【CoCセッション】手を伸ばして


その2

金色の小さな鍵で扉が開く。

 

【狩屋聖人】

ここの鍵だったんだ!

 

中には本棚と、読み書きが出来るような簡単な椅子と机が置いてある。部屋の中は天井に吊るされたランタンでのみ照らされており、薄暗い。

 

本棚、机

 

【狩屋聖人】

暗いなぁ…………どんな本があるんだろ?(本棚見る)

 

様々な言語の本が雑多に詰め込まれている。ジャンルも様々で、読めるものは少なそうだ。

 

 

【狩屋聖人】

図書館:【1d100】を振りました。結果は「85」失敗です。(成功値25以下)(各ダイス目:85)

シークレットダイス【1d100】を振りました。結果は「6」成功です。(成功値65以下)(各ダイス目:6)

 

【狩屋聖人】

難しい本ばっかで分かんないや!(本棚に背を向け机の方へ歩く)

 

【偽物】

……。(本を一冊取り出し目を通したかと思うと、つまらなそうに閉じ椅子の上に置いた)

 

ただの机だ。マッチだけがポツンと置いてある。

 

【狩屋聖人】

マッチがある!

 

【狩屋聖人】

さっき何読んでたの?あいくん(椅子の上の本を手に取る)

 

【偽物】

…あ、あいくん……?…それ、俺のこと…?

 

 

【狩屋聖人】

うん!愛っていっぱい言ってたから!あ、この本も愛ってタイトルだ!

 

 

黒い布の表紙に金の糸で装飾された本。タイトルは『愛』内容は以下の通り。

 

『愛というものは不確かだ。

 与えられるものであり、与えるものである。

 種類も実に多く、大きさも人それぞれだ。ティースプーン一杯ほどの愛。流れる血液ほどの愛。その身にあまる、愛。

 与えれば与えるほどに欲するものであり、与えられるほどに、枯れるものである。

 

 私も、愛がほしい。

 与えるばかりでない、愛が。

 だから、そう、』

 

『愛をちょうだい?』と、最後の一文を読むと同時に、耳元で、得たいの知れない声に囁かれた……気がした。

 

そしてそのページの右側に描かれた不気味な挿し絵を見てしまう。泡立ち爛れた雲のような肉塊に黒い触手。

 

そして黒い蹄を持つ短い足、粘液を滴らす巨大な口。やけにリアルに描かれたそれに、思わず身震いするだろう。SANc 1/1d6

 

【狩屋聖人】

SAN:【1d100】を振りました。結果は「24」成功です。(成功値49以下)(各ダイス目:24)

 

【狩屋聖人】

【1d10】を振りました。結果は「7」です。(各ダイス目:7)

 

【狩屋聖人】

あ……あ、れ……?あいくん、目隠ししないでよ

 

【偽物】

……してないよ。

 

【狩屋聖人】

そうなの?でも急に見えなくなっちゃったよ、あいくんどこー(手を空に彷徨わせている)

 

【偽物】

…………。

 

パンッ、と、手を叩く音が聞こえる。とたんにあなたの意識は正気へと戻っていく。

 

【偽物】

ちょっと狩屋クン、しっかりしてよー。そんなんじゃ、ナイフ見つけられないよ?

 

【狩屋聖人】

あ!見えた!あいくん!(視界が戻り、安心した表情であいくんに微笑みかける)

 

【偽物】

その本に載ってる母さんの姿があまりにも綺麗で、びっくりしちゃったのかな?アハハっ!!

 

【狩屋聖人】

これお母さんなの!?藤谷くんのお母さんより怖いじゃん!!

 

【偽物】

怖い?…はあ……。ま、怖いくらい綺麗ではあるけどねえ!

 

【狩屋聖人】

(まあそういう考え方もあるか、と思いマッチの箱を弄りながら部屋を出る)

 

あなたが部屋を出ようとすると、不意に、あなたの胸の辺りに赤い点が光る。その光をたどれば、本棚の隙間から銃口のようなものが覗いていた。

 

【狩屋聖人】

危ないじゃん!

 

撃たれる……そう思ったあなたは、反射的に目を閉じる。銃弾が放たれる音がする。体が、血で濡れる感触がある。……が、痛みは、一切感じない。

 

不思議に思って目を開けば、銃弾が貫いたのは、藤谷あまねの偽物の、鎖骨の辺りだ。

 

偽物はそこに踞り、小さく呻きながらそこを手で押さえている。押さえた手の隙間から血がボタボタと溢れ落ちている。SANc 0/1d3

 

【狩屋聖人】

わああっ!あいくん!

