【CoCセッション】イロドリ

その1

目が覚めると、貴方は見慣れない空間の中に居た。辺りを見渡して貴方は気付く。この部屋に置かれた家具が全て白と黒なのだ。いや、白黒の家具自体は別段おかしくない。だが、窓から差し込む光を目で追って窓の外を見て、そんな考えも一変する。青空がない。白と黒で構成された空がある。空に点々と明暗が滲むのを見て、あれが普段も見ている雲だと分かる。曇り空にしてはあまりにも白黒しすぎている。貴方はここで、この世界の言い様のない奇妙さを確信しただろう。SANc 0/1

高松彰吾 CCB<=50 SANc (1D100<=50) > 27 > 成功

 

???「あの~大丈夫?」

 

あなたに向けられたのは、声だった。その方を見れば、見知らぬ女性が不安そうにこちらを見ていた。貴方は彼女の姿を前にして、目を見開く。彼女は、この世界で唯一色があった。黒髪に白と茶色のメッシュ、オフホワイトのセーターの胸元からワイン色のインナーが覗いている。貴方がこちらを視認したことに気づき、女性は戸惑いながらも質問をなげかける。

 

???「自分の名前、分かる?」

 

「それはもちろん知っている」と発するつもりだった声が詰まる。信じ難いことに、自分の名前が分からない。自分の職業が分からない。だが、自分は確か、海浜公園に遊びに行っていたことを思い出す。いやそれ以外も覚えている。覚えているが、断片的だ。特に最近のことはほとんど虫食いで公園のこと以外何も覚えていない。

自分の記憶が不安定になっていることに貴方は不安を覚えるだろう。SANc 0/1

 

??? CCB<=50 SANc (1D100<=50) > 17 > 成功

 

???「…っ…………、……いや…………。……分からんな。…思い出せない……」

 

貴方が困惑していると唐突に放送が入る。

 

アナウンス「本日はメモリーダイブをご利用いただき誠にありがとうございます。メモリーダイブとは事故や疾患により、意識不明、もしくは心を閉ざした方への精神に直接入り込み、記憶を刺激することで意識を回復させることの出来る治療方法です。治療対象者の記憶を改ざんすることは当研究所が提示した契約書に記載した記憶改ざん禁止事項により、禁止されています。自ら記憶を取り戻すことを目的とした治療ですので、ダイブインされた方は細心の注意を払ってご利用下さい。また、治療対象者は自らの記憶の空間ですので、危険な行動をしますと精神に支障をきたす可能性があるのでお気をつけ下さいませ。ここから記憶を呼び起こすために治療者はクイズを行ってください。ただし回答者に直接回答を伝えることや、過度な誘導はルール違反に触れますのでご注意ください」

 

???「……という訳で、ごめんね。よく分からないと思うけど、これからあたしが出す問題に答えてもらいたいの」

???「…推測するに、何かの理由で俺は記憶を失い、あんたがそれを呼び戻そうとしてるって状況か。かまわん。よろしく頼む」

???「よしきた、じゃあ早速……あんたの名前は、なんでしょう。ヒントはどっかの県庁所在地」

アイデア+10で振ってください。

??? CCB<=90 アイデア+10 (1D100<=90) > 33 > 成功

 

高松彰吾「……高松…………、……高松彰吾か」

???「正解。だから、たかまっつんね!」

高松彰吾「…妙なあだ名で呼ぶな…」

???「まあまあ……次、あたしの名前は冨家ねねまたは冨家のの、どっちでしょう?

 

幸運で振ってください。

高松彰吾 CCB<=50 幸運 (1D100<=50) > 72 > 失敗

 

高松彰吾「……とみけ……、………冨家ねね……?」

???「こらこら、あたしは冨家のの!のの様の名前をちゃーんと覚えておくように!」

高松彰吾「……そうか、すまん……。…間違えたな。…じゃあ、俺とあんたは知り合いだったのか…」

冨家のの「素直でよろしい!次は職業……みたいなもんについてかな。あんたは楽器ができるけど、それはなんでしょーか」

 

アイデアで振ってください。

高松彰吾 CCB<=80 アイデア (1D100<=80) > 91 > 失敗

 

