【CoCセッション】ムユウの水槽


こぽり。こぽり。水泡が上へと昇っていく音がする。白く小さなその泡は、自分の口元から溢れているように見えた。続けて、息苦しさが肺を満たして自分が溺れていることに気がつく。視界が碧で埋め尽くされている。上の方から日の光が差しているのが見えるが、あっという間に遠ざかって碧の向こうに消えていく。

ごぼり、ごぼり。暗い昏い海の底が背後から全身を呑み込んでいく。耳に入る音は全て水に阻まれ、くぐもり、低く脳を揺らすだけ。必死に手足を動かして昇る水泡を追いかけようとするけれど、水の重さに抗うことが出来ない。身体は重力に任せて下へ下へと沈んでいく。
どこまで落ちてしまうのだろうと、沈んでいく先に目を向けたその時、君は見た。海底にうごめく巨大な影が、"じっとこちらを見つめている"のを。SANc1/1d3
高松彰吾
CCB<=50 SANc (1D100<=50) > 73 > 失敗
高松彰吾
1d3 (1D3) > 2
影が、こちらへ伸びてくる。沈む体はそのまま、影に追いつかれて囚われる――。
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 50 → 48
高松彰吾
ッ……!!
そこで、君は目を覚ました。瞼を開け、飛び込んできた光景は見慣れた自室。カーテンの向こう側から朝の気配がしている。なにやら恐ろしい夢を見た。気付けば全身がびっしょりと汗にまみれている。ほぅ、と一つ息を吐き出して、先ほどまでの映像が夢だということに君は安堵するだろう。
時計を見れば、時刻は朝8時。いつもより早く起きただろうか、それとも遅い時間だっただろうか。
君は今日、冨家ののと約束をしていた。待ち合わせの時間まではまだあるが、そろそろ起き出して支度をしなくてはならないだろう。
高松彰吾
クソ……寝覚めが悪いな…。
高松彰吾
(スピーカーにスマホを繋いで音楽をかける)
高松彰吾
(洗顔ばしゃばしゃ)
高松彰吾
(納豆ご飯もぐもぐ)
高松彰吾
(歯磨き)
高松彰吾
(タンスの一番上に入ってる服を着る)
顔を洗い、服を着て、朝ごはんを食べて。嫌な夢を見たこと以外、至極いつも通りの朝だった。いつも通りの朝の、はずだった。
ピロン。テーブルに置いていた君のスマホが短く通知音を鳴らした。見れば、冨家と共通の知り合いである久々宇賢作からメッセージが届いている。
高松彰吾
(久々宇さんか…)(メッセージを読む)
久々宇賢作
『みけちゃんが、未知の病に罹って入院したって』
久々宇賢作
『前例のない、世界でたった一人だけの病気らしい』
高松彰吾
……は?
高松彰吾
『連絡ありがとうございます。どこの病院ですか?』
久々宇賢作
『ああ、みけちゃんと連絡も取れない状態だから、高松君が知ってるか気になって。今は、夢野大学併設の研究施設に居るみたいだよ』
久々宇賢作
『未知の病だから治療法も無くて、今は施設で様子見てるんだって。俺今仕事が忙しくて、良かったらお見舞いに行ってあげてほしいな』
高松彰吾
『普通に今日会う予定だったんで、初聞きです』
高松彰吾
『ありがとうございます、向かいます。お疲れ様です。』
久々宇賢作
『そうだったんだ。昨日の夜搬送されたらしいから、無理もないよ。うん、またね』
高松彰吾
『様子分かったら改めて連絡します』
今日、これから会うはずだった冨家が、未知の病で入院した。あまりにも急な事態に困惑を覚えSANc0/1
高松彰吾
CCB<=48 SANc (1D100<=48) > 70 > 失敗
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 48 → 47
[知識]が振れます。
高松彰吾
CCB<=65 知識 (1D100<=65) > 66 > 失敗
夢野大学の所在を君は知らない。調べる必要があるだろう。
[図書館]、[コンピューター]などが振れます。
高松彰吾
CCB<=75 図書館 (1D100<=75) > 52 > 成功
スマホで夢野大学の場所が分かった。これで迷わず辿り着けるだろう。
高松彰吾
(バイクで急ぐ)
大学の敷地内、キャンパスの隅の方にその施設はあった。建物自体は新しいようで、シンプルで洗練されたデザインをしている。
受付
こんにちは~
高松彰吾
……すいません、冨家ののという人は入院していますか?…知り合いなんですけど、見舞えますか?
受付
あ、はい~それでしたら一番奥の研究室になります~
高松彰吾
ありがとうごさいます…。(一番奥の研究室に向かう)
研究室A、と書かれたプレートの下に、「冨家のの」と書かれた紙が差しこまれている。
高松彰吾
(入る)
しゅいん、と音を立てて近未来的なデザインの自動ドアが開く。続けて目に入って来たのは薄暗い室内の真ん中、淡い青色のライトでちろちろと照らされた、円筒型の大きな水槽。
高松彰吾
(水槽…?)
ゆらり、ゆらり。
その大きな水槽の中で、求めていた人物――冨家ののは退屈そうに眼を閉じて、たゆたっていた。ぽこり、ぽこりと、水槽から響く気泡が昇る音がやけに大きく聞こえてくる。
高松彰吾
……は…………??
冨家 のの
…………
瞼の閉じられたその表情は、水の中に居るというのにどこか安らかだった。呼吸はしているようで、時々口元から小さな泡が昇っていくのが見える。非現実的な状況だというのに。青く照らされた水の中に浮かぶその姿は何かの芸術作品のようで、どこか幻想的に映るだろう。
高松彰吾
(…………俺は今何を見ている?SF小説か何かか?)
高松彰吾
……冨家、(呼びかけながら水槽に近づく)
冨家 のの
…………!(近づいてくる気配に目を開けると嬉しそうに微笑む)
高松彰吾
……起きたか。…随分珍妙な状況だな。具合はどうだ?……聞こえんのか?これ。
冨家 のの
…………?(口元を見ながら首を傾げる)
冨家 のの
高松彰吾
聞こえてねえな…。(頭を抱えて首を振る)
冨家 のの
――、――――(高松の方に泳いできて何か言っている)
高松彰吾
…………?(手帳に『すまない。聞こえない。』と書き込み見せる)
冨家 のの
~!(頬を膨らませる)
高松彰吾
『俺の声も聞こえないだろ』
冨家 のの
(頷く)
高松彰吾
『具合はどうだ?寒くないか?』
冨家 のの
(頷く)
高松彰吾
『よかった』
高松彰吾
『主治医を探して話を聞いてくる』
冨家 のの
!(不意に高松の後ろに視線をずらす)
高松彰吾
…?(振り返る)
??
こんにちは。冨家さんのお知り合いですか?