 

この偽物に治療をしようと、あるいは声をかけようと、手を伸ばしますか?

 

【狩屋聖人】

SAN:【1d100】を振りました。結果は「59」失敗です。(成功値48以下)(各ダイス目:59)

 

【狩屋聖人】

【1d3】を振りました。結果は「1」です。(各ダイス目:1)

 

【狩屋聖人】

大丈夫!?あいくん、早く逃げないと!(手を引っ張って最初の部屋に戻ろうとする)

 

【偽物】

触らないでッ!

 

あなたが伸ばした手を、偽物は払い、拒絶した。ハッとその顔をみれば、何を思っているのか強く唇を噛み締めている。

 

今にも泣き出しそうなのを堪えて、偽物は言う。

 

【狩屋聖人】

えっ…………な、なんで……?痛いでしょ……?早く消毒とかしないと…………

 

【偽物】

……僕に、触らないで……

 

そう一言だけ言い、偽物は手で傷口を押さえたまま部屋を飛び出し、どこかへ駆けていく。

 

【狩屋聖人】

あいくん行っちゃった…………(しょんぼりとして後をついていく)

 

Trialの部屋を出ると、偽物がRepentanceの部屋に入るのが見える。中から鍵を閉められたようで、入ることは出来ない。

 

 

【狩屋聖人】

聞き耳:【1d100】を振りました。結果は「36」成功です。(成功値55以下)(各ダイス目:36)

 

中から彼の声が聞こえてくる。どこか震え、思わず口から溢れてしまっているような……そんな声だった。

 

【偽物】

庇っちゃダメなのに……

 

【偽物】

嫌われないといけないのに……

 

【偽物】

僕、を…助けさせないと……

 

【偽物】

たくさん騙した…たくさん傷つけた……

苦しめて、泣かせて……拒絶した…

 

【偽物】

……こんな僕でも…まだ助かる権利があるなら……

…お願いだから、気づかないで……

 

【偽物】

偽物が本物だって気づかないで……

 

【狩屋聖人】

ねーねー!やっぱりあいくん藤谷くんなんじゃないのー!(ドアに語り掛ける)

 

ふと、背後で音がする。見ればカーペットと平行になるようにして、磔にされた藤谷あまねへ続く階段が現れているのに気づくだろう。

 

支えになる柱のようなものは無く、不自然に浮かんでいるようにも見える。

 

ドアの向こうから返答はない。ただ、すすり泣くような声だけが聞こえてくる。

 

【狩屋聖人】

片側だけ防音性がある扉なのかなぁ(?)

 

遺体をもう一度見ることができる。

 

【狩屋聖人】

藤谷くん!内緒話なら聞こえちゃってるよ!

 

【狩屋聖人】

遺体見るよ!

 

 

【狩屋聖人】

目星:【1d100】を振りました。結果は「81」失敗です。(成功値55以下)(各ダイス目:81)

 

触れてみると、柔らかな肌だが、冷たい。とても冷たい。そして……藤谷あまねに触れたことがあるあなたは、ほんの少しの違和感を感じるだろう。

 

【狩屋聖人】

くんくん…………

 

血の匂いがする。

 

【狩屋聖人】

藤谷くんの匂いかどうか分からないや……

 

【偽物】

……あれ?まだそんなとこ調べてるんだぁ

 

【偽物】

あ、あの部屋の中、調べたいならどうぞー? それで俺を殺せるかは分からないけどね…アハハハハ!

 

【狩屋聖人】

あ!藤谷くん!

 

【偽物】

…はぁ?何言ってるの?

藤谷クンはそっちでしょ、(遺体を顎で指す)

 

【狩屋聖人】

ねえ、さっきの痛くない?大丈夫……?ちょっと見せてよ、おれ止血とか得意だから!

 

【偽物】

ああ…いやあ、さっきのはビックリしたなあ!母さんってば、サプライズが上手いんだから!

 

【狩屋聖人】

応急手当:【1d100】を振りました。結果は「62」成功です。(成功値75以下)(各ダイス目:62)

 

【狩屋聖人】

おれもびっくりしちゃったぁ、でも危ないから急に飛び出しちゃダメだよ!

 

【偽物】

アハ……狩屋クンやっさしー。…ま、大事なオトモダチの体だもんね?