高松彰吾「楽器か……。…覚えが無いが……ドラムでもやってたのか?」

冨家のの「惜しい!惜しい……?うん、惜しい!てか多分ドラムの近くにいたし!」

高松彰吾「じゃあ、ギターか。……そうか、ギター……。…ふふ、懐かしいな……。(手元に目をやると微笑みを零し、ギターを弾くように指先を動かす)」

冨家のの「そーそー、大学生の割になかなかのテクニックだったよ」

 

冨家のの「じゃあ最後ね。あんたは現在、意識を失った状態なんだけど、それはなんででしょーか。①強い酒を飲んで意識を失った、②何らかの事故に遭った。まあ未成年飲酒はおねーさんちょっとまずいと思うけどね~」

 

幸運で振ってください。

高松彰吾 CCB<=50 幸運 (1D100<=50) > 42 > 成功

 

高松彰吾「…俺がそんな馬鹿をやるとは思えん。……事故だろ」

冨家のの「……正解。ツイてないよね、事故っちゃうなんてさぁ」

高松彰吾「……海の近くに行った記憶がある。…海難事故か?」

冨家のの「……それはあたしからは言えない。たかまっつんが自分で思い出さないと、ね」

高松彰吾「…そうか……」

 

アナウンス「さて、少し記憶を巡らせることは出来たでしょうか。ここは貴方の記憶の空間。白黒の止まったままのこの世界に時間を与えるのは、記憶を与えるのは、色を与えるのは貴方達のみ。それでは心ゆくまで快適な記憶の旅をお楽しみ下さい」

その声は丁寧な言葉を最後に、聞こえなくなる。

一体なんなんだろうか、この空間は。目の前の人物のことは、まだあまりよく分からない。もちろん自分自身も。ただ、目の前の人物は薄く微笑む。彼女と居ると、とても安心する。そんな気持ちだ。

 

現在探索者がいるのは、普通のリビングのような場所である。

《探索可能箇所》机・鏡・窓

 

部屋全体に目星を振ってください。

高松彰吾 CCB<=50 目星 (1D100<=50) > 27 > 成功

 

先程まで白黒だった部屋の机の上に若草色の手帳が置いてある。また、手帳にはメモが挟まっていることに気づく。

 

アイデアが振れます。

高松彰吾 CCB<=80 アイデア (1D100<=80) > 92 > 失敗

 

高松彰吾「(手帳を手に取り、開く)」

〈手帳〉

「〇月×日 海浜公園 冨家と」綺麗な文字が書かれている。

 

高松彰吾「…あんたと行ったのか(メモを見る)」

冨家のの「わ、ちゃんと手帳に書くんだ!マメだね~」

高松彰吾「…俺は忙しいからな」

冨家のの「なんだとぅ~人を暇人みたいに~」

 

〈メモ〉

「アイツらのせいだ。アイツらの言うことを鵜呑みにしなければ」

手帳とは対照的に荒れた文字がそこにある。筆跡は同じかどうか分からない。

 

高松彰吾「……なんだこれは。(メモを見ると眉を顰める)」

高松彰吾「…冨家、これは俺が書いたものか?(メモを見せる)」

冨家のの「うわ、字汚っ!わかんないけど、もしそうならもっと落ち着いて書きなよ~」

高松彰吾「……内容が随分不穏だ。お前はこれについて何も知らないんだな?」

冨家のの「たかまっつんに心当たりがあるならともかく、あたしはあんま口出しできないんだって~……ごめんけどさ」

高松彰吾「そうか。…まあいい。……俺が思い出すしかないらしいからな」

 

高松彰吾「(机を見る)」

〈机〉

木製のローテーブルだ。白黒にしか見えないので実際は何色かは分からない。この世界では目につく、若草色の手帳が置いてある。

 

高松彰吾「(鏡を見る)」

〈鏡〉

全身が映る姿見だ。改めて自身が白黒であるのを見ると、不思議な気持ちになる。

 

目星が振れます。

高松彰吾 CCB<=50 目星 (1D100<=50) > 70 > 失敗

 

高松彰吾「(戦前みてえだな…)」

高松彰吾「(窓を見る)」

〈窓〉

窓の外はやはり白黒である。だが、普通の家にもある庭のような場所が見える。庭の先を見ると、海が見えた気がした。自分は今、色を識別できないのだからあれが海だなんて確証はないのに、不思議と自然にあれを海だと確信した。

 