高松彰吾
ああ、はい。…友人……?です。
そこにいたのは白衣を着た男性だった。
佐渡
そうですか。はじめまして。冨家さんの主治医を務めております、佐渡と申します
高松彰吾
…ちょうど、詳しく話を伺いたいと思っていたところです。…あの状態なんで…。
佐渡
ええ、びっくりされましたよね。昨晩、冨家さんは呼吸困難に陥ったと大学病院の方まで緊急搬送されてきまして。しかし、吸入などを施しても状態が改善されず、体はどこを調べても異常が無くて……
佐渡
ギリギリのところで分かったのが、【全身が水に浸かっていなければ上手く呼吸が出来ない】ようだということで
佐渡
偶然身体に水がかかった時に、一瞬楽そうな表情になったんです。その偶然がなければ危ない状態でした
高松彰吾
……あるんすね、そんなこと……。…でもとりあえずは助かってよかったです。(非現実的な話に僅かに眉を顰める)
佐渡
ええ、本当に……。全身を浸からせ続けられるのはこの水槽しかなく、今はここに入っていただいてます
佐渡
……お察しかもしれませんが、このような症例は未だ世界のどこにもなく……冨家さんだけがかかっている、未知の病、ということになります
佐渡
未知の病ですから、当然治療法は見つかっていません。……現時点では、見つかるかも保証が出来ない状態です
佐渡
ひとまず、治療法や症状の緩和出来る方法なんかを探すために、冨家さんにはしばらくこちらの研究室に留まっていただきます
佐渡
ご家族やご友人などの皆様にはつらい状態かもしれませんが……一番つらいのは冨家さんでしょう。なにせずっとここに幽閉状態になってしまいますからね
佐渡
……良ければ、出来る限りこちらに足を運んで、顔を見せてあげてください。あいにくガラスが分厚くて、会話もままならないのですが
高松彰吾
ああ、…退屈そうっすね。……絵心でもあればよかったんすけど…。(小さくため息をつく)
高松彰吾
……あんたって、変な運があるよな。相変わらず。(水槽に向かって呟く)
冨家 のの
(やっとこちらを向いた高松に手を振っている)
高松彰吾
高松彰吾
……。(元気そうな姿に微かに目を細め、ひらりと手を振り返す)
佐渡
ああ、いけない。この後一回病院の方に戻らないといけないんです。受付にはあなたのことを話しておきますから、明日からも好きな時に来てください。泊まったり出来る施設は無いので、大学が閉門するまでの時間にはなりますが(腕時計を見ると、研究室を出ていく)
高松彰吾
高松彰吾
『明日からも来ていいらしい』
冨家 のの
(嬉しそうに笑う)
高松彰吾
……あんたの声が聞きたいな。早く。(冨家を見て静かに呟く)

ウワーッ!!!!(爆散)
冨家 のの
高松彰吾
『スマホでネットフリックスでも見るか?』
冨家 のの
!(こくこくと頷いてギリギリまで近づく)
高松彰吾
……これとかか?(適当なドラマを指さし)
冨家 のの
(右を指さす)
高松彰吾
…こっちか。(自分では選ばない恋愛もののタイトル)(字幕ONにし、再生する)
冨家 のの
冨家 のの
(楽しそうに画面を眺めている)
高松彰吾
(…身体的苦痛が無さそうなのは不幸中の幸いか…。しかし……今後、どうなるか分からんな…。)

~夕方頃~
高松彰吾
『そろそろ帰る』
冨家 のの
(残念そうに頷く)
高松彰吾
『明日 また来る』
冨家 のの
(頷いて手を振る)
高松彰吾
『早く出られるといいな』
高松彰吾
(軽く微笑み手を振り返す)
高松彰吾
研究施設を出ると、すっかり日は暮れ街はすっかり夜の顔を見せていた。建物の灯りや街灯に照らされ、闇を出来る限り取り除かれた道を、たくさんの人々が行き交っている。君は急に訪れたショックな出来事に気を落としながら、とぼとぼと帰り道を歩いていく。
[目星]を振ってください。
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 51 > 成功
視界の端に、ブロックノイズのようなものが走った気がした。
高松彰吾
…………?(眼精疲労か?)(眼鏡をはずし目を擦る)
不意に、視界が真っ赤に染まる。何が起きたのかと思ったその瞬間にはもう、今まで見ていた夜の街の景色は消えていた。
視界が赤く染まったと思ったのは、空が一面ののっぺりした赤色に変わったからだった。まるで血で染め上げたかのような、あり得ない色の空が広がっている。綺麗な建物が立ち並んでいたはずの場所は、崩れた建物がところどころに立ち並ぶ荒野へと変わり果てていた。
高松彰吾
は…………、
そして何より。道を歩いていた人々が皆、およそ人とは呼べないような生き物へと様変わりしているのだ。人のように二本足で立っているが、背中を丸めて前かがみに立つ彼らの顔はみな犬によく似た顔をしており、足も蹄状に割れている。体の表面はゴムのような不愉快な感じをしていて、犬の口のような場所から泣いているような声を上げていた。
そして。街の人々に取って代わった人そのならざる生き物は、全員が一斉に君を見た。SANc1/1d6
高松彰吾
CCB<=47 SANc (1D100<=47) > 17 > 成功
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 47 → 46
見られた、と思った、刹那。瞬きをした一瞬の間、次に目を開くと、街はいつもの様子へと戻っていた。
空の色も、街の様子も、行き交う人々の姿も。全て、君の知る光景そのものだ。今見えた異様な光景はなんだったのだろうか。
高松彰吾
(ジャケ写みてえだな…)
高松彰吾
『冨家の様子見てきました』
高松彰吾
『イルカみたいでした』(写真添付)
高松彰吾
『水の中じゃないと呼吸できないらしいです』
久々宇賢作
『うわ!なにこれ大丈夫なの!?』
久々宇賢作
『そんな病気あるんだ……。なんだか大変なことになっちゃったね』
高松彰吾
『他に辛い症状は特に無いらしいです。ただ水槽のせいで会話も出来なくて暇らしいんで』
高松彰吾
『明日も見に行きます』
久々宇賢作
『それなら良かった。うん、そうしてあげて』
高松彰吾
(就寝)
いつ元の生活に戻れるのか。それとも、もう元の生活に――隣に彼女が居る日常に戻ることは、もしかして出来ないのだろうか。嫌な想像が頭を擡げ、考えたくないのに絡みついて消えてはくれない。
胸中を覆う黒いもやのような不安と共に。君はいつの間にか眠りについていることだろう。
夢の中。はっきりしない意識の奥で、水泡の昇る音を聞いた気がする。
昨日見ていた夢と違って、朧げで恐ろしくはない。ただ、水の中に沈んでいく。
そして。自分よりも下に居る、沈んでいく誰かの影を追っている。そんな夢を見た。
そうしてまた朝が訪れる。昨日のことが夢だったらよかったのにと考えるが、久々宇とのメッセージは未だに残っており、現実であったことを思い知らされた。
高松彰吾
(朝のルーティンを一通りこなす)
高松彰吾
(夢野大学に向かう)
夢野大学へ向かうと、既に門は開いており難なく敷地内に入ることが出来た。朝の大学は人がまばらだが、眠そうな学生たちや慌ててどこかへ向かう教師の姿がある。
キャンパスを抜け、昨日も訪れた研究施設へと足を運ぶ。
高松彰吾
(一番奥の研究室にまっすぐ向かう)
受付のお姉さんへの挨拶もそこそこに、君は研究室Aの扉をくぐる。そこには眠そうな顔をしているが、薄く瞼を開けて水槽の中に浮かぶ冨家がいた。
水槽に[目星]が振れます。
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 69 > 失敗
冨家 のの
!(高松の姿を見つけると、水槽の中を指差す)
高松彰吾
…?(指さされた方を見る)
水槽の中に、小さなパネルのようなものがいくつか浮かんでいるのが見える。全部で8つあるようで、模様のようなものが書かれている。
高松彰吾
なんだ?暇つぶしのパズルか?
冨家がパネルを押すと、水槽近くのモニターに♪が表示された
どうやら模様は「○」「×」「♪」「?」「♡」「雫のマーク」「ちょっと痛そうな顔をした絵文字」「怒った顔をした絵文字」の8種類あるようだ
高松彰吾
…あー……。
高松彰吾
『意思疎通のために用意されたものか?』
冨家 のの
高松彰吾
『手厚いじゃねえか』
冨家 のの
高松彰吾
『無いよりマシかもな』
高松彰吾
『そういえば 妙な夢を見た』
冨家 のの
高松彰吾
『海に沈んでいく夢だ』
冨家 のの
(ちょっと痛そうな顔をした絵文字)
高松彰吾
『一昨日見たものは 海底に何か恐ろしい影がいて、こちらを見つめていた』
高松彰吾
『昨日は 恐ろしさはなかったが 沈んでいく誰かの影を追っていた』
高松彰吾
『冨家に心当たりは無いか?』
冨家 のの
×(首を振る)
高松彰吾
『そうか』
しばらく冨家と水槽越しで二人の時間を過ごしていると、研究室入口のドアの向こうから主治医の大きな声が聞こえてきた。
佐渡
ええっ、来られない!? なんだってまた……ああ、また気まぐれを起こしたのか!