 

 

【偽物】

…でも、帰りたいなら、早く俺のこと『正しく』殺しなよ?…ナイフで刺したら、もう手当なんて要らないからねえ…アハハっ!!

 

【狩屋聖人】

もう、心配したんだからね!ほらはやく行こ!(Repentanceの扉を開ける)

 

【偽物】

俺は歩き疲れたからこっちで待ってるよ。…ふう……。(聖堂にある椅子に座る)

 

【狩屋聖人】

えーそっかぁ……じゃあおれ一人で行こうかなぁ……

 

【偽物】

(ひらひらと手を振る)

 

部屋の中は、相変わらず真っ暗で、扉を開けていても周りがよく見えない。そのまま探索する場合は目星-20。

 

【狩屋聖人】

くらいよ!マッチしか持ってないけど燭台取りに行くのめんどくさいなぁ……

 

【狩屋聖人】

あ!あいくーん!燭台持ってきてー!(聖堂に呼びかける)

 

【偽物】

はあ、しょうがないなあ…。人遣いが荒いんだから……。(燭台を持ってきてRepentanceの扉の近くに置く)

 

燭台に火を灯し探索するのであれば補正はなくていい。

 

【狩屋聖人】

やったー!探検だ!

 

小さな十字架と椅子だけが置かれたシンプルな部屋だ。光は一切差し込まないようになっており、酷く暗い。また、一本のナイフが、十字架に捧げられるようにして置かれているのに気づくだろう。

 

彼は、ここで一人、何を思っていたのだろうか?

 

【狩屋聖人】

全速前進DA!

 

【狩屋聖人】

ナイフだ!

 

【狩屋聖人】

危ないよ!

 

金色のナイフだ。が、なぜか光に当たるとその色は鈍い黒を反射する。手に取れば、異常な重さと冷たさに、体が震えるだろう。SANc 0/1

 

【狩屋聖人】

SAN:【1d100】を振りました。結果は「33」成功です。(成功値47以下)(各ダイス目:33)

 

【狩屋聖人】

目星:【1d100】を振りました。結果は「57」失敗です。(成功値55以下)(各ダイス目:57)

 

【狩屋聖人】

戻ろーっと

 

扉を出てもとの部屋に戻ろうとすると、そこに文字が書かれているのに気づく。

 

『そのナイフを手に取れるのは本物のみ。あなたが切り裂くべきは偽物』

 

【狩屋聖人】

おれは本物!

 

あなたがナイフを手にその部屋から出てくると、不意に、偽物が笑う。

 

【偽物】

あぁ……見つけたんだ。ほら、早く偽物を壊しなよ?

 

【偽物】

助けたいんでしょ? 藤谷クンを。…早く偽物を殺して。

 

【狩屋聖人】

でも、藤谷くんは助けないでって言ってたし…………

 

【偽物】

…何の話?

 

 

【偽物】

……ほら、早く刺しなよ?藤谷クンを痛めつけた、憎い偽物が…目の前にいるじゃない?(不敵に微笑む)

 

【狩屋聖人】

ええー…………

 

【狩屋聖人】

遺体にナイフを握らせてみよう!

 

遺体にナイフを握らせようとすると、まるで見えない何かにはじかれるように、なぜか握らせることが出来ない

 

【狩屋聖人】

じゃあ偽物ってことじゃん!(憤怒)

 

【狩屋聖人】

藤谷くんの嘘つき!

 

【狩屋聖人】

嘘ついちゃダメなんだよ!

 

【偽物】

……嘘?

…なにそれ。

 

【狩屋聖人】

藤谷くんが本物ってことなんでしょ!なんで嘘言ったのー!(ナイフを遺体の傍に置いたままずんずんと近づく)

 

【???】

なに言ってるの……そんなわけないじゃん……

 

【狩屋聖人】

でも、遺体が偽物だったから、ナイフ持てなかったもん!

 

【???】

知らない!知らないよ、そんなの……

 

【狩屋聖人】

おれは知ってたもん!

 

【???】

ほら、早く殺せば良いだろ…!殺してよ…! 

…お願いだから、気づかなかったフリをしてよ…………(目を伏せ、唇を噛みしめる)

 

 

【狩屋聖人】

ねえ、なんで殺してほしいの……?おれ、なんか悪いことしちゃったの……?(藤谷の顔を不安そうに覗き込む)

 

【藤谷あまね】

…僕の方が……僕の方が上じゃないと駄目なんだ……。

……そうじゃないと、狩屋くんが……!

