雪は懇々と降り駸々と積もる。寒空の下、下着姿の女が一人、マンションのベランダで震えていた。暖かい室内で男はソファで頬杖をつき、女を眺めていた。男――亀梨啓吉はため息をついて立ち上がるとベランダへと続く窓を開ける。

「なあメス豚……俺飽きたんだけど。てかそろそろ死ぬくね?」

「……ま、まだよ……亀梨。いや、ご主人様…………。これじゃ、おおお仕置きぃ……に、なな、ならないわ…………」

 体温が感じられなくなった腕を掴むも、どこにそんな力が残っていたのか、勢いよく振り払われる。男は付き合いきれないといった風に肩をすくめて部屋の中へ戻っていった。

 ――数時間後、震える体力も失われた我修院の瞼は閉じかけていた。かくん、と落ちた頭は固く冷たい地面ではなく、暖かく柔らかな布に包まれた。凍り付いた睫毛を震わせて見上げると、呆れた表情の亀梨が冷え切った手を取る。

「ほら、さっさと上がって風呂入れよ」

「……命令ね」

 繋いだ手は今度こそ振り払われずに、きゅっと握り返された。

 

亀がしゅのお話は「雪は懇々と降り駸々と積もる」で始まり「繋いだ手は今度こそ振り払われずに、きゅっと握り返された」で終わります。

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