その後は声は小さくなるが、まだ誰かと話しているような声が漏れ聞こえてくる。
高松彰吾
『ちょっと待ってろ』
高松彰吾
(ちらっと佐渡の様子を伺いに行く)
研究室を出てみると、今電話を終えたばかりなのかスマホを手に持ち溜息を吐いている主治医の姿があった。出てきた君の姿を見るなり、困ったような顔をして挨拶をする。
佐渡
ああ、あなたでしたか。今日も来てくれたんですね。先ほどの、聞かれてしまいましたかね……?
高松彰吾
取り乱している様子だったので、…冨家に関することで何かあったのかと。
佐渡
実はちょっと困ったことになりまして。今日、本来であれば冨家さんのような未知の病気を研究している人が来てくれるはずだったんですが……さきほど、『今日は気分じゃない』とかいう連絡があったみたいで……
佐渡
野出博士という方で、医学で対応しきれない不思議な現象に関するエキスパートなんですが、気まぐれで変人というので有名な人なんですよ。うーん。今日来られないとなると、次に予定が合いそうなのは二週間後くらいになってしまう……。しかし野出博士が来ないと話が進まない……。用事があるとかじゃなさそうなので、本当に気分が乗らないだけなんでしょうね。どうしよう……
高松彰吾
2週間は…長いっすね。(視線を落とす)
佐渡
説得に行こうにも、他の患者さんの診察もあるので難しくてですね……
高松彰吾
……まあ、頭下げるとか、金を積むとか…俺に出来ることがあるならやります。…その野出って人はどこにいるんですか?
佐渡
本当ですか!とても助かります!それに、私よりも冨家さんのお知り合いであるあなたに説得してもらえば、あの気まぐれ変人も気が変わるかもしれません
佐渡
それじゃあ、よろしくお願いします。教授のいる施設への行き方をお教えしますね
主治医は紙とペンを取り出して、さらさらと何かを書いて渡してくれる。その紙を見れば、「夢野大学 科田須キャンパス」という場所への行き方と、キャンパス構内の簡単な地図が書かれていた。「神話研究室」という建物が赤い丸で囲まれている。
佐渡
野出博士はいつもその研究室にいるんです。それではお手数ですが、よろしくお願いします。私は一旦、病院の方へと戻りますので(ぺこりとお辞儀をし、その場を去って行く)
高松彰吾
…ありがとうございます。(胡散臭え研究室だな…)(眉を顰める)
高松彰吾
(研究室Aに戻り手帳を取り出す)
高松彰吾
『キャン』
高松彰吾
『少し時間がかかるかもしれない』
高松彰吾
『すまない』
冨家 のの
(雫のマーク)
高松彰吾
『なるべく急ぐ』
冨家 のの
(頷いて手を振る)
君は、冨家のいる施設がある大学から4駅ほど離れた場所にある科田須キャンパスへ向かう。周辺を森に囲まれたこのキャンパスは、鬱蒼としていて近寄りがたい雰囲気をしていた。意を決して門をくぐり、主治医からもらった地図を頼りに向かえば、『神話研究室』という看板が出された場所に辿り着く。
そこはお世辞にも綺麗とは言えない年季の入った小さな建物で、ただでさえ暗く不気味なキャンパス内でも特に異質な空気を醸し出している。入口の扉を見ると、大きな文字で「ノックして!!」と書かれた紙が貼り付けられていた。
高松彰吾
(コンコン)
扉の中から、初老の男性の声で「はいどうぞ~」と返事が返ってくる。
高松彰吾
失礼します…。
中に入ると、まず目に飛び込んできたのは壁一面の大量の本。建物全体で一室となっている空間で、四方の壁がすべて本棚で埋め尽くされている。
部屋の中心に事務机が4つ向かい合って並び、そのうちの一つに白衣の老人が腰掛けて本を読んでいた。
老人に[目星]が振れます。
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 31 > 成功
胸元に「野出」という名札が付いているのがわかる。
老人は貴方が入室しても本から顔を上げることなく、そのままの姿勢で話し始めた。
野出
注文してた機材デショ? そこの机に置いといてくれればオッケー
高松彰吾
ああ…いえ、機材ではないです。突然すみません、高松彰吾と申します。…冨家のの、という人物の件で伺いました。
野出
え? 配達じゃナイノ? じゃあ帰った帰った。僕は今未知の研究で忙しいンダ
野出
冨家~? ああ、なんかそんな名前の患者の話を聞いたナァ。でも今、あんまり人魚病には興味ないんだヨネ~
野出
あ、人魚病って名前は僕が今、勝手につけたノ~。まぁとにかく、今は行く気無いカラ、また今度~
一方的に言い放ち、再び本を読み始めてしまった。
高松彰吾
CCB<=75 説得 (1D100<=75) > 41 > 成功
高松彰吾
…未知の病…となると、今は無事でもいつ容態が急変するか分かりません。友人として…彼女のことがとても心配です。……不躾ですが、ご一考願えませんか。
高松彰吾
報酬が必要であれば、…限りはありますが支払います。
野出
ウ~ンそれじゃあ、僕の出す条件を飲んでくれたらその人魚病患者のところに行ってあげヨウ
野出
この街で一番高い電波塔があるんだけど、そこにとある資料を置き忘れてきちゃったンダ。それを持ってきてくれたら、キミの熱意に免じて人魚病の治療に全力を尽くしてアゲル
高松彰吾
全力を……ありがとうございます。承知つかまつりました。
君が引き受けると、博士はニヤニヤしながら電波塔への行き方を紙に書いて渡してくれる。ここから更に駅三つ分ほど離れた場所にあるようだ。
野出
一応観光施設も兼ねているから中に展望エリアがあるんだけど、そこの双眼鏡のところにケースごと置き忘れてきちゃったんだヨネ。実は無くしたら困るやつだったから、取りに行ってもらえるととっても助かるヨォ。それじゃあよろしくネー
高松彰吾
(…何か、裏があるかもしれねえな…)
そう言うと、博士はまた分厚い本を読み始めてしまう
高松彰吾
(電波塔に向かう)
都心にある有名な観光地の電波塔ほど大きくはないが、一応観光施設としての役割もあるようで、塔の中段部分に展望エリアがある電波塔。休日であれば観光客や子供連れの家族がいることもあるが、平日ということもあり周辺にはほとんど人がいなかった。
高松彰吾
(入る)
塔の中へ入ろうと一歩踏み出した、その時。
[聞き耳]を振ってください。
高松彰吾
CCB<=85 聞き耳 (1D100<=85) > 91 > 失敗
――赤い。
そう思った時にはすでに、世界はすでに全く別のものへと塗り替えられていた。昨日も見た、視界いっぱいに奥行きの無い赤い空と、ゴツゴツした岩肌の見える荒野。
そして。今までそこに塔があったと思った場所には、黒く不格好な影が鎮座している。塔には程遠い、人間と同じくらいの大きさの、黒い何か。
影、かと思ったそれは、生き物だった。
体表は油っぽく滑らかなクジラのような皮膚をしており、内側に向かって不快な形をした、曲がった角が生えている。羽ばたいているのに音がしない大きな蝙蝠のような翼に、細く脆そうで虫のような嫌悪感を想起させる腕、意味もなく厭らしい感じで打ち付ける棘の付いた尾。何より恐ろしいのは、それに顔が無いことだった。顔があるべきところにはただ顔を暗示するような空白があるのみ。
高松彰吾
……!