 

【狩屋聖人】

ちょっとよく分かんない

 

【藤谷あまね】

……っ…………。(不安げな狩屋の顔を見て、少しずつ口を開く)

 

 

【藤谷あまね】

…僕たちは、「なにか」に比べられてるんだ……愛、の大きさを……。

 

【藤谷あまね】

……僕たち二人のうち、どちらか……より「愛」のある方を連れて行って、記憶を消して……側に置くって言われたんだ……。

 

【狩屋聖人】

思ったよりヤバそうだ……!

 

【藤谷あまね】

…だから、殺してほしいんだ……僕の自己犠牲ってことにさせてよ……。

 

【藤谷あまね】

……狩屋くんに死んでほしくない…………僕の方が、狩屋くんを愛してるから…!

 

【狩屋聖人】

ちょっとまだよく分かってないけどやだ!

 

【藤谷あまね】

……この箱庭は、一種のテストなんだ…。君が、僕が本物だって見抜いて、アレを刺せるかどうかの……。

 

【藤谷あまね】

…テストに合格したら、君は「愛」が大きい人ってことになって、…連れて、行かれちゃうんだ……あいつの元に…。

 

【狩屋聖人】

そうなの?戻ってこれないの?

 

【藤谷あまね】

…あいつの元に連れていかれたら、もう…人ではいられなくなる。……今までのことも、自分が人だったってことも忘れちゃうんだよ…。

 

【藤谷あまね】

僕は狩屋くんに……そんな風にはなってほしくないよ…。

 

【狩屋聖人】

おれもやだ!

 

【藤谷あまね】

……だから、ねえ…お願い……僕を殺して?…ソレ、で……。(狩屋が置いてきたナイフを指さす)

 

【狩屋聖人】

それもやだ!

 

【狩屋聖人】

おれ藤谷くんと帰れるまで絶対動かねえから!(腕を組んで椅子にどっかりと座る)

 

【藤谷あまね】

…もう……仕方ないか……。

 

【狩屋聖人】

あ!また自分に刺すの?絶対止めるよ!

 

彼はそういうと、ふっと微笑む。その手には……いつの間に握られていたのか、あなたが持っているそれと、同じナイフが握られていた。

 

 

彼は笑いながらそれ首元へと持っていく。笑いながら……泣きながら。

 

【藤谷あまね】

…そうは言ったってさ…僕が終わらせるしか、ないんだ……。

 

 

【藤谷あまね】

…………さよなら、……ありがとう、狩屋くん。

 

……止めようとしますか? 体が動くかどうか、出来るかどうかは別として、止めようと、その手を伸ばしたいですか?

 

【狩屋聖人】

(頑張って走る)

 

あなたは、咄嗟に手を伸ばす。そしてその手が彼に触れたのは、ナイフが彼の首の皮を貫いた、ほんの少しあとのことだった。SANc 1d4/1d3+1d4

 

【狩屋聖人】

SAN:【1d100】を振りました。結果は「36」成功です。(成功値47以下)(各ダイス目:36)

 

【狩屋聖人】

【1d4】を振りました。結果は「1」です。(各ダイス目:1)

シークレットダイスSAN:【1d100】を振りました。結果は「53」成功です。(成功値55以下)(各ダイス目:53)

 

【藤谷あまね】

シークレットダイスSAN:【1d100】を振りました。結果は「37」成功です。(成功値45以下)(各ダイス目:37)

 

【藤谷あまね】

シークレットダイス【1d6】を振りました。結果は「6」です。(各ダイス目:6)

 

吹き出す血に、倒れる体に、消える体温に……くらり、と、視界が歪む。自我を保とうと本能が叫び、目を閉じ、声をあげる。そのままあなたは気を失った。

 

 ――どこかで声を聞いた。

 

 そこは、さっきまでいた教会のようなあの場所。……一人の女性がいた。決してあなたを見ようとしない彼女は、小さく笑っているような気がした。

 

「あなたたちは、愛とは、相手を真に思いやることだと教えてくれた」

 

「だとすればそれが、私に向けられることはないのでしょう」

 

「あなたたちは、互いを同じように、同じくらい強く愛しているのですね」

 

「この勝負は、あなたたちの勝ちです」

 

【狩屋聖人】

そうなの??

