▼テレビ
独りで見るには十分すぎるほどの大きさの大型テレビ。テレビの音をBGMにしているのだろうか、ニュース番組が流れている。
『昨夜未明、都内在住の旗山さん一家三人が殺害されるという事件が発生しました。騒音と言い争うような声を聴いた近隣住民による通報で駆け付けた警察が倒れている旗山さん一家を発見。すぐに病院へ搬送されましたが本日早朝、死亡が確認されたとのことです。家の金品がすべて盗み出されていることと近隣住民は事件当日、旗山さん家付近で清掃業者のワゴン車を度々見かけていたのと目撃情報があり、警察側は先月に起こった同様の事件の手口から、同一犯のものとみて捜査を進めております』
竹 殺され方は報道されていますか?
塵 特に言及されてないですね
竹 狩屋は反応していますか?
狩「物騒だな~。イヌもテレビって見るのかな?」
藤谷を抱きかかえてソファに座る狩屋。
竹 SANチェックしていいですか
塵 どうぞ
竹 SANチェック57で振ります。→57成功
藤「(とにかく元に戻る方法を……。割と幸せっちゃ幸せだけど……母さんが心配する、よね……)」
●脱衣所/お風呂場
▼脱衣所
中に入ると、そこは脱衣所のようできれいに磨かれた鏡がある洗面台。棚には真っ白なバスタオルや石鹸、詰め替え用のシャンプーやボディソープが入っている。入ってすぐ横を見やれば、洗濯機と曇りガラスの扉がある。恐らく扉の向こう側はお風呂なのだろう。
貴方が脱衣所の中をぽてぽて徘徊していると、背後でパタンと扉を閉める音が聞こえる。振り返ると、後ろ手に脱衣所の扉を閉めている狩屋が立っている。貴方が危険を察知して、逃げ出そうとしてもノブを回して開けるタイプの扉は今の身体では開けることは叶わない。
狩「こらこらー。もーまだ汚してるんだから暴れちゃダメだってー」
じたばたと暴れる身体を抱き込まれ、お風呂場へ連れ込まれてしまう。
▼お風呂場
連れ込まれた先は、予想通りお風呂場。狩屋が使用しているのであろうシャンプーやリンス、ボディソープが並んでいる他、お風呂に浮かべるためだろうかアヒルのおもちゃまでもが完備されている。バスタブは成人男性でも足を伸ばして入ることができそうなほど広くやはり綺麗に磨かれている。
狩「じゃあ洗ってくよー」
蛇口をひねり、シャワーを出し始める。大きな音とシャワーへの恐怖に藤谷は目を見開いて固まってしまう。
狩「怖くないよー」
藤谷の頭を撫で、優しく声をかけながら少しずつ身体を濡らしていく。
竹 POW×5に成功したら、お湯の気持ち良さに身を委ねる諦めが付くかもしれない。
塵 判定どうぞ
竹 POW×5=55で振ります。→50成功
藤「(大丈夫、大丈夫……シャワーなんていつも浴びてるじゃないか。何を挙動不審になっているんだ僕……)」
そう自分に言い聞かせ、深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
狩「おっ大人しくなった!いい子いい子!おれのでごめんねー」
自分のシャンプーを使い、身体の隅々まで洗ってくれる。
竹 SANチェックしていいですか
塵 どうぞ
竹 SANチェック→失敗 1減少
藤「(僕は……僕は…………この先、狩屋くんにどんな顔を見せて生きていけばいいんだ……)」
少し哲学的な気持ちになりながら洗われた後、感謝の気持ちを込めて狩屋の手をペロリ、と舐めた。狩屋は嬉しそうに笑い、服が濡れることも構わずに抱き上げ撫で回す。お風呂から上がると、ふかふかのバスタオルで体を拭いてドライヤーまでしてくれた。
狩「ふわふわになったなー!」
ふわふわの毛に顔を埋めながら呼びかける。
竹 SANチェックしていいですか
塵 どうぞ
竹 SANチェック→成功
●キッチン
広めのキッチンはきちんと掃除がされているようで、コンロの隅々までピカピカだ。大きめの冷蔵庫はもちろん、オーブントースターや炊飯器も完備。美しく磨かれたグラスや皿達が、自分たちの出番が来るのを棚の中で静かに待っている。
塵 目星が振れます。
竹 目星82で振ります。→17成功
冷蔵庫にトマトの形を模したマグネットで止められたカレンダーが掛かっていることがわかる。日付部分に予定などを書き込んでいるようだ。丁度今日の日付に「荷物受け取り」という文字が書かれている。
▼イベント:ごはん
貴方がキッチンでうろうろしていると、狩屋がやってくる。
狩「こら、そっちはキッチンだから入っちゃダメだよ。もしかしてお腹空いた?ご飯にしよっか。キミが寝ている間に買って来ておいたんだー」
そういうと、買い物袋からドッグフードを取り出す。お皿にドッグフードを盛り付けると、貴方の前にそれを置いてくれる。
竹 美味しそうだと感じますか?