高松彰吾「(海…………)」

冨家のの「空が白黒なのも不思議な感じ~(窓辺に近寄ってくる)」

高松彰吾「…冨家、向こうに海が見えるな。……ここは…事故現場の近くなのか…?(独り言ちる)」

冨家のの「ほんとだ、海見えんじゃん……。……あたし、海が好きなんだよね。住んでいた街も海沿いでさ。だから、あたしたち一緒によく海に行ったんよ。手帳にも書いてあったけどさ(質問には答えずに話し続ける)」

高松彰吾「…………。……それは話してもいいのか?」

冨家のの「これは独り言!」

高松彰吾「…それじゃあ、聞かなかったことにしよう。……理由は分からんが、海が懐かしいような気がしてきた。…理由は分からんがな…」

冨家のの「そっかぁ」

 

【映像】

頭の中に、映像が流れこんでくる。これは、記憶だろうか。自分が失っていた、記憶の一部。貴方はそこで思い出す。冨家と海沿いの、海浜公園によく遊びに行っていたことを。心地のいい波の音が耳に響く。海浜公園のベンチに座りながら何気ない話をする。互いの仕事の関係もあったのか、その時間は一日の中で見れば僅かだった。それでも、確かに幸せであった。クレープのワゴンカーが来る日は、互いに買ったアイスクリーム入りのクレープを頬張った。こちらがイチゴ味を買えば、彼女はチョコレートを。あまりに好物だったのだろうか。夢中で食べていた彼女の鼻先にアイスクリームが付いている。それが、堪らなく愛おしい。貴方はそんな冨家になんと声をかけるだろうか。

 

高松彰吾「…………あんた、ガキみてえだな」

冨家のの「うえっ!?」

高松彰吾「……気づいてねえのか。ついてんぞ、ここ(自分の鼻をトントンと指さす)」

冨家のの「え、あ……っはは。なんか恥ずかしいんだけど、これ(照れくさそうに笑って鼻を拭う)」

 

仕草が、愛おしい。そう思ってしまうのは、きっと正常だ。

 

高松彰吾「……がっつきすぎだ…」

冨家のの「……あんたと居ると、嫌な事全部忘れられる気がする。本当にさ、楽しくて楽しくて」

冨家のの「またここ来たいなぁ。今度はいつ……って、駄目じゃんね、今こうやって一緒にいんのに、もう次考えちゃってさ」

高松彰吾「……なんだ、急に…。…まあ……俺にとっても、悪くない暇潰しではある…」

 

冨家のの「……そ、そういえばたかまっつん、バンドやってんでしょ?最近はどんな曲やってんの?」

高松彰吾「……ベース担当が作曲を始めてな。…ただ…あいつはメタルの知識が薄すぎる。あれじゃ邦ロックのなりそこないだ……」

冨家のの「作曲なんて本格的だね~たかまっつんはやらないの?」

高松彰吾「みだりに新曲を増やすのは、文化や歴史への冒涜と一緒だろ。技術の習得が先だ。……やるなら…あらゆる楽曲を弾きこなせるようになってから、だな」

冨家のの「は~……たかまっつんも色々考えてんのね」

高松彰吾「当然だろ。…俺はメタルに生きてメタルに死ぬ。アマチュアのまま終わるつもりは一切無い」

 

冨家のの「……うん!いいんじゃない。大事にしたいってことだよね?」

冨家のの「大切に守れよ~!」

高松彰吾「…言われなくても……って…、…なんでお前が嬉しそうなんだ…」

冨家のの「いやぁ……なんか、いいなぁって思って、さ…………」

高松彰吾「……応援したいなら、カンパの1つでもしろ」

冨家のの「たかまっつんに??」

高松彰吾「バンドに、だ」

冨家のの「え~そういうのよく分かんな…………あ!フラワースタンドとか持ってく??」

高松彰吾「いらねえ、どう考えても浮くだろ。菓子でも差し入れた方がまだマシだ」

冨家のの「しょーがないなぁ、じゃあ酢昆布1ダースとか買ってくよう」

高松彰吾「ああ、それは助かるな。1ヶ月くらいは持つだろ」

冨家のの「マジ??」

高松彰吾「安上がりな方が冨家も助かるだろ?」

冨家のの「ん、ん~……まあそうだけどぅ……」

高松彰吾「…………(再びクレープを食べ進め始める)」

 