明らかに、この世のものとは思えない不気味な怪物。その怪物は、顔がないにも関わらず――はっきりと、"君を見た"。SANc0/1d6
高松彰吾
CCB<=46 SANc (1D100<=46) > 46 > 成功
怪物はその細く気色の悪い腕を、君の方へと向けてくる。
高松彰吾
(逃げる)
ここは周辺にめぼしいものがない荒野のため、上手く岩陰に隠れて撒けるか判定を行う必要がある。
最初に≪DEX×5≫、これに成功で素早く岩陰に隠れられる。そこから見つからないでいられるか、≪隠れる≫で判定。≪隠れる≫が無い場合は≪幸運-10≫で判定を行う。
高松彰吾
CCB<=80 DEX×5 (1D100<=80) > 70 > 成功
高松彰吾
CCB<=45 幸運-10 (1D100<=45) > 63 > 失敗
戦闘開始です。
高松彰吾
(クソッ…見つかった…!)
3d6 (3D6) > 8[1,4,3] > 8
s3d6 (3D6) > 10[3,6,1] > 10
s4d6 (4D6) > 8[5,1,1,1] > 8
s1d6 (1D6) > 6
s3d6 (3D6) > 9[6,2,1] > 9
s2d6+6 (2D6+6) > 9[5,4]+6 > 15
高松彰吾
CCB<=50 こぶし (1D100<=50) > 28 > 成功
夜鬼
SCCB<=30 回避 (1D100<=30) > 73 > 失敗
高松彰吾
1d3 (1D3) > 3
夜鬼
SCCB<=30 くすぐり (1D100<=30) > 58 > 失敗
高松彰吾
CCB<=50 こぶし (1D100<=50) > 25 > 成功
夜鬼
SCCB<=30 回避 (1D100<=30) > 53 > 失敗
高松彰吾
1d3 (1D3) > 1
夜鬼
SCCB<=30 組付き (1D100<=30) > 81 > 失敗
高松彰吾
CCB<=50 こぶし (1D100<=50) > 16 > 成功
夜鬼
SCCB<=30 回避 (1D100<=30) > 2 > 決定的成功/スペシャル
夜鬼
SCCB<=30 組付き (1D100<=30) > 94 > 失敗
高松彰吾
CCB<=50 こぶし (1D100<=50) > 57 > 失敗
夜鬼
SCCB<=30 組付き (1D100<=30) > 10 > 成功
高松彰吾
CCB<=32 回避 (1D100<=32) > 92 > 失敗
夜鬼
(組付く)
夜鬼
SCCB<=30 くすぐり (1D100<=30) > 67 > 失敗
高松彰吾
CCB<=80 DEX×5 (1D100<=80) > 65 > 成功
高松彰吾
CCB<=45 幸運-10 (1D100<=45) > 70 > 失敗
夜鬼
SCCB<=30 組付き (1D100<=30) > 79 > 失敗
高松彰吾
CCB<=80 DEX×5 (1D100<=80) > 29 > 成功
高松彰吾
CCB<=45 幸運-10 (1D100<=45) > 5 > 決定的成功/スペシャル
再び怪物の目から逃れようと、今度は少し離れた岩陰へと素早く飛び込む。息を潜めて祈っていると、怪物は君を見失ってしまったのか遠くの方へと飛び去っていった。
怪物が飛び去ったのと同時に、ぱっ、と視界から赤色が消える。空が、普通の青色に戻っていた。あたりの景色も荒野ではなく、先ほどまで見ていた普通の街並みだ。
見上げれば電波塔も確かにそこにあり、昼過ぎの強い陽光に照らされ高く濃い影を地面に落としている。先ほどまで見ていた光景は、なんだったのだろうか。
高松彰吾
(…なんなんだ……クソッ、俺も病気か?)
自動ドアをくぐれば、薄暗い受付と小規模なエレベーターホールが出迎えた。受付に人は居ないが、パネルが立ててあり「本日自由観覧日」と書かれている。
一つしかないエレベーターは普通に動いているようで、ボタンを押せばポン、という到着を知らせる電子音と共に扉が開いた。小さく狭い籠に乗り込み、シンプルな操作盤の展望エリアを示すボタンに振れれば、扉は閉じて機械音と一緒に空間が上へと昇っていく。
うぉん、と重力が微かに脳を揺らしたような錯覚。僅かな立ち眩みに襲われたかと思えばすぐに機械の箱は停止し、再びポンという軽い音を伴って扉が開く。
そこは観光施設と呼ぶにはいささか足りない狭い展望スペースが広がっていた。子供が転んでも痛くない様にか床は絨毯張りになっているが、その他は無骨なコンクリートがむき出しで空間デザインも何もない。
ただ、奥の壁は一面ガラス張りになっていて、街の様子がよく見渡せた。青い空の下、駅や住宅などの建物がひしめき合っている。
[目星]が振れます。
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 73 > 失敗
三つだけ並んでいる望遠鏡のうちの一つ、その根元にアタッシュケースが置いてあるのを見つける。
高松彰吾
(これか…)
黒いアタッシュケース。鍵などはかかっておらず、開ければ中を見ることが出来る。
高松彰吾
(…一応、記名があるか確認するか…他人のブツかもしれねえしな。)
高松彰吾
(開ける)
中には一冊の絵本と、紙の資料が入っていた。
高松彰吾
(絵本…?……神話か何かか?)
〇絵本
「人魚姫」の絵本。子供向けに訳されたもので、繊細なタッチのイラストが見ごたえのある本になっている。
〇絵本
<人魚姫のあらすじ>

海の底で暮らし、海の上の世界に憧れていた人魚姫。人魚姫は15歳の誕生日に初めて海の上の世界に行き、船に乗っていた王子に一目惚れをする。
船が嵐に呑まれ、溺れかけた王子を助けた人魚姫。しかし王子は自分が目を覚ました際傍に居た人間の娘が命の恩人であると勘違いしたまま、陸の世界へと帰ってしまう。
人魚姫は自分も人間になって王子の側に居たいと思い、海の魔女に人間にしてほしいと頼んだ。海の魔女は、引き換えに人魚姫の美しい声を要求する。更に、王子と結婚出来なかった場合は人魚に戻れず海の泡になって消えてしまうという。
それでも王子の側に居たいと願った人魚姫は、魔女の出した条件を飲み、二本足を得て陸の世界へと向かう。無事に王子と出会い、言葉は交わせないけれど優しい時間を過ごす二人。
しかし、王子は結婚相手には溺れた時に助けられたと勘違いした娘を選んでしまう。助けたのは自分だと伝えたくても、声を失っているため告げられない人魚姫。
このままでは海の泡になってしまうと嘆いていたところ、人魚姫のお姉さん達が表れ、人魚姫にナイフを手渡した。「それで王子を刺せば、人魚に戻れる」しかし人魚姫は愛した王子を刺すことは出来ず、ナイフを海に捨て、自身も海へと飛び込んでしまう。海の泡になってしまった人魚姫だが、そのまま空へと昇って行き風の精へと生まれ変わることが出来たのだ。
[目星]が振れます。
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 5 > 決定的成功/スペシャル
一番最後のページに、「つまり、命の危機に瀕した人魚姫に必要だったものは、愛の証明だったのだ」と走り書きがある。
高松彰吾
(そんな話だったか…?)