塵 KPから言えることは、犬の舌は人間の5分の1程度しか味覚を感じないが、甘みや塩味、苦み、酸味などは感じているらしい。つまり少なからず食べるとPCもドッグフードを味わうことになる。作者の兄はドッグフード食べて吐いたらしいので、中身が人間のPCたちも同じことになるのでは
狩屋はニコニコしながら食べるのを待っている。
竹 食べます(絶望)
臭いもTHEドッグフードで全然食欲も湧かないが、狩屋に期待のこもった眼差しを向けられ、断り切れなかった。
貴方は自分の前に出されたドッグフードを口に含み、ゆっくり噛み締める。今まで自分が食べたことのない未知の味が口の中に広がり、噛み砕いたどろどろとした固形とも液体ともつかない「なにか」がゆっくり喉を通っていく感覚がする。一言で言うのならば、不味い。味を認識した途端、先ほど食したドッグフードが逆流してしまいそうな感覚に、貴方は今朝食べた母親のご飯が恋しくなってしまう。
塵 CON×3を振ってください。
竹 CON×3=27で振ります。→68失敗
塵 これ以上食べきれない、もしくはリバースしてしまいます。
竹 もっかい振って失敗したら吐いても良いですか?
塵 どうぞ……
竹 CON×3=27で振ります。→85失敗
狩屋に背を向けてから、藤谷は咳き込み先程食べたものを吐き出してしまう。
狩「これはお気に召さなかったかな?どうしよう……一応こっちも買ってきたんだけど」
藤「(狩屋君を失望させてしまった……)」
竹 SANチェックしていいですか。狩屋の目の前で吐いたのと失望させた二重で1/1d2で
塵 どうぞ
竹 SANチェック→成功 1減少
藤谷の様子を見ると、狩屋は冷蔵庫の中から牛もも肉を取り出す。脂身が少ない赤身の部分。藤谷が焼いて食べたそうな視線をを投げかけると
狩「子犬なのに舌が肥えているなー」
そう呟きながらスマホを取り出し、わんちゃんでも食べれるレシピを調べだす。
作るメニューが決まったのか、狩屋はキッチンに立つと手馴れた手つきで調理に取り掛かった。にんじんやさつまいも、かぼちゃ、ブロッコリーといった野菜たちを一口サイズに切りそろえフライパンにオリーブオイルを数滴垂らし、滑らせる。そこに牛もも肉と先ほど切った色とりどりの野菜を入れる。フライパンの上でじゅうじゅうと食欲をそそる音を鳴らしながら、肉と野菜が踊っているのが見えるだろう。肉に焦げ目がつくくらいまで焼き上げると、アルミホイルで包み、暫く待つ。荒熱が取れたところで、テラテラと輝く銀色の包丁を取り出し肉を食べやすいサイズに切っていく。スライスされた肉の断面は美しいほどの桃色と茶色の層がくっきりと表れ、一種の芸術作品のようだとさえ錯覚する。なんと!ロースとビーフの完成だ!
狩「これ食べててね」
狩屋は藤谷にご飯を出すと洗い物をするためにキッチンに戻っていった。
藤「(狩屋くんが食器を片づけてくれている間に、僕だけ良い思いをするなんてできない……)」
狩「あれ?食べないの?冷めちゃうし食べちゃうよー?」
狩屋が戻ってくると、藤谷は尻尾をぶんぶんと振り歓迎してから食べようと更に近づく。
塵 アイデア1/2で振ってください。
竹 アイデア1/2=42で振ります。50→失敗
目の前に置かれた食事を取るため、貴方は口を開ける。すると口内から出たのは、鋭く長い針のような舌。針は肉に刺さると、そこからちゅうちゅうと肉汁を吸いだせる。そのようなことを無意識のうちにやってしまい、途中で自分は一体どうなってしまったのかと思い返すSANc0/1
竹 SANチェック→53成功
お肉はちょっとしなびてしまった。狩屋は気付いていない様子で美味しそうに食べている。
藤「(僕、これ……ただの犬じゃないな……。多分、ちょっと良くない、犬的な何かかな……。となると、なおさらこのままでいる訳にはいかないな……。もし、良くないやつだったら、狩屋くんを傷つけてしまう可能性だってあるし……)」
竹 味は美味しいですか?