貴方達がそんな風に話していると、貴方達の近くを男性の2人組が通りかかる。

聞き耳が振れます。

高松彰吾 CCB<=85 聞き耳 (1D100<=85) > 84 > 成功

 

〈男性二人組の会話〉

「なぁ、最近の誘拐事件やばくねぇか」

「近所のさ、白野井さんとこの娘も行方不明らしくて、もしかしたら、って……」

「それ言ったらさ、あの棋士のジィさんもじゃねえか」

「俺達も気をつけような」

「いやー、俺達は大丈夫じゃねーか?」

という風に話している声が聞こえた。

 

【映像】

刹那、貴方の景色が一瞬、ガラリと一変する。

太陽の光が反射して煌めく波間、地平線の境界が青に溶ける、潮騒が僅かに聞こえてくる、潮の匂いが鼻をくすぐる……そんな先程までの鮮やかな景色が、まるで、信号機のように青から赤に変わる。途端に喉の奥が焼ける。息が苦しい。目の奥が乾いた。突風が吹くと同時に、景色は完全に赤に染まる。いや、それは赤一色ではない。橙と、あとは何色だろう。そこは、炎の中だった。貴方は燃え盛る家屋の中で一人立ち尽くしていた。前も後ろも足場がなく、燃え盛る炎がパチパチと音を立てる。何かが勢いよく崩れていく音を聞き、背後を振り向けばそこには扉がある。視線を向けた途端、ドンドンと勢いよく扉が叩かれる。

 

高松彰吾「ッ…………、」

冨家のの「彰吾!!彰吾!!!」

 

必死に貴方の名前を呼ぶ声。 枯れそうなその叫び声に、聞き覚えがあった。声色は違えど、それは確かに冨家のものだ。

 

冨家のの「うるさい、離して!!この中にっ……この中に彰吾が居るの!!このままじゃ、このままじゃ彰吾が死んじゃう……っ!!」

高松彰吾「冨家……!!」

 

誰かと何かを揉め合う声。これは、なんだ。どうして自分はここに居る。どうして、彼女は泣き叫んでいる。どうして、どうして。貴方の心は不安で満ちていく。この世界は仮物の筈、記憶の中の筈なのに、どうしてこんなにも身体が、心が痛い。苦しい。喉が焼ける。吸い込んだ空気が嫌に苦しい。吐き出したい。いっそ、内臓ごと。楽になりたい。……こんな死にも等しい苦しみを味わうくらいなら、いっそ。

 

1D100を振ってください。

高松彰吾 1d100 (1D100) > 81

 

貴方の意識はそこで途切れる。ハッ、と我に返る。そこは、先程まで居たあのリビングだった。貴方が部屋に目を向けると、驚く事にそこは鮮やかな色を取り戻していた。淡いブラウンと机や、浅葱色の丸型のカーペット。薄手の桃色のカーテン。久々に目にした色とりどりの光景に安堵するかもしれない。そして同時に先程までなかった扉が現れたことに気づく。

先程まで見ていたものは、なんだろうか。おぞましい、恐ろしい、苦しいだけの映像を見た貴方。SANc1/1d6

 

高松彰吾 CCB<=50 SANc (1D100<=50) > 32 > 成功

[ 高松彰吾「 ] SAN : 50 → 49

 

高松彰吾「…………、……冨家は……(すぐに辺りを見回す)」

冨家のの「えっと……大丈夫?今なにか、見えたり、思い出したり?(心配そうに覗き込む)」

高松彰吾「…あ、…ああ…………、無事か……」

 

高松彰吾「……色々と、見た……。…ええと……お前と海に行って話して……、…それからいきなり…真っ赤な……、…火事に巻き込まれていて……、…お前の声がした、……必死そうな声だった…」

冨家のの「……そっか、海を…………。……うん、あんたは火事に遭って今こうして記憶を失ってる。あたしは何も出来なかった。ごめん……辛かった、よね」

高松彰吾「…火事…………、…そうか……(自身を落ち着けるように、ふーっと長く息を吐く。)」

 