〇紙の資料
何かの研究資料。大半が難しい言語で書かれているが、一部が日本語で読めるようになっている。
〇紙の資料
タイトルは「夢の世界について」。
読める個所に目を通すと、以下のことが書かれていた。

・夢の世界、すなわちドリームランド。選ばれし夢を見る者だけが訪れることが出来る。実体の無い領域。
・実体の無い領域とはいえ、地球上と同じように雄大な自然があり、街もある。ただし住んでいるのは我々の知るような人間とは異なり、神々そのものであったり、その配下の化け物達や信者達であったりする。
・神に見初められたり、興味を持たれた人間が意図せず迷い込むことがあるようだが、詳細は不明。
他に資料らしきものが置いてある気配はない。このケースを持ち帰れば、おそらく博士は満足するだろう。
高松彰吾
(アタッシュケースを閉じ電波塔を降りる)
君は電波塔を降り、再び博士のいる科田須キャンパスへと戻ることにした。
[アイデア]が振れます。
高松彰吾
CCB<=80 アイデア (1D100<=80) > 39 > 成功
道中、すれ違う人が極端に少ない……どころか、誰も居なかったような気がする。
キャンパス内へと入ると、辺りを歩く学生は一人もいなかった。周辺の森から風が木を揺らす音だけが聞こえてくる。気味が悪いほど静かだ。
再び訪れた神話研究室の扉を開けると、博士も居ない。詰まれた資料や大量の本が、主の不在を主張するかのように雑然と置かれたままとなっていた。
無人の今なら、研究室の中を調べることが出来そうだ。
探索可能個所
・本棚
・机
・引き出し
高松彰吾
(いねえじゃねえか…)
高松彰吾
(…冨家を待たせてるんだがな…。……連絡先とか、何処かに書いてないのか?)
高松彰吾
(アタッシュケースを机に置き、机の上を見る)
様々な言語で書かれた大量のプリントの束が乱雑に放置されている。
[目星]が振れます。
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 87 > 失敗
高松彰吾
(引き出しを見る)
高松彰吾
CCB<=31 ロシア語 (1D100<=31) > 11 > 成功
ロシア語で書かれた資料を見つけることが出来る。
・大いなるクトゥルフ、ルルイエの主

深海都市ルルイエで生きたまま死んだように眠りについている大いなるもの。いつの日か都市ルルイエが地上に現れて復興するときがくれば、大いなるクトゥルフも目を覚まし、現実世界を荒廃に導くだろう。彼は長い眠りの中で、人間に恐ろしい夢を送ってくることがある。
高松彰吾
(ロシアの神話か…?Бабушкаに聞いてみるか…。)
事務机の幅広な引き出し。鍵などはかかっていない。
高松彰吾
(開ける)
がらがらと引き出しを開けると、手描きのプリントの束が入っていた。「人間の思い込みについて」と書かれている。
『人間は、生き物の中でも特に、思い込みの強い生き物です。
「こうでありたい」「こうかもしれない」という思い込みだけで、それと同じような状態を身体に引き起こすことが出来てしまいます。
例えば、想像妊娠。赤ちゃんが欲しい、という強い思い込みが、まるで妊娠したかのような症状として現れる。
例えば、プラシーボ効果。ビタミン剤を「睡眠薬です」と言われて渡されると、そんな薬効などないのにそれを飲むことで本当に眠くなる。
例えば、死ぬような大怪我をしても生きたいと強く思えば身体も生き延びようとします。例えば、健康で病気などないのに死にたがっているといつのまにか病気になっていたりします。
そう、思い込みの力はすごいのです。そしてその思い込みは、外界からの情報を調節することで引き出すことも出来ます。
人間は、五感から始まる"感覚"から得た情報を脳で構築することで、世界を認識しています。
つまり―――――。』
後半の方は、書いた後消されたようで読むことができなかった。
高松彰吾
(本棚を見る)
ものすごく古そうな本から比較的新しい本まで、あらゆる言語のさまざまな本がところ狭しと詰め込まれている。
[図書館1/2]が振れます。
高松彰吾
CCB<=37 図書館1/2 (1D100<=37) > 41 > 失敗
高松彰吾
CCB<=31 ロシア語 (1D100<=31) > 3 > 決定的成功/スペシャル
「よくわかるルルイエ」とロシア語で書かれた本を見つける。
高松彰吾
(ルルイエ…さっきの資料にもあった単語だな。)
「深海都市ルルイエ」について、子供向けにまとめられた本のようだ。

『 そこは、おおいなるかみさまのねむる、
うみのそこにしずんだおおきなまち。
ほしがただしいばしょにやってきたとき、
ふういんされてしまったおおいなるかみはめざめ、
このまちもふじょうする。
そのひがくれば、ふるいせかいはすべてきえさり、
わたしたちはあたらしいせかいへといけるのです。
そのために、きょうもかのかみのめざめをねがいましょう。
ふんぐるい むぐるうなふ
くとぅるう るるいえ
うがふなぐる ふたぐん
いあ いあ くとぅるふ ふたぐん 』
SANc1/1d3
高松彰吾
CCB<=46 SANc (1D100<=46) > 69 > 失敗
高松彰吾
1d3 (1D3) > 3
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 46 → 43
高松彰吾
(宗教臭え…!)
その他にも何か手がかりがないか探すが、この研究所にはどこの国のものかもわからない言語で書かれた本や資料の方が多く、これ以上目ぼしい情報を得ることが出来なさそうだ。
また、待てど暮らせど博士は帰ってこない。このままでは日が暮れてしまう。さて、どうしようか?
高松彰吾
(アタッシュケースと、『依頼は完遂しました。宜しくお願いいたします。』という置手紙を置いて冨家の元へと向かう)
日が傾き、杏子色になった空の下を君は急いで歩いていく。一歩進むごとに夕陽は少しずつ沈んでいき、だんだんと街の明かりが灯り始める。街の顔が、昼から夜へと変わっていく。
[アイデア]が振れます。
高松彰吾
CCB<=80 アイデア (1D100<=80) > 52 > 成功
やはり、すれ違う人は誰もいない。そもそも、人の気配が全くない。空っぽの街に、一人取り残されてしまったような気分になる。
高松彰吾
……異常だ。
目的の大学へたどり着いた頃には、太陽はすっかり地平線の奥へと隠れてしまっていた。
同じくらいの時間帯だった昨日の帰り際はもっと人が沢山いたのに、ここの大学の敷地内もやっぱり人がいない。門の横の警備員詰め所を覗いても、他の施設を覗いても、忽然と消えてしまったかのようにもぬけの殻。
冨家のいる施設の中に入っても、受付には誰も居なかった。人が居ないのにも関わらず、施設内の電気は寒々しく室内を照らしたままだ。
研究室Aの前に立つと、しゅいん、と音を立てて自動ドアが開く。そこには青色のライトに照らされた大きな水槽。
相変わらず、冨家はそこに浮かんで、揺蕩い、退屈そうに眼を閉じている。
[心理学]が振れます。
高松彰吾
……あんたはいるのか…。
CCB<=5 心理学 (1D100<=5) > 80 > 失敗
高松彰吾
(水槽に近づく)
冨家 のの
!(目を開くと嬉しそうに♡を押す)
高松彰吾
…………。(微かに頬を染め照れ臭そうに視線を外す。)
高松彰吾
『遅くなってすまない』
冨家 のの
(首を振って♪を押す)
高松彰吾
『説得 というべきか 向こうの求めるものは一応用意した』
高松彰吾
『早くあんたの容態を見てくれるといいが』
高松彰吾
『いつ来られるかは結局確定できていない。すまない』
冨家 のの
(首を振って○と♡を押す)
高松彰吾
『それから 異常事態だ』
高松彰吾
『街に人がいない。全く』
冨家 のの
(?を押す)
高松彰吾
『俺も 理由も状況も分からない』
高松彰吾
『冨家は特に異常ないか』
冨家 のの
(頷いて○を押す)
高松彰吾
『よかった』
高松彰吾
『何か分かったらすぐ伝えに来る』
冨家 のの
(○を押して笑いかける)
――今。何故か主治医も居ない、それどころか人の気配もまったくない今なら。
富家の病気の資料などを、盗み見たりすることが出来るのではないだろうか?と思う。
探索可能個所

・壁
・水槽
・操作盤
・机①
・机②
高松彰吾
『医者もいないのか』
高松彰吾
『あんたの水槽の管理とかどうなってるんだ』
冨家 のの
(?を押して苦笑する)
高松彰吾
『危機感ねえな』
高松彰吾
『調べてみる』
冨家 のの
(○を押す)
高松彰吾
(壁を見る)
何の変哲もない白い壁。
[聞き耳]が振れます。
高松彰吾
CCB<=85 聞き耳 (1D100<=85) > 35 > 成功
壁の向こうから、波の音が聞こえる。周辺に海などはなかったはずだ。
高松彰吾
……は……?
高松彰吾
(幻聴か…?)
高松彰吾
(水槽を見る)
冨家のたゆたう円筒型の水槽。分厚い強化硝子で出来ており、外から壊そうとしても難しいだろう。上に格納出来るスペースがあり、シャッターの様に降ろした後に水を入れる構造のようだ。
現在は水で満たされた中に冨家が浮かんでいる。
[目星]と[知識]で別々の情報が出ます。
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 70 > 失敗
高松彰吾
CCB<=65 知識 (1D100<=65) > 69 > 失敗
高松彰吾
(操作盤を見る)
二つのボタンがあるのみのシンプルな操作盤。一つは「閉」と書かれているが、もう一つのボタンが何故かブロックノイズのようにぶれて見える。不可思議な現象にSANc0/1
高松彰吾
CCB<=43 SANc (1D100<=43) > 67 > 失敗
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 43 → 42
高松彰吾
(机①を見る)
様々な研究資料やレポートが山積みになった長机。冨家の病について対策するため、研究者達が集めたもののようだ。しかし、資料のほとんどは謎の言語で書かれており読む事が出来ない。
少し調べると、以下の資料を見つけることが出来る。
・カルテ
・日本語で書かれたレポート
・白い封筒
高松彰吾
(カルテを見る)
氏名のところには冨家の名前。個人情報のなどの他に症状を書き込む欄があり、以下のことが書かれていた。
・バイタル異常なし。その他の症状なし。
・睡眠が不足している点を除き、健康状態に異常は見られない。
・契約のため、このまま経過観察。
[目星]が振れます。
高松彰吾
睡眠……契約……?
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 86 > 失敗
高松彰吾
(レポートを読む)
几帳面な字で書かれたレポート。内容は次の通り。

「人間が普段知覚している『世界』とは、五感を始めとする「感覚」によって得た情報を、脳が再構築することで認識しているものである。
また、健康な人間が認識する世界の約8割は、視覚によって得た情報で構築されると言われている。つまり、視覚から受け取る情報に齟齬を起こすだけで、人間は容易く『世界を誤認』をするのだ。
今、見ていると認識しているものが、本当にその目に映っているものとは限らない。脳がそうだと思えば、何を見ていても世界はそういう風に映ってしまうのだから。
君の見ている世界は、本物だろうか?」
[アイデア]が振れます。
高松彰吾
CCB<=80 アイデア (1D100<=80) > 58 > 成功
この文章を読み、周辺を見回すと。見えている景色に、大きな亀裂の様なものが走っている。目線を動かしても消えることは無い。例えるなら、覗き込んでいるカメラのレンズに傷が出来てしまったような状態だ。亀裂に手を伸ばしても振れることは出来ない。
高松彰吾
…………。……世界、が……。
高松彰吾
(封筒を見る)
宛名が無く真っ白な封筒。封はされておらず、中を見ることが出来る。
中には便箋が3枚入っていた。それぞれに一言ずつだけ、手描きで文章が書かれている。
「どうすれば、たかまっつんは目が覚める?」

「それでたかまっつんが起きてくれるなら、構わない」

「たかまっつんのこと信じてる」
[アイデア]もしくは[目星]で同じ情報が出ます。
高松彰吾
冨家…………?
高松彰吾
CCB<=80 アイデア (1D100<=80) > 91 > 失敗
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 10 > スペシャル
この筆跡は、冨家のものだということがわかる。
高松彰吾
…………俺のために、何をしたんだ……?
高松彰吾
(机②を見る)
比較的整理された事務机。「佐渡」という名刺が置いてある為、主治医が使っていた机だろう。目に付きやすい場所に、野出博士のものと同じ人魚姫の絵本が置いてある。
絵本の内容は野出博士のものと全く同じ。ただ、人間になった人魚姫が海に身を投げるシーンのページに、一枚のプリントが挟まっていた。
冨家ののは、未知の病ではない。ただ、君が迷い込んだ悪夢を代わりに引き受けているだけ。水槽から出ても死ぬことはない。
そして、君が今見ているここは、夢の世界。目覚めろ。そして冨家ののの手を取って、溺れる悪夢から浮上しろ。
高松彰吾
……俺の代わりに……、?
プリントに書かれた文章を読み終え、顔を上げた次の瞬間。
ぴしり、と何かが軋むような音と共に、見ている景色に大きな罅が入った。建物の壁に、ではない。「今見えている視界」そのものに亀裂が入っているのだ。
ぴしり、ぴし、ぴし。擦れて軋む音が立て続けに響き渡り、大きな亀裂から枝分かれするように、視界が、世界がひび割れていく。
――バリン。
大きな破砕音と共に、世界が割れた。
今まで見ていた風景は全て取り払われ、真新しい建物も何もない。
割れた視界の向こう側にあったのは。壁も床も朽ちてボロボロの部屋と、その中心でそれまでと変わらず水槽の中で浮かぶ冨家の姿。
今まで研究施設だと思っていた建物は、廃屋だったようだ。壁だったはずの場所はボロボロに砕けており、わずかに曇り空とその下に広がる海原が見えている。
――君が今まで見ていた世界は、何者かに見せられていた幻覚だったのだ。SANc1/1d4
高松彰吾
CCB<=42 SANc (1D100<=42) > 81 > 失敗
高松彰吾
1d4 (1D4) > 4
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 42 → 38
高松彰吾
な……んだここは……
がらんとした廃墟の一室。資料の山や真新しい壁などは無くなったものの、天井に格納できる水槽と、操作盤は先ほど見た通りの場所に存在している。
もう一度操作盤を見ると、先ほどはぶれていて見えなかったボタンに「開」と書かれているのがわかる。
高松彰吾
CCB<=56 目星(水槽) (1D100<=56) > 88 > 失敗
高松彰吾
CCB<=65 知識(水槽) (1D100<=65) > 8 > スペシャル
よく見れば、水の色がわずかに緑がかった青色であることがわかる。通常、水は無色透明なはずで、このような色では無い。しかし君はこの水の色を知っている。実物だったり、写真だったりで見たことがある。
これは、海の色だ。雄大な海原を見たとき、海水がこのような色をしていることがある。
高松彰吾
CCB<=56 目星(カルテ) (1D100<=56) > 55 > 成功
裏返すと、サインの様な筆記体で以下のことが書かれている。

「Salvation is a true Kiss.」
意味を理解したい場合は≪英語≫または≪知識1/2≫
高松彰吾
CCB<=32 知識1/2 (1D100<=32) > 81 > 失敗
高松彰吾
高松彰吾
…………。(少し考え込んだ後、操作盤の「開」を押す)
ごうん、と大きな機械が動くような音がしたかと思うと、円筒型の水槽がせり上がって天井に格納され始めた。隔てるガラスが無くなった下部から、水槽の中の水がざばざばと流れ出し、床を覆いつくしていく。周辺に潮の香りが満ちる。朽ちた部屋は。浅く小さな海に埋め尽くされた。
そして、水槽の全部が取り払われ、二人を隔てていた硝子の壁が無くなって。部屋の真ん中には、確かに地に足をつけて立っている冨家の姿があった。主治医から聞いたような、苦しそうな素振りはない。ただ、困ったような表情でじっと君を見つめている。
高松彰吾
……冨家、(近づく)
冨家 のの
…………ぁ、(言葉を返そうと口を動かすも声にならず、少し驚いたように喉を抑える)
長く声を出していなかったためか、上手く喋れないようだ。何かを声に出したとしても、掠れていて上手く言葉にはなっていない。
高松彰吾
痛むなら無理に喋らなくていい。……未だ、全てを理解出来ている訳じゃないが……。…多分、あんたに助けられたんだろ、俺は。
冨家 のの
(少し迷ってから曖昧に頷く)
高松彰吾
…一先ず、感謝する。ありがとな。
冨家 のの
…………(はにかんで笑う)
不意に。小刻みに地面が揺れたのを感じる。なんだ、と思った次の瞬間にはもう、異変が起きていた。
水槽が無くなり足元に溜まっていた水が、ゆらりと波打った――かと思ったら、重力に逆らい浮かび上がり始めたのだ。持ち上がった水はそのまま触手のようにしなり、瞬時に冨家の身体を呑み込んだ。
高松彰吾
冨家ッ…!!
呑まれた冨家が、君の方に手を伸ばす。君もそれを取ろうと手を伸ばすかもしれない。しかしその手は届くことなく、空気を掴む。
冨家 のの
……っ!
水はそのままスライムのようにうねり、冨家を閉じ込めたまま、ボロボロの壁をぶち破って外へと逃げ出した。壁にあいた大穴を見れば、向こう側には大きな崖と、赤い空。そしてどこまでも続く青い海が広がっている。
高松彰吾
(追いかける)
外に出れば、温い潮風が頬を掠めた。視界一面が赤と、青。空と海の境界は交わらず、強烈なコントラストが目に痛い。
冨家を攫った水のかたまりを追いかけて行けば、見えていた大きな崖のてっぺんに向かっているようだった。一番高い所まで着くと、そのままそこで動きが止まる。その隙に君は冨家を追いかけ、断崖絶壁を登っていく。
ざぱん。崖に波がぶつかり飛沫になって消えていく音がしていた。崖を登った先には、冨家を捉えたままの大きな水のかたまり。その中で冨家は、息が出来ないのか苦しそうにしている。
君がその水の中から冨家を引き上げようと更に近付いた、その時。水が再び大きくうねる。まるで生き物のようにうごめいたかとおもうと、そのままその水は、崖の上から、落ちた。当然、冨家を捉えたまま。
高松彰吾
クッソ……、…逃げやがって……
どぼん。水が、海に還った。崖上から覗いても、一緒に落ちていった冨家の姿は見当たらない。揺れる水面と、打ち上がる波の飛沫が見えるのみ。冨家が目の前で崖から落ちた事実にSANc0/1
高松彰吾
CCB<=38 SANc (1D100<=38) > 46 > 失敗
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 38 → 37
冨家が浮かび上がってくる気配はない。険しい崖になっている岬を道具もなく降りようとすれば、足を滑らせ根元の岩肌に落ちてしまいかねない。誰かに助けを求めようにも、辺りには荒野とうごめく海原が広がるのみ。
さぁ。君はどうする?
高松彰吾
(迷わず飛び込む)
君は意を決して、崖から飛び降り海へと落ちる。胃の腑が震えるのを堪えて一番高いところから地面をければ、次に襲うのは浮遊感。
そしてすぐさま、重力に従い落下していく身体。風を切る音が耳元で鳴る。
上手く飛び込めたか、[跳躍]または[POW×5]
高松彰吾
CCB<=50 POW×5 (1D100<=50) > 69 > 失敗
――ばしゃん!
わずかに腰が引けたまま飛んだためか、高所からの落下により水面は激しく君の全員を打った。派手な飛沫が上がるのを感じた後、すぐに世界は水中特有の緩慢さに包まれる。ごぼごぼとくぐもって伝わる音。水の重さで動かない手足。肌を舐める冷たい温度。ゆっくりと、底に向かって落ちていく。
HP-1
system
[ 高松彰吾 ] HP : 9.5 → 8
高松彰吾
(冨家は…、どこだ……!)
こぽり。こぽり。水泡が上へと昇っていく音がする。碧く透明な水の中、必死に目を開けて辺りを見回せば、4,5メートル程下の方に冨家の姿を見つけた。意識を失い、抵抗することなくどんどん沈んでいく。深く、昏い海の底へと。
高松彰吾
(冨家…ッ……!!)(必死に追いかける)
引き上げようとする場合、[CON×5]と[DEX×5]
高松彰吾
CCB<=80 DEX×5 (1D100<=80) > 4 > 決定的成功/スペシャル
高松彰吾
CCB<=40 CON×5 (1D100<=40) > 31 > 成功
君は素早く冨家の手を捕まえることが出来た。しかし冨家は落ちてから時間が経っているせいか、すっかり気を失っている。ごぽり、冨家の口からひと際大きな泡が零れる。このままでは溺れ死んでしまう。
高松彰吾
(生きろ、冨家……!)
高松彰吾
(冨家に口づけ、息を吹き込む)
口からごぼごぼと零れる気泡を、封じ込めるように君は冨家へと口付けた。触れた唇は氷のように冷たい。しかし、君の唇が触れたことで体温が移ったのか。すぐにじんわりと熱を取り戻し、唇を離せば顔色も微かに良くなって、生気を取り戻したように見えた。とはいえ、急いで昇らなければ危険な状態に変わりは無い。
高松彰吾
(冨家を抱き寄せ水面を目指す)
意識を無くしぐったりとした冨家の身体を抱えて、君は海面へと昇ろうと青い海の中を泳ぐ。しかし。何故だかどれほど必死に手足を動かしても、海面は近付いてこない。海が猛烈な勢いで暈を増しているかと錯覚するほどに。水がどんどん体温を奪っていく。呼吸が出来ず、肺が酸素を求めて絞れるように痛む。ごぼり、堪え切れず君の口からも大きな大きな泡が零れた。
もうだめだ。そんな言葉が頭を過ぎる、その寸前。遠くから、汽笛の音がした。こんな海中で聞こえるはずのない、蒸気が激しく空気を震わせる音。それからすぐに、何かが走行している音。それらはすごい勢いで段々とこちらに近付いて来て、次第にその正体が見えてくる。
魚一匹いない広大なコバルトブルーの海中を、大きな汽車が走っていた。ぽおぉ、とまた一際大きな音が響く。蒸気が出てくる筈の煙突からは、小さな泡がもうもうと吹き上がっている。水中に線路など無い筈なのに、黒々とした車体は道なき道を猛スピードで走行していた。
あり得ない光景に驚いたのも束の間。その汽車は、どんどんと君達の方へと向かってくる。逃げなくてはと思った時にはもう遅い。目の前まで迫りくる汽車の先頭車両。ごう、と風を切る音が聞こえたのを最後に、君の視界は暗転した。
ガタンゴトン、ガタンゴトン。列車の走行音と、心地よく小刻みに揺れる感覚。そして肩にかすかな温もりと重さを感じて目を覚ます。
高松彰吾
(…………は…………)
瞼を開くと、まず目に飛び込んできたのは向かい合う形で置かれた赤いビロード張りの二人掛け座席。君はいつの間にか、同じような座席がいくつも並ぶ列車の中にいた。天井に並んだ丸いランプが、木を基調としたレトロ調の車内を柔らかく照らしている。
隣を見れば、君の肩にもたれかかって寝息を立てている冨家がいた。先程までの苦しそうな様子はなく、安らかな寝顔だ。
冨家 のの
すう…………
高松彰吾
(狼狽えつつも冨家の様子を少しの間観察する)
身体は乾いており、呼吸も安定している。
冨家 のの
……むにゃ…………
高松彰吾
…………冨家、…起きろ……。(訝し気に眉を顰めつつそっと冨家を揺する)
冨家 のの
ん…………あ、れ……たかまっつん…………?たかまっつんだ……!(目を開き、高松の顔を見ると安堵の表情を浮かべる)
高松彰吾
ああ、…まあ……俺だ……。
冨家 のの
……たかまっつんが助けてくれたの?そういえば…………ここ、どこ?(きょろきょろと周囲を見回すと不思議そうに首を傾げる)
高松彰吾
…そう、だな……。…部分的には……。
…………ここが何処かは俺にも分からん…。
冨家 のの
そっかー。…………へへ、ありがと……
高松彰吾
……先に助けられたのは俺だ。…………なんだ……、…その……。…あんたの声が聞けるようになってよかった。
冨家 のの
あー、ずっと喋れなくて不便だったよねー……あたしも全然たかまっつんの声聞こえなかったから、久しぶりのたかまっつん嬉しい!(高松の手を握る)
探索可能箇所
・窓
・車内
高松彰吾
…あ、ああ……もどかしかったな。(目を泳がせながらも手を握り返す)
高松彰吾
……しかし……肝心の、帰る方法が判明していないな。…ここは一体何処なんだ……(窓を見る)
冨家 のの
ねー!これでやっとまともに会話できるよー
窓の外を見れば、そこは大きいものから小さいものまで色とりどりの魚が泳ぐ明るい海の中だった。さっきまで沈んでいた場所とは違う、命の息吹を感じる美しい光景が広がっている。まるで水中を宝石箱にしたかのような景色の中を、列車は悠々と泳ぐように進んでいく。
SAN回復 1d3
高松彰吾
1d3 (1D3) > 1
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 37 → 38
高松彰吾
未だ海中か…!
…………しかし…まあ……悪くない景色だ。
冨家 のの
わー綺麗!
高松彰吾
(車内を見回す)
君達が席を離れようと立ちあがったところで、「ああ、目が覚めたんだね!」という声が、二人が座っていた席の後ろの方から聞こえてくる。見れば、すぐ後ろのボックスに向かい合うようにして二人の男性が座っていた。君はその二人に見覚えがある。冨家の主治医を務めていた医者と、気まぐれで冨家の検診をすっぽかした博士だ。
佐渡
お疲れ様、良いもの見せてもらったよ
野出
そうだねェ、まぁ合格かナ
高松彰吾
そう告げる主治医の様子が、最後に会った時と少し異なることに気が付く。瞳が金色に変化しており、まるで人ならざる者のように爛々と輝いているのだ。博士の方も、会った時には無かった灰色の豊かな髭を蓄えている。
高松彰吾
あんたら……!
…………は……?
高松彰吾
合格、って……何のことだ?
佐渡
結果だよ。"試練"は合格だ、このまま覚醒世界に返してあげよう。二人一緒にね
高松彰吾
…………。(少しの間の後、はーっとため息をつき)
高松彰吾
……よく分からんが……。…よかったな、冨家。帰れるらしいぞ。
冨家 のの
一緒に……?本当……?
野出
ホントホント、高松クン色々頑張ってくれたしネ
佐渡
では、君達に問題。夢の中でこうして目覚めているのなら、真に覚醒するためには何をすれば良いと思う?
佐渡
正解は、目覚めようという強い意志を持って眠ることだよ
高松彰吾
目覚めへの意志…当然だ。…まだ冨家との用事を済ませていないからな。
冨家 のの
用事?
高松彰吾
…映画見るって話だっただろ?
冨家 のの
え、夢の中のあたしたかまっつんとデートの約束してたの?ずるい!
冨家 のの
あたしも行く!
高松彰吾
…………!
高松彰吾
…あれも夢だったのか…?
冨家 のの
えー夢でもいいじゃん、あたしとも行こうよたかまっつん~
高松彰吾
それは……勿論、…当然だ…。
高松彰吾
(……………………)
高松彰吾
(………………デート…………)
高松彰吾
(デートか…………)
冨家 のの
やたっ!何の映画観る予定だったのー?
高松彰吾
ジ●リのあれだ、…新作の……。
冨家 のの
君○きね!オッケー!
冨家 のの
じゃあ早く帰ろ!
高松彰吾
そうだな。…おやすみ、冨家。……また後でな。
冨家 のの
おやすみたかまっつん!寝過ごすなよー?
眠りに就こうと座席に座った君達に、夢の世界の案内人だった二人は優しく声をかけてくれる。
佐渡
もう邪神の夢に引きずられない様に、僕たちがしっかりと見送ってあげよう。だから安心して眠ると良い
野出
覚醒世界でも頑張ってネ~
先程まで二人が居た場所を見ると、忽然と姿が消えていた。ガタンゴトン、小刻みに揺れながら海中を走る汽車の中は、もう君達だけの世界だ。
瞼を閉じれば、窓の外から差し込む蒼い光の気配がする。ほどよい振動と規則的な走行音、そして隣にあるもう一人の体温。全てが心地よく混ざり合って、君をまどろみの中へと柔く包んでいく。
目覚めたら何をしよう。冨家はもう水槽に閉じ込められていないから、二人で一緒に出かけても良いかもしれない。少しの間触れ合えなかった分を、確かめるのも良いかもしれない。言葉を交わせなかった分、いつもよりたくさんお喋りをするのも良いだろう。
――ムユウの世界から目覚めたら。水槽の外で、これからも二人は生きていく。
シナリオクリアです。おめでとうございます。
【エンドⅠ】
SAN回復 1d6+4
後遺症なし
高松彰吾
1d6 (1D6) > 3
system
[ 高松彰吾 ] SAN : 38 → 45
クトゥルフが送りこんだ悪夢を通じて、ドリームランドに迷い込んだPC。現実のPCはクトゥルフが見せる夢のせいでドリームランドから抜け出せず、一ヶ月ほど眠ったままになっていた。
目覚めないPCのお見舞いに来ていたKPC。病院で居眠りをした際、PCの眠りに引きずられKPCもドリームランドへと迷い込む。PCを起こしたい、というKPCの想いに、サニド(マレモンP.174)とノーデンスが目を付け、とある試練を与えることにした。それは、KPCの『自由』と『時間』を対価にすること。そして、PCの見る悪夢の肩代わりをすること。その条件を飲んだKPCはそこから、同じくドリームランドの一角にある施設に幽閉されることになる。
PCの見る「深海都市ルルイエに引き込まれる」という悪夢の一部を引き受けているため、水の中から出ることが出来ない。(出ると再びPCが悪夢に呑まれてしまうため、出ようとしない)
サニドとノーデンスは、同時にPCにも試練を与えることにした。KPCが救うに値する人間なのかを計るためだ。囚われたKPCを見て自身の力で夢に気付き、目覚める意思を持てるかどうか。そのためにPCから悪夢の記憶をほとんど消し去り、ドリームランド内だがいつも通りの日常に近い幻覚を見せる。
「探索者」として周囲の違和感に気が付き、無事夢から覚めることが出来るのか。そのうえで、自身を犠牲に助けようとしてくれるKPCに対し、どこまで身を削ることが出来るのか。旧き神々達は、君達の絆を試している。
技能成長
・目星
・聞き耳
・図書館
・説得
・ロシア語
高松彰吾
CCB<=56 目星 (1D100<=56) > 72 > 失敗
高松彰吾
CCB<=85 聞き耳 (1D100<=85) > 82 > 成功
高松彰吾
CCB<=75 図書館 (1D100<=75) > 25 > 成功
高松彰吾
CCB<=75 説得 (1D100<=75) > 33 > 成功
高松彰吾
CCB<=31 ロシア語 (1D100<=31) > 12 > 成功
高松彰吾
1d10 (1D10) > 4