 

…………目が覚めると、あなたはあなたの家にいた。目の前には、藤谷あまねがいる。あなたが目を覚ましたのを見て、本当に安心したように涙を流した。

 

彼が、あなたがした選択が、本当に正しかったのかは分からない。誰かの気まぐれで助かっただけ、命を落としていたかも分からない。

 

……けれど、それが間違いだとあなたが言うことは、きっとない。きっとそれは正しいことで、自分だってそうする。

 

 そして、だからこそ……二度と同じ選択をさせやしないと、あなたは強く思うだろう。

 

【狩屋聖人】

【2d10】を振りました。結果は「11」です。(各ダイス目:9,2)

【2d10】を振りました。結果は「9」です。(各ダイス目:6,3)

 

 

【背景】

 シュブ=ニグラスは、母であった。母とは、あらゆる存在に愛を与える存在。彼女もそれを当たり前とし、愛を与え続けてきた。

 が、ふとした瞬間に彼女は思う。愛されたい。信仰とは違う、もっと、直接的な愛を。自分も愛を受け取ってみたい。

 そしてそんなとき、PCとKPCを目にした。恋愛、友愛、家族愛。愛に溢れる二人を見たシュブ=ニグラスは、彼らならば自分をも愛してくれる。そう思った。

 そうしてシュブ=ニグラスは人の姿を借り、PCと接触。連れていかれそうになったところをKPCが目撃し引き留め、こう提案する。

「自分とPC、より愛が強い方を近くに置いたらどうか? 私はPCよりも愛に溢れているはずだ」と。

 シュブ=ニグラスはこれを受け入れた。そして、PCから自分と接触した記憶を消し、今回の探索の場所を設け、比べる価値のある存在かどうか確かめるため、最初、KPCの自殺を止めようとするか、というのを空間への鍵とした。

 シュブ=ニグラスはあくまでも『自分への愛』を欲しており、PCとKPCがお互いの覚悟とお互いへの愛を見せた場合、彼女は、その愛が自分に向けられることはないと理解し、二人を解放するだろう。

 

 

【狩屋聖人】

はっ!!!!

 

【藤谷あまね】

狩屋くん……!!

…よかった、戻ってこれたんだ……。

 

【藤谷あまね】

…ぼ、僕のこと……ちゃんと覚えてる…?(不安げに顔を覗き込む)

 

【狩屋聖人】

…………(目の前に藤谷がいることに少し驚いた表情をするが、すぐに眉間に皺を寄せる)

 

【藤谷あまね】

………………?かりやくん……?

……まさか、記憶が……

 

 

【狩屋聖人】

…………ねえ、藤谷くん(いつもよりも低い声で藤谷の言葉を遮る)

 

【藤谷あまね】

えっ……!(自分の名前を呼ばれたことで少し安心する)

…………え……?(普段と声色が違うことに時間差で気が付く)

 

【狩屋聖人】

なんで何も言わずにああいうことするの、おれ嫌だって言ったじゃん(藤谷をじっと見つめながら詰問する)

 

【藤谷あまね】

あ…………っ……!(自身がした終わらせ方を思い出し)

ご、ごめん…………でも、あれ以外に方法が、…………、

 

【狩屋聖人】

あったかもしれないじゃん!(藤谷の声に被せるように、立ち上がって叫ぶ)

 

【藤谷あまね】

ッ……!!(突然の大きな声にビクビクと縮こまる)

 

 

【藤谷あまね】

……ごめん…………ごめんなさい、もし狩屋くんが、自分を犠牲にしたりしちゃったら…って思ったら、怖くて……それならいっそ、その前にって…………ごめんなさい…………。(目に涙を溜め、震える声で吐露する)

 

【狩屋聖人】

藤谷くんが、おれのこと好きって言ってくれたから……おれ、藤谷くんのこと、これからもっといっぱい知りたいって…思ってたのに……死んじゃったら…もう話せないし会えないんだよ!?(段々と声の大きさを増していき、最後はぽろぽろと涙を零して捲し立てる)

 

【狩屋聖人】

おれのこと好きなら……っ、おれが悲しむこと……しないでよ…………(とめどなく溢れてくる涙を袖で拭いながら絞り出すように喋る)

 

【藤谷あまね】

あ……う、ごめんなさい…………、僕、狩屋くんが……そんな風に思ってくれてるなんて、分からなくて…………僕なんかより、狩屋くんの方がずっと、生きてる価値あるって……思って…………。

 

 

【藤谷あまね】

…でも、狩屋くんの気持ち…全然考えられてなかった……本当に、ごめん…………ごめんね……。

 

【狩屋聖人】

……価値って、何?……分からないよ…………おれも藤谷くんも、おんなじでしょ……?死んじゃったら痛いし、苦しいんだよ?……藤谷くんが言ってること、分かんない……!