高松彰吾「……冨家。…気になることがある。…聞かせてくれ」

冨家のの「……答えられる範囲でなら」

高松彰吾「……記憶の中の冨家と、今、目の前にいるお前は…瞳の色が異なる気がする。…これは何故だ?」

冨家のの「え!あたし今何色の目になってる!?(慌てて鏡を見に行く)」

冨家のの「マジじゃん!フッツーの黒目になってる……!」

高松彰吾「…、…気づいてなかったのか…」

冨家のの「や、だって……この通り、それ以外はちゃーんと色ついてるから(くるりとその場で一回転する)」

高松彰吾「……今更だが……この空間で、色のついているものとついていないものの違いは何なんだ?」

冨家のの「それは分かんない、たかまっつんの気分?みたいな?」

高松彰吾「気分……、…そうか…?(怪訝そうに冨家を見る)」

高松彰吾「……部屋に色が戻った。…それから、向こうに扉が出来たな。…冨家、俺は扉を開けるつもりだが…お前も来るか?」

冨家のの「たかまっつんが行くなら行こうかな~」

高松彰吾「了解した。(冨家の様子を一瞥すると、扉を開ける)」

 

〈仕事部屋〉

現れた扉を開けばそこは、誰かの自室のような場所だった。いや、書斎……或いは仕事部屋とも言うべきか。先程の部屋の雰囲気が振り出しに戻ったかのように、白黒だ。ただその中で壁に貼られたパンフレットのみが色鮮やかなままであることに気づく。ポップなフォントやイラストを用いたそれはなにかのイベント告知のものだった。

《探索可能箇所》パンフレット、ラジカセ、本棚、パソコン

 

高松彰吾「(ぐるりと部屋を見回した後、パンフレットに近づく)」

〈パンフレット〉

ポップなフォントやイラストを用いたそれは虹山市という街の海浜公園で行われる、科学館職員ボランティアによる実験イベントらしい。触れる水、ピカピカどろだんご、アルミ玉、などなど子供向けのようだが大人も楽しめるイベントとなっているようだ。

 

目星が振れます。

高松彰吾 CCB<=50 目星 (1D100<=50) > 49 > 成功

 

下の方に虹山市のことについて書かれているものを見つけることができる。

〈虹山市について〉

海沿いに位置する虹山市では、都市開発が進んでいる。様々な事業と連携して少しずつではあるが住みやすい街へと変わっている。昔から治安の良い街として全国でも有名である。特に医療や科学分野での発展が著しい。新たな感染病への対策として、いち早く様々な研究を行ったり、ワクチンの試作品を生み出したり、彼ら彼女らは今後も虹山市だけでなく国を支えていく柱となるに違いない。

 

高松彰吾「ふぅん……」

 

高松彰吾「(本棚を見る)」

図書館が振れます。

高松彰吾 CCB<=75 図書館 (1D100<=75) > 44 > 成功

 

虹山市で頻発している事件という大々的なタイトルの記事が本棚の間に挟まっている。

高松彰吾「事件か……(記事を読む)」

 

〈新聞〉

虹山市で頻発する誘拐事件。狙われる人間の共通点は不明。子供から老人まで、女性男性問わず忽然と姿を消す事件は一ヶ月前から続いていた。最初に誘拐された赤蒲康介(アカガマコウスケ)は先週、コンテナヤードで発見された。と言っても、損傷が激しく、顔面は鈍器で何度も殴られた様で原型は留めていない。更に、腐敗が進んだせいで身体からもほとんど本人を証明出来る情報は得られなかった。しかし、彼の持ち物から発見されたキーホルダーが一年前に近隣の水族館で配布された「来場者5万人記念の記念品」であるものが判明。これを彼の恋人である女性がカップルということで特別に同じものを貰っていたこともあり、照合した所、一致。そのこともあり、赤蒲であることが判明。しかし、彼以外の被害者は未だに見つかっていない。

 

高松彰吾「…随分物騒な事件だな」

冨家のの「たかまっつんは新聞読んでるのなんか似合うね~」

高松彰吾「新聞は普段から購読していた…と思う。…流し読み程度だったがな」

 

本棚に目星が振れます。

高松彰吾 CCB<=50 目星 (1D100<=50) > 25 > 成功

〈本棚〉

絵本を見つける事が出来る。開けば、白雪姫の絵本の様で途中、魔法の鏡を模した仕掛けがあるページを見つける。

 