塵 残りは野菜と一緒に美味しく普通に食べられます。
藤谷が全て食べきると、狩屋が片付けてくれる。
狩「美味しかった?」
藤「(色々見たけど、全然遊んでいるだけで、元に戻る手掛かりがないから、何か見つかるかもしれないし、申し訳ないけど……)」
藤谷はこっそりと寝室へ向かう。
●寝室
清潔感のある匂いの室内には、そこかしこにものが散らばっている。部屋の隅にはベッドが置かれている他、漫画など様々なジャンルの本が詰められている本棚が並べられている。
塵 目星が振れます。
竹 目星82で振ります。→10成功
ベッドの上には読みかけの本が、開かれた状態で置いてある。狩屋が読んでいたものだろう。
■カオス理論、バタフライ・エフェクト
「カオス理論とは」
最初の条件が変わるだけで最終的な結果に大きな差が起こる現象。微分方程式・力学系を扱う理論のこと。
「バタフライ・エフェクトとは」
一匹の蝶の羽ばたきが、地球の裏側で竜巻を引き起こすかもしれない、という論。このように我々の私生活の中においても些細な出来事が、その後の運命を大きく変えるのかもしれない。
藤「(今の状況もそんな感じだけど……わんちゃんを助けたからこうなったんだろうか……)」
藤「(狩屋くんは、意外と哲学的な思考をしてたりするのかな……。他にもそういう本はあるのかな……)」
本棚を探してみるが、似たような本は見当たらない。BLE○CHが全館揃っている。他には筋トレや身体づくりの本、栄養学の本が見られる。
どたばたと過ごしているうちに、時計の針は夜の10時を指し示していた。すると、「ピンポン」と誰かの訪れを知らせる呼び鈴の音が部屋に響き渡る。狩屋の元へ戻ると、モニターで画面を確認している。
「○○急便です。お荷物に判子かサインをお願いします~」
ダンボールを抱えた人懐っこそうな笑顔を浮かべた青年が映っていた。どうやら狩屋宛の荷物を届けにきた配達員のようだ。狩屋は画面の向こうの相手と手短に会話を終えると、貴方の頭を撫でてから玄関へ向かっていく。
狩「少し待っててね」
犬である貴方が飛び出していくのを防止するためだろうか、リビングと玄関への廊下を隔てるようにドアを閉めていく姿が見える。そんな忙しそうな狩屋の背中を藤谷は心配そうに追いかける。
扉のガラス部分から向こう側の様子が伺える。向こう側では、狩屋と先ほどの配達員がもみ合っているようだった。
しかし、どうも様子がおかしい。狩屋は配達員の男に口を手で塞がれ、腕を押さえられ、その手から逃れようとするように抵抗をしているのが分かる。そのうち男は狩屋を床に組み敷くと上にまたがり、身動きが取れなくなった狩屋の首に手を巻きつけ、絞めはじめた。首を絞められたせいか、声が出せなくなった狩屋は足をのたうち続け、尚も抵抗し続けている。そんな光景を目撃した貴方はSANc0/1D2
竹 SANチェック→成功
竹 なんとか開けられないですか?
塵 DEX×5に成功すれば開けることが出来ます。
竹 DEX×5=30で振ります。→1クリティカル
竹 藤谷ーッッ!