 

【藤谷あまね】

僕、僕は……っ……狩屋くんのこと、僕よりもずっとすごい人だと思ってるから……、

 

【藤谷あまね】

それに、狩屋くんは、たくさんの人に愛されてるし、たくさんの人を愛してて……僕は……きっと、そうはなれないから…………。

 

【藤谷あまね】

…僕は、狩屋くんとおんなじには……なれないよ…………。

 

【狩屋聖人】

そんなことない、藤谷くんもすごいよ……彫刻とか、おれよく分かんないけど……(自信なさげにぼそぼそと言う)

 

【狩屋聖人】

でもおれ…みんな大好きだけど、藤谷くんみたいな好きって、したことないよ

 

【狩屋聖人】

やっぱおんなじじゃないかも!……でもさ、おれは藤谷くんが死んじゃったら嫌だから……もう急に自分を傷つけないでね?(しゃがんで藤谷に視線を合わせる)

 

【藤谷あまね】

あ…………、……うん…………。

……同じじゃないから、狩屋くんのこと…好きになったのかもしれない……。(体の緊張を少し解き、微かに微笑む)

 

 

【藤谷あまね】

…でも、もう……勝手な思い込みで、狩屋くんのこと悲しませるような真似、絶対しないよ……。……本当にごめんね……。

 

【藤谷あまね】

…………正直、怖かったんだ……どちらにせよ、二人でいられないなら……全部忘れてしまえる方に、なりたかった……。

 

【藤谷あまね】

…でも、それも……僕のエゴだから……何度も、本当にごめん……。

…………嫌われちゃったかな……。

 

【狩屋聖人】

そ……そう……?……あ、ううん……藤谷くん、いっぱいごめんなさいしたから、もういいよ!一緒に帰ってこられておれ嬉しい!(唐突な告白に少し戸惑った後、いつもの笑顔に戻って藤谷をぎゅっと抱きしめる)

 

【藤谷あまね】

あ…………ンン”っ!?(戸惑われてしまったことに少し傷つくが、すぐに何も考えられなくなる)

 

 

【藤谷あまね】

SAN:【1d100】を振りました。結果は「76」失敗です。(成功値48以下)(各ダイス目:76)

 

【藤谷あまね】

あ”っ……あぅ、ぁ、ありがとう…………。(顔を真っ赤にし、恐る恐る抱き返す)

……僕も、嬉しい…………。

 

【藤谷あまね】

…たくさん、酷いことしちゃった…けど……これからも、一緒に遊んだりとか…してもいい……?

 

【狩屋聖人】

……?うん、遊ぶ……あっ!!!!(藤谷の様子に不思議そうにしていたが、突然声を張り上げる)

 

【藤谷あまね】

え、あっ、ど、どうしたの…?

 

【狩屋聖人】

わ、忘れてた……!…………ここ、大丈夫!?(藤谷からばっと身体を離してシャツのボタンを外して首元をはだけさせる)

 

【藤谷あまね】

あ、えっ…?(突然シャツをはだけさせられ混乱し)

…ああ…………うん、大丈夫だよ……痛くないし、傷も…残ってないと思う……。(自分の首元を触って確認しながら)

 

【藤谷あまね】

…か、狩屋くんは……?どこも怪我、してない…?

 

【狩屋聖人】

よかった~!!おれは大丈夫!あっ、確認する?(Tシャツをたくし上げる)

 

 

【藤谷あまね】

あっ……あの、うん……大丈夫…みたいだから、仕舞って、いいよ……。(思わず顔をそむけつつも横目で確認し)

 

【狩屋聖人】

うん!よかった~!ねえねえ、おれお腹空いちゃったよ!なんか食べよーよ!

 

【藤谷あまね】

う、うん……今日は、どこかに食べに行く……?

 

【狩屋聖人】

八宝菜食べに行こーよ!

 

【藤谷あまね】

わ……!…ぼ、僕の好きなものだけど……本当にいいの…?それで……

 

【狩屋聖人】

うん!中華屋さん行ってさ、色々頼もうよ!

 

【藤谷あまね】

う、嬉しい……ありがとう……。

…僕、バーミヤンとか好きだな……。

 

【狩屋聖人】

おれも好き!!