高松彰吾「(パソコンを開く)」

〈パソコン〉

電源をつけると白黒……かどうかは分からないが少なくとも、色の濃淡が無いトップ画面が現れる。これ以上他に見るにはパスワードが必要なようだ。

画面の真ん中には『What line are you in?』という文章と入力画面がある。入力自体は日本語で出来るようだ。

 

英語、知識、リアルINTで同じ情報が出ます。

高松彰吾 CCB<=65 知識 (1D100<=65) > 45 > 成功

 

「あなたの職業はなにか」という意味の英文である。

高松彰吾「『大学生』…(入力してみる)」

 

画面が開く。図書館が振れます。

高松彰吾 CCB<=75 図書館 (1D100<=75) > 7 > スペシャル

 

メモフォルダに入った奇妙なメモを見つけることが出来るだろう。

 

〈メモ〉

赤蒲康介(27)男性【UouTuber】虹山市○○町在住

公園でよく撮影をしていることが多い。現在、再生回数が伸び悩んでいる。

 

白野井玲美(17)女性【高校生】虹山市■■町在住

虹山東高校特進コース二年生。弓道部所属。毎朝、メロンパンを買う。

 

桃崎明葉(43)女性【博物館職員】虹山市■■町在住

国立大学考古学部卒業。二児の母。毎週日曜日にスポーツジムに通っている。

 

青志摩洋一(22)【自宅警備員】虹山市××町在住

引きこもりのすねかじり。両親が医者。大学受験を失敗した。オンラインゲーム『MIRA』の上位ユーザー

 

緑垣源次(65)男性【棋士】虹山市▲▲町在住

九段。独身。名人戦A級通算12期。政治の話はタブー。酒に弱い。

 

高松彰吾「(19)【大学生】虹山市○○町在住

大学のサークルでギターボーカルを担当している。昆布狂い。海浜公園に学校帰りに寄ることが多い。

 

高松彰吾「昆布狂いだと……」

高松彰吾「……しかし…、…」

冨家のの「ウケる笑」

高松彰吾「…1番目にリストアップされている奴はたしか、誘拐事件で唯一見つかっている被害者だったよな。……俺は誘拐されたのか?」

 

パソコンに対してコンピューターもしくはEDU×2で同じ情報が出ます。

高松彰吾 CCB<=26 EDU×2 (1D100<=26) > 90 > 失敗

 

冨家のの「そんなかじりついて、えっちな動画でも探してんの~?(後ろから覗き込む)」

高松彰吾「そこらの色狂いと一緒にするな…」

冨家のの「え~でもたかまっつんってムッツリそう~笑」

高松彰吾「知らん。…平均程度だろ…(ラジカセを調べる)」

冨家のの「ふぅ~ん」

 

〈ラジカセ〉

防災グッズとして使える簡易型のラジカセだ。スイッチを押せば、勝手に音楽が流れ出す。クラシック音楽だ。不思議と局や電波を操作するツマミを回しても曲は変わらない。

 

聞き耳が振れます。

高松彰吾 CCB<=85 聞き耳 (1D100<=85) > 57 > 成功

 

〈ラジカセ〉

音楽に交じって無機質な機械音声が聞こえる。『記憶に無い感情は言葉に乗らない』

 

【映像】

頭の中に、映像が流れこんでくる。これもまた、自分が失っていた記憶の一部。冨家の事だろうか、だったらもっと知りたい……そう思うかもしれない。貴方はそこで思い出す。そこは、夕日が差し込むカフェテリアの窓際だった。貴方と冨家、二人の時間が再度訪れる。彼女と居れば、自然と表情が綻ぶ。緩む口元は、幸福の証だろう。窓からは、ビルの大型ビジョンが見えた。そこに、臨時ニュースが飛び込んだ。

「4ヶ月前から行方不明だったUouTuberのアカカガチさんこと赤蒲康介さんが遺体で発見されました。遺体は虹山港のコンテナヤードに置き去りにされており、現在検死を行っています。また、赤蒲さんが関わっていると思われる連続誘拐事件についても警察は調べを進める模様です。続いてのニュースです。昨日……」

貴方はそこでカフェの店員がそのニュースを見てなにやら話している声を聞く。

「あれがネットで噂になってるハイドじゃない?」

「いやでも、誰も会ったことないのになんでそんな噂立ってんだろうね」

「急に話題になったんだって」

「なんでハイドなんだろ。誘拐は別として殺してるんだし、リッパーとかの方が似合いそうなのに」

「根も葉もない噂で、本当にただの優女とかだって言われてるから、とかじゃない?」

「二重人格ってやつ?」

とても身近の不穏なニュース。貴方が耳を傾けていると、いきなり冨家にデコピンされる。

 