塵 お前が攻めだ
●対峙
小さな前足をドアにカリカリと滑り込ませ何とか扉をこじ開けると、扉越しにも見たあの光景が広がっている。今も尚、抵抗している狩屋の足はのたうち続けて入るものの、先ほどよりも抵抗する力が弱まっているのがやけに生々しく思えた。男は、扉が急に開いたことに驚いたような顔をしている。
藤谷が男へ向かっていくと、なんだこの犬と驚いたように、狩屋の首からは手を離すが、かわりにターゲットが貴方へと向いてしまう。
塵 ヘイトが自分に向いたことで、ここから犯人の男との戦闘が開始です。狩屋は1ターン目は息を整えるのに必死で動けません。また、この子犬の体、普通じゃねぇな…?なにか普通とは違う攻撃が出来るんじゃねぇか?という考えにいたる。
行動順:(狩屋→)犯人→藤谷
犯人こぶし50→失敗
藤谷舌で攻撃90→54成功
犯人回避→失敗
犯人POW減少1d3→POW 2吸収
狩「わんちゃん!」
狩屋マーシャルアーツ+こぶし→両成功
犯人回避→失敗
犯人ダメージ2d4→2+1=3減少
犯人こぶし50→失敗
藤谷舌で攻撃90→100ファンブル
竹 クリティカル全消費して一刻も早くあいつをぶちのめしたい。
塵 いいですよ
犯人回避→失敗
犯人POW減少1d3→POW 3吸収
犯人POW 1
犯人は恐れおののき、尻尾を巻いて逃げていく。犯人を撃破すると、静寂という空間にあなたたちは取り残される。狩屋はへたりとその場にしゃがみ込み、貴方を見る。
狩「どうして出てきちゃったんだよー、あんな危ないことしちゃだめだよ……」
そう言うと、貴方の無事を見て安堵したのだろうか、眉を下げ穏やかに微笑んだ。小さな貴方の体を抱き上げ自分の胸元に招き、優しく抱きしめる。
狩「でも、助けてくれてありがとう」
数回、頭を撫でるような心地のいい感覚がする。その優しい手つきと体温に、貴方はふと目を細めてしまうかもしれない。すると、不意に額になにか温かいものが触れた気がした。何事だと顔を上げると、狩屋が貴方の額にキスを落としていたのだ。貴方が何か反応するよりも先に、「あの」と声が耳に届く。
「……わん」
「…きこえますか…わん」
「…」
「…あの子を…たすけてくれて…ありがとう…わん…」
「…今すぐ…体…返しますわんね…」
そんな、気の抜けるほどかわいらしい声。これで非日常が終わるのだと貴方は認識する。ん?今体を返すと言ったか?
その瞬間、まばゆい光が貴方を包み込む。突然子犬が発光したことに驚く狩屋、そんな狩屋の腕の中では子犬だった小さな体がみるみる人間の形に変わっていく。優しい光が収まったかと思うと、貴方は元の姿に戻されていた。目の前には貴方を腕に収め、硬直している狩屋がいる。どうしてこんなタイミングで体が戻されたのか?しかもこういう時は、気がついたら気を失う前の場所に戻されるのが物語のセオリーではないのか?これじゃあまるで、キスで呪いが解けたおとぎ話みたいじゃないか!きっとそれは、貴方達に助けられた小さな生き物のちょっとしたいたずらだったのかもしれない。
竹 SANチェック1/1d3していいですか
塵 どうぞ
竹 SANチェック→成功 1減少
藤谷がサッと離れると、固まっていた狩屋がようやく声をあげる。
狩「え、あっ……藤谷くん!?」
藤「……ごめん…………」
狩「なんでここにいるの?」
藤「……話すと長くなる……」
狩「上がってく?」
藤「……うん…………」
狩「あれ?わんちゃんいなくなっちゃった」
藤「……ぁ……そう、だね、なんでだろう、ね…………」
狩「藤谷くんさ、なんかわんちゃん見てない?すごいちっちゃい犬いたはずなんだけど……」
藤「……あ………………」
狩「大丈夫かな。ちょっと怪我してたから……見てない?」
藤「……気のせい、じゃない?わんちゃんなんて、いなかったよ……」
狩「そう、かなあ…………?」
藤「……うん、狩屋くん……ちょっと、疲れてるんじゃない?……だってほら、僕がこんな所にいるのもおかしい話でしょ、これは夢だよ。狩屋くん、寝てきなよ……」
狩「んー上がってかないの?藤谷くん」
藤「うん、あの……嬉しい、けど……でも、ちょっと、おつかい、頼まれてるからさ……」
狩「あっそうなの?こんな夜なのに大丈夫?ごめんねなんか」
藤「う、うん……大、丈夫、あの……気を付けて……。……あの、狩屋くん、自分が思ってるより、不審者とかに、狙われやすいから……」
狩「そう……かなあ?うん、ありがとう!じゃあおやすみー、ばいばーい!」