りの練習も同じやつ使うからちゃんと冷やしといてね、じゃ明日(早々に立ち去る)
胡桃沢努
ウン…! また明日ァ…。
〜1ヶ月後〜
秋栗舞星
それで、リメイクについてだけど……(写真をテーブルに広げる)
秋栗舞星
ぼくが指摘したバランスとかはこれまでの練習でクリアできるはず。装飾は胡桃沢くんの好みに合わせた方がいいだろう
胡桃沢努
へへ……、…ずっと練習、見ててくれて本当にありがとォ…。
…オレ、ずっと1人で作ってたからァ……すごォく助かったよォ…!
胡桃沢努
…装飾、……こういうの考えてみたァ……。…カワイくなってるかなァ……?(スケッチブックを開き、デザイン案を3つ見せる)
秋栗舞星
ふむ……C案の装飾は凝っているな、少し重心が不安定になりそうだ。A案かB案が技術的に妥当だろう。あとは好みだが……きみはどちらを作りたい?
胡桃沢努
えっとォ……、…Aの方が…まとまってると思うけどォ……オレが詰めたいもの、ちゃんと詰められたのはァ…Bなんだよねェ……。
胡桃沢努
…あと……Cは、1番カワイく出来たからァ……ちょっとだけ、混ぜたりしたいかもォ……。
秋栗舞星
ならばB+C案だ。とりあえず新しいの描いて
胡桃沢努
ウン…!…今から考えるからァ…ちょっと待っててェ…。(テーブルの上にスケッチブックを広げ、案を練り始める)
秋栗舞星
(スマホを眺めながら時折進捗を確認するように視線を投げる)
胡桃沢努
…………。……、(色鉛筆を持つ手をはたと止めると、徐々に表情を曇らせ始める)
秋栗舞星
……何か問題が?アイデアは出そうと思って出せるものじゃない。クリームの色味の確認なら、今日でもできる
胡桃沢努
……あの、…そのォ……。
胡桃沢努
……Cを混ぜるの、こういう風にしたいんだけどォ……。…さっき、重心が不安定だとォ…技術的に…って言ってて……。
…………でも…ここ……ここのところだけ……実現出来たらァ……1番、カワイくなるんだけどォ……。
秋栗舞星
……下のところ、少し支えがあった方がいい。それで少し重量を減らせば安定する
胡桃沢努
……でも……そうすると、カワイさが減っちゃう…………。
秋栗舞星
倒れにくくするのであれば、単一に乗せるのではなく複数の装飾を繋げた方がいい。そうするとこの接続部分が脆くなるから、……ぼくが作る。これとこれ……あとここも、まとめて作るからもう少し細かく書いて
胡桃沢努
え……! …まほろが…作ってくれるのォ……!?
胡桃沢努
……嬉しィ……! ……カワイイままに出来るんだァ…!!
秋栗舞星
きみには作れない。ぼくなら作れる。どうすればいいか、分かるでしょ?
胡桃沢努
ウン…、でも、オレのケーキに…そこまでしてくれるなんてェ……、…オレびっくりして……嬉しくてェ……!
秋栗舞星
そっちの方が作りたいなら、作ればいい
胡桃沢努
ウウン、あのねェ……オレ、まほろのケーキ、見てみたいィ…。
秋栗舞星
……写真なら、あるけど(スマホを差し出す)
胡桃沢努
わァ……!!…すごォく、綺麗……!!(目を輝かせる)
胡桃沢努
今まで見たケーキの中でェ…、…1番綺麗……。
秋栗舞星
そう……審美眼は持ち合わせているようで何より(瞳をちらりと覗き見て満足気に笑う)
胡桃沢努
装飾、もっと細かく描くねェ…!
ちょっと待っててェ……!(瞳をキラキラと輝かせながら、肩を揺らし再び色鉛筆を握る)
秋栗舞星
今までって言ってたけど、きみはどこで何をどのくらい見てきたの
胡桃沢努
胡桃沢努
…えっとォ……、…ケーキ屋さんの前、通るの好きィ……。…あと、本……図書館で見たァ……、…レシピの本と、写真集ゥ…?
秋栗舞星
ふぅん、本物を見たことは?
胡桃沢努
胡桃沢努
…本物は…………あんまりィ……。
秋栗舞星
本物を間近で観察するといい。プチガトーでも良いから、持ち帰って、沢山見るといい
胡桃沢努
沢山見る……。…分かった、やってみるゥ…!
秋栗舞星
うん、……そろそろ描けた?
胡桃沢努
…ここだけ、決めたらァ……。
……ウン…!出来たァ……!
秋栗舞星
見せて。…………分かった。材料は今あるもので可能だな、試作を開始する。きみは自分の担当部分に尽力したまえ
胡桃沢努
はァい……!…練習、活かせるように頑張るねェ……!
胡桃沢努
(冷蔵庫から材料を取り出し、作業に取り掛かる)
秋栗舞星
(個々の装飾を作り上げると、黙々とバランスの調製を行う)
胡桃沢努
…………、(秋栗の技術に気を取られ、手が止まる)
秋栗舞星
…………何、そんなに凝視されると集中力を欠くからやめて(手元から視線を動かさずに少しだけ眉根を寄せる)
胡桃沢努
……ぁ……、…ごめんなさァい……。
胡桃沢努
……なんだか、すごくて……ドキドキしたァ……。
胡桃沢努
…でも…見るの、我慢するねェ……。
秋栗舞星
……見るならぼくにバレないように見て
胡桃沢努
ウン…!!
~1か月後~
胡桃沢努
(緊張した面持ちで、仕上げのフランボワーズパウダーを振りかける)
秋栗舞星
(少し離れた場所から胡桃沢の様子をじっくりと眺める)
胡桃沢努
…………。…まほろ、出来たァ……。…どうかなァ…………?
秋栗舞星
うん…………スポンジはもっと柔らかくできたし絞りにはムラがあるしきみの作った装飾作りが甘いし気泡入ってる……けど、良い。ぼくが手伝ったからじゃない。きみは、良い作品を作った(作品から胡桃沢に視線を移して微笑む)
胡桃沢努
…………!ほんとォ……!?…オレが……、……良い作品を………。
胡桃沢努
……ううん、1人じゃ……絶対作れなかったァ……。…装飾だけじゃなくてェ……まほろが、食べてくれて……教えてくれたからァ……。
秋栗舞星
きみは無知だったし経験不足だったけど、それは補った、あとは元からきみのものでしょ。……写真、撮っていい?
胡桃沢努
ウン……!…写真、撮ったら食べようよォ……!…今日はちゃんと、お茶っ葉もあるしィ……。
秋栗舞星
ああ、いただこう。紅茶の淹れ方は覚えているかい?(様々な角度から写真を撮影する)
胡桃沢努
ウン…、…オレ、まほろと飲むなら…って思ってェ……ちゃんと勉強したよォ……。
秋栗舞星
ではお手並み拝見するとしよう(スマホをしまって後ろから見守る)
胡桃沢努
(いそいそとやかんを取り出すと、水を汲み火にかける。沸騰した湯でポットとカップを温め、茶葉を入れポットの蓋を閉める。)
胡桃沢努
…まほろ、ここ、座ってェ……。…オレ、もてなし?するからァ……。(革張りのソファをぽす、と叩き秋栗を呼ぶ)
秋栗舞星
うん、失礼するよ(ソファに腰を下ろす)
胡桃沢努
…よい、しょ……。(ポットとカップ、それから完成したばかりのケーキを慎重に運ぶ)
胡桃沢努
(ポットの中を軽く混ぜてからカップに注ぎ、ケーキもうやうやしく切り分ける)……はい、どうぞォ…。
秋栗舞星
どうも……またピースの写真も撮らせてもらっていい?(皿を受け取り、スマホを取り出す)
胡桃沢努
ウン……!…ぱわーあっぷ、したもんねェ……!
秋栗舞星
うん…………よし撮れた。待たせたね
胡桃沢努
ウウン、大丈夫ゥ…!…撮ってくれてありがとォ……
胡桃沢努
胡桃沢努
…いただきまァす……。
秋栗舞星
いただきます
胡桃沢努
…………!(上機嫌に食べ進めていたが、秋栗の装飾を一口齧ると目を見開き、咀嚼の度に瞳が潤む)
秋栗舞星
舌触りが前よりもだいぶ滑らかになっている……けどもっとできるはず。甘みは好みによるけれど、ぼくは嫌いじゃない。紅茶は……まあメインではないし、及第点(ある程度食べ終えると、喋り始める)
胡桃沢努
胡桃沢努
…………、(秋栗の言葉に顔を上げると、目尻の涙を拭いながらこくこくと頷く)
胡桃沢努
…ありがとォ……。
秋栗舞星
……何の感謝?(怪訝そうに顔を上げる)
胡桃沢努
…………まほろの、作ったものがァ……一緒に作ったものが……カワイくて、美味しくて、綺麗でェ……ドキドキして…あったかくて…………嬉しかったからァ……。(胸に手を当て息を整えると、感情の昂りを整理しながらニッコリと笑う)
秋栗舞星
そう。……きみの作りたい作品は作れた?
胡桃沢努
ウン……!!
……でも……オレぇ、…もっとたくさんの人にも…食べてほしィ……。
胡桃沢努
…………それに…………、……それにねェ…、(目を伏せ泳がせるが、思い切ったように口を開くといそいそとスケッチブックを取り出す)
胡桃沢努
…………まほろのケーキ……写真で、初めて見た時からァ……、…それと……初めて…装飾、作ってるのォ…見た時から……。……作りたいもの、たくさん……たくさん、浮かんできてェ……。(スケッチブックを開き、ページ一杯のアイディアを秋栗に見せる)
胡桃沢努
……今……ケーキ、食べた時もォ…………、……オレ……、…オレだけじゃなくてェ…………。……キミと……まほろと一緒に作りたいって…思ったんだァ…………。
胡桃沢努
………………どう……かなァ……?
秋栗舞星
…………これなら次の作品に最適だ。復習にも練習にもなるし、なによりここは面白そうだ。ぼくに任せてくれるんでしょ?(スケッチブックの全体を見渡し指をさす)
胡桃沢努
…………!……ほんとォ……!?……ウン、絶対任せるゥ……、…まほろに…作ってほしくて、考えたからァ……!!(思わずスケッチブックを放り、目を輝かせながら秋栗の手を両手で握る)
秋栗舞星
急に、吃驚するでしょ…………。……これから、その、よろしく…………(触れられると一瞬身体を硬くするも、握り返す)
胡桃沢努
ぁ…ごめんなさ…っ……、………………!!
胡桃沢努
…………わァ……!(握り返されたのを見ると表情を明るくし、更に強く握る)…よろしくねェ……、まほろォ……!