高松彰吾「ッ……、…なんだ…」

冨家のの「たかまっつん怖いの~?」

高松彰吾「…少し気になっただけだ」

冨家のの「この街ってさ、すっごい平和だな~って思ったから引っ越して来たんだけど、最近やたら殺人だとか事故だとか、誘拐だとか……物騒だよね」

高松彰吾「誘拐事件の他にも何かあるのか?」

冨家のの「だって、さっきも……誘拐された人が遺体で発見されたとか…………前はこんな頻繁に起こったりしてなかったじゃん?」

高松彰吾「まあ、そうだな。……平均所得が低いわけでもないと思うが……。…警察の働きが悪いんだろ」

冨家のの「…………あんたは、巻き込まれないといいけど(震える手をテーブル下に隠すと、不安げに目を伏せる)」

冨家のの「だって、あんたは……」

 

幸運+20で振ってください。

高松彰吾 CCB<=70 幸運+20 (1D100<=70) > 42 > 成功

 

そこで貴方は思い出す。彼女に以前「近頃、誰かからの視線を感じる」と相談したことを。勘違いだとばかり思っていたが、不思議とその視線は嫌に気になった。親しくなったからこそ、弱みを見せてしまったかもしれないし、冗談っぽく告げたかもしれない。少なくとも、そのことを気にしているのは確かだろう。彼女の中に渦巻くのはなんだろうか。もしかしたら、ストーカーなんて生易しい物ではなく先程話していたハイドと呼ばれる得体の知れない存在なのかもしれない。

 

冨家のの「……ハイドなんて、ただの噂だし?きっと居ないって。きっと。大丈夫。……でもさ、もし……あんたに、何かあったらって考えちゃって……(高松に視線を戻すと眉を顰める)」

 

その顔は、本当に貴方を心配するものだ。大袈裟だと言ったかもしれない。気にしすぎだよ、と相手を宥めたかもしれない。けれども。そんな顔をされては、もしかしたらと、貴方の頭に嫌な予感が過る。あの臨時ニュースで殺されたと伝えられた男も、以前行方不明だと報道された女子高生だって昨日までは、いなくなるその日までは普通に暮らしていただろう。明日の約束をする為に連絡を誰かと取り合っていたかもしれない。海浜公園で潮騒に耳を傾けていたかもしれない。カフェテリアのサンドイッチを頬張っていたかもしれない。

明日は、来ないかもしれない。明日は、全てを忘れているかもしれない。貴方は堪らなく不安になる。可能性の話なのに、嫌に不安が駆り立てられる。怖い。約束をすることが出来ない明日が来ることがこんなにも恐ろしいだなんて。あの、夕焼けの赤が堪らなく、怖い。SANc0/1

 

高松彰吾 CCB<=49 SANc (1D100<=49) > 96 > 致命的失敗

[ 高松彰吾 ] SAN : 49 → 48

 

今思えば、これはこれから起こる出来事を予知してのものだったかもしれない。

1D100を振ってください。

高松彰吾 1d100 (1D100) > 31

 

貴方の意識はそこで途切れる。ふと我に返る。そこは、先程まで居た仕事部屋のような場所だった。貴方が部屋に目を向けると、やはり部屋は鮮やかな色を取り戻していた。とはいえ、元々置かれていたのはパソコンやラジカセ。色味はシルバーのものばかり。壁も派手な色を用いている訳では無い。それでも、僅かに先程とは違う色の濃淡を目にした貴方は、この部屋は色を取り戻したと理解するだろう。そして、また部屋に扉が出現する。それは仕事部屋に隣接する部屋への扉だった。

 

冨家のの「たかまっつん大丈夫?またぼーっとしちゃって」

高松彰吾「……おそらく少しずつ思い出してきている。…心配かけたな…」

高松彰吾「…………俺は…戻りたいのか、あの日常に…。(微かに俯き、独り言ちる)」

冨家のの「そっか……じゃああと、もうちょいっしょ」

高松彰吾「ああ。…また別の部屋に